医療的ケア児支援

医療的ケア児支援制度は、6〜12歳の子どもとその家族が安心して生活できるよう、医療・福祉・教育など多方面から支援する制度です。

制度の内容、対象者、申請方法までを詳しく解説します。


医療的ケア児支援とは

医療的ケア児とは、日常的に医療的なケアが必要な子どもたちを指します。

例えば、人工呼吸器や胃ろうを使用している子どもたちが該当します。

これらの子どもたちとその家族が、安心して生活できるよう、国や自治体が支援を行っています。


支援内容

6~12歳では、学校生活との両立が重要になるため、以下のような支援が提供されます。

● 特別支援学校・通常学級での受け入れ

 看護師や支援員が配置され、学校での医療的ケアをサポート。

● 放課後デイサービス

 学校終了後に利用できる施設で、医療的ケアを受けながら活動できる。

● 居宅訪問型支援

 通学が難しい場合、自宅で発達支援や学習支援を受けることが可能。

● 短期入所施設

 家族の負担軽減のため、一時的に入所して医療的ケアを受ける。


医療的ケア児支援を利用できる人

6歳~12歳の児童(小学生)で以下のいずれかに当てはまる方

● 日常生活を送るうえで、人工呼吸器による呼吸の管理、たんの吸引、その他の医療行為を、一時的ではなく継続的に受ける必要があることです。

その他の医療行為には、『気管切開の管理、鼻咽頭エアウェイの管理、ネブライザーの管理、酸素療法、経管栄養(チューブやカテーテルを用いての栄養管理)、中心静脈カテーテルの管理、皮下注射、血糖測定、継続的な透析、導尿など』が例として挙げられています。

支援制度の対象となるのは、上記に当てはまる医療的ケア児本人、およびその家族です。

児童本人のケアや支援に加えて、例えば保護者が看護を行ったり生活する上での相談やサポートなども行われています。


具体的な利用例

  • Aさん(小学1年生): 先天性疾患により人工呼吸器を使用。特別支援学校に通いながら、看護師のサポートを受けて授業に参加。
  • Bさん(小学3年生): 1型糖尿病でインスリンポンプを使用。通常学級に通いながら、学校の保健室で血糖管理を実施。
  • Cさん(小学5年生): 交通事故の後遺症で胃ろうを使用。放課後デイサービスを利用しながら、学習支援を受ける。

医療的ケア児支援の注意事項

支援制度の利用について、注意しておきたい点を解説します。

● 学校での医療的ケアの実施

 学校での吸引や経管栄養などのケアは、事前に学校側と相談し、看護師や支援員の配置を確認することが重要。

● 緊急時の対応

 人工呼吸器や胃ろうなどの医療機器を使用する場合、定期的な点検や予備の準備を行う。

● 通学・移動の安全確保

 学時の移動手段(送迎サービスの利用など)を検討し、安全に通学できる環境を整える。

● 家族・支援者との連携

 学校や支援施設と定期的に情報共有し、子どもの健康状態や支援内容を確認する。

● 災害時の対応

 災害時に必要な医療的ケアを受けられるよう、避難計画を立てておく。


5歳以下の子どもとの違い

5歳以下の子どもたちと比べて、6〜12歳の子どもたちは、学校生活との両立が求められ、学校での医療的ケアの実施体制が重要となります。


13歳以上の子どもとの違い

13歳以上の子どもたちと比べて、6〜12歳の子どもたちは、学校生活が本格的に始まるため、医療的ケアと学習環境の両立が重要になります。


制度利用の問い合わせ先

医療的ケア児について、さまざまな支援制度や問い合わせを一本化するための「医療的ケア児支援センター」が存在します。これは医療的ケア児支援法によって整備が進められ、2024年には47都道府県すべてに設置されています。まずはここに問い合わせるのが良いでしょう。


またこれまでと同様に、市区町村役場の福祉担当窓口でも問い合わせを受け付けています。

お住まいの地域や状況にあわせて、相談しやすい場所を選びましょう。


医療的ケア児支援の申請方法

  1. 情報収集
    お住まいの自治体の公式ウェブサイトや窓口で、支援制度の内容や申請方法を確認します。

  2. 必要書類の準備
    医師の診断書や申請書類など、必要な書類を準備します。

  3. 申請書の提出
    準備した書類を自治体の窓口に提出します。

  4. 審査・認定
    提出された書類をもとに、支援の対象となるかどうかの審査が行われます。

  5. 支援の開始
    審査を通過すると、支援が開始されます。


申請時のポイント

  • 早めの申請を心がける:支援の開始までに時間がかかる場合があるため、早めの申請が望ましいです。
  • 不明点は相談する:申請方法や必要書類について不明な点がある場合は、自治体の窓口で相談しましょう。


まとめ

医療的ケア児支援制度は、子どもたちとその家族が安心して生活できるよう、多方面から支援を行う制度です。支援を受けるためには、早めの情報収集と申請が重要です。

お住まいの自治体の窓口や公式ウェブサイトで、詳細な情報を確認し、必要な手続きを進めましょう。


【参考】