難病や障害を持つ6〜12歳のお子さまの保育園・幼稚園生活を支える「保育所等訪問支援」。制度の概要、対象者、申請方法などをわかりやすく解説します。
「保育所等訪問支援」は、障害や難病を持つお子さまが小学校などの集団生活に適応できるよう、専門の支援員が施設を訪問し、直接的または間接的な支援を行う制度です。
支援員は、小学校教諭や児童指導員、作業療法士、言語聴覚士、心理士などの専門職で構成され、お子さまの発達や行動に関する専門的な支援を提供します。
「保育所等訪問支援」は、発達に特性がある子どもが“安心して学校生活を送れるように”サポートする制度です。対象となるのは、小学校や放課後児童クラブ(学童保育)などの集団生活に通っている6〜12歳の児童です。
この時期の子どもたちは、学校生活で「学習」「友人関係」「集団行動」などのさまざまな場面に直面します。
発達障害や難病、知的障害などがある子どもは、その中で困難を感じやすく、不登校や孤立、いじめのリスクも高くなりがちです。
こうしたリスクを減らすために、子どもが通っている学校などの場所に、支援の専門家が訪問し、環境や対応方法を先生や支援員にアドバイスするのがこの制度の役割です。
6~12歳では、以下のような支援が提供されます。
支援員は、子どもの気持ちに寄り添いながら、こんな活動を行います。
例:
支援員は、児童発達支援の専門家(言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士など)であり、発達の段階に合わせて個別対応してくれます。
支援はお子さま本人だけでなく、学校の先生や学童の職員たちへの「間接的な支援」も含まれます。
例:
先生や学童スタッフが子どもに合わせた対応をとれるよう、「どう伝えれば良いか」「どんな支援が必要か」を具体的に助言します。
例:
6歳~12歳未満の児童(小学生)で以下のいずれかに当てはまる方
※集団での生活や適応に専門的支援が必要であれば、診断や障害者手帳の有無に関係なく対象となります。
5歳以下のお子さまは、発達初期の「気づき」と「環境調整」が中心となり、集団生活の導入に重点を置き、保護者への支援が濃厚です。13歳以上のお子様では、自立支援や将来の進路(就労や進学)を見据えた支援が中心となります。
6~12歳のお子様では、学習支援と対人関係の調整が中心となり、学習場面・集団場面での対応を学校に助言します。そのため、担任や支援員との連携が重要となります。
支援制度の利用について、注意しておきたい点を解説します。
基本は「お住まいの市区町村の福祉窓口」
保育所等訪問支援の利用を希望する場合は、まずはお住まいの市区町村(市役所・区役所・町役場)の福祉担当課(障害福祉課・子ども家庭課など)に相談してください。
よくある窓口の名称(地域により異なります)
「保育所等訪問支援について相談したい」と伝えれば、適切な窓口につないでもらえます。
1. 窓口に相談
保護者が市区町村の福祉窓口に相談します。
「子どもが保育園でうまく過ごせない」「障害があり、集団生活に不安がある」と伝えるとスムーズです。
2. サービス等利用計画の作成
「相談支援専門員」または「指定相談支援事業所」で、子どもの状況に応じたサービス等利用計画を作成します。
※作成支援を無料で受けられる場合もあります。窓口で確認しましょう。
3. 医師の意見書(必要な場合のみ)
医師の診断書や意見書の提出を求められることがあります(障害者手帳は不要です)。
4. 自治体による支給決定
必要性が認められると、「通所受給者証」が交付されます。
5. 事業所選定と利用開始
保護者が希望する保育所等訪問支援の事業所と契約し、支援を開始します。
お住まいの地域によって異なりますが、申請から利用開始まで1〜2か月程度かかる場合があります。
保育所等訪問支援は、「今すぐにでも誰かに相談したい」という保護者の気持ちに寄り添うための制度です。
「学校になじめない」「先生とどう話せばいいかわからない」「友達とトラブルがある」――そんな悩みを抱えたお子さんが、少しでも安心して過ごせるように、まずはお住まいの市区町村にある障害福祉担当窓口へご相談ください。
【参考】