在宅難病患者一時入院事業

難病患者さんが長期間在宅で家族等による療養をするためには、医療的なケアはもちろんのこと、介護者の休息も必要です。
また、介護者の療養や特別な事情によって在宅での介護が困難になることもあるでしょう。
そのためにあるのが「在宅難病患者一時入院事業」です。

この事業は、患者さんの安定した療養生活の確保をすること、また介護者の福祉の向上を図ることを目的としています。

この記事では、大田区にお住まいの在宅難病患者さんやその介護者(ご家族等)に向けて、「在宅難病患者一時入院事業」の概要や利用方法などを解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてくださいね。


大田区での制度の概要

「在宅難病患者一時入院事業」とは、在宅難病患者さんの介護者が自分の病気や事故などの理由によって一時的に介護ができなくなった場合、患者さんが短期間入院するための制度です。
大田区ではいつでも患者さんが入院できるよう、都内の医療機関のベッドを確保しています。
この場合の医療機関とは、東京都と委託契約を結んだ入院施設のある病院のことをいいます。
1回の申し込みで入院できる期間は、原則最大1ヶ月です。
ただし、年度内(その年の4月から3月)では合計して90日間が限度となっています。

また、上記の期間を超えなければ、年度内に繰り返し(複数回)利用することができます。


大田区での利用できる対象者

大田区での「在宅難病患者一時入院事業」の対象者は、以下の①〜④すべてに当てはまる方です。

(1)東京都内に住所を有する方

(2)東京都難病医療費等助成対象疾病にり患している方

(3)家族等の介護者の療養、休息等の理由により在宅での介護を受けることが困難になった方

(4)常時医学的管理の下におく必要のある方


大田区での注意事項

「在宅難病患者一時入院事業」を利用するにあたって、いくつか注意事項がありますので解説していきます。


  • 事業の利用開始前の3週間前から申し込みができます。ただし、24時間人工呼吸器を使用している方については、利用開始前の1ヶ月前からです。
  • 介護保険・障害福祉サービスのショートステイを利用できない方が優先となります。
  • 事業の利用には申請が必要です。事前に必ず指定の窓口へ相談するようにしましょう。直接医療機関に申し込むことはできないため、注意してください。
  • 申請者の状況や医療機関の体制(申し込み者が多数いた場合など)によって、確実に入院の保証はできません。また、入院が決まったとしても、受け入れ先の医療機関との日程調整が必要になるため、緊急の場合を除きすぐに入院はできません。
  • 入院の目的が介護者の療養や休息であることから、特別な治療を受けることはできません。ただし、必要となった場合は入院治療に切り替えて治療を受けることができます。
  • 受け入れ先の医療機関によって医療や看護体制等が異なります。そのため、日頃在宅で受けているものと全く同じケア・介護を受けることは難しいです。


大田区での制度利用の窓口

大田区にお住まいの在宅難病患者さんが、この事業の申請や相談をする窓口は以下の通りです。

● 大田区役所 大森地域健康課

住所:大田区大森西一丁目12番1号(大森地域庁舎)

電話番号:03-5764-0662


● 大田区役所 調布地域健康課

住所:大田区雪谷大塚町4番6号(調布地域庁舎)

電話番号:03-3726-4147


● 大田区役所 蒲田地域健康課

住所:大田区蒲田本町二丁目1番1号(蒲田地域庁舎)

電話番号:03-5713-1702


● 大田区役所 糀谷・羽田地域健康課

住所:大田区東糀谷一丁目21番15号(糀谷・羽田地域庁舎)

電話番号:03-3743-4163

まずは、電話でご自身の状況を伝え、相談することをおすすめします。
申請に必要な書類や手続きについて詳しく説明を受けることができます。

大田区での申請方法

申請方法・流れについては以下の通りです。

①「在宅難病患者一時入院申請書」という書類を記入し提出します。

②東京都知事が保健所と医療機関と連絡を取り、患者さんの健康状況や病院の使用状況・機能などをふまえて、入院の可否を決定します。

③その後、通知書によって患者さんが入院できるかどうか、通知が来ます。


もし入院期間の延長を希望する場合は、「在宅難病患者一時入院期間延長申請書」を提出します。
その後の流れは上記と同様です。

延長が可能と判断された場合、1回の入院につき2週間を限度として延長が認められます。

ただし、もともとの入院期間の限度(1回に最大1ヶ月・年度内に最大90日)を超えることはできません。


まとめ

「在宅難病患者一時入院事業」は、在宅で療養を受けている難病患者さん、そして休息や療養などが必要で介護が困難になった方に向けた制度です。
利用するには条件や申請が必要になりますので、しっかりチェックしてから利用するようにしましょう。
困った時に安心して療養できるよう、日頃から確認しておくといいですね。