難病を抱えながら在宅で療養している方や、その介護をされているご家族にとって、先の見えない不安は尽きないものです。
特に、介護者が病気や急な用事で介護ができなくなってしまったら…
そんな時、頼りになるのが杉並区の「在宅難病患者短期入所事業」です。
この事業は、在宅で療養している難病患者さんが、介護者の都合により一時的に介護が困難になった場合に、短期間施設に入所できる制度です。
患者さんの安定した療養生活を支えるとともに、介護者の負担を軽減することを目的としています。
今回は、杉並区の「在宅難病患者短期入所事業」について、制度の概要から利用方法まで、わかりやすく解説していきます。
ぜひ、最後まで読んで、もしもの時に備えてください。
杉並区の「在宅難病患者短期入所事業」は、在宅で生活している難病患者さんの介護者が、病気や事故、急な用事などで一時的に介護ができなくなった場合に、患者さんが短期間、協力医療機関や高齢者福祉施設などに入所できる制度です。
この制度を利用することで、患者さんは介護を受けられない期間も安心して過ごすことができ、介護者は安心して療養や用事を済ませることができます。
杉並区では、患者さんがスムーズに入所できるよう、区内の医療機関や高齢者福祉施設と連携しています。
短期入所の期間について
・原則: 1回の入所期間は最長7日間です。
・年間利用日数: 1年度(4月から翌年3月まで)につき最長21日間まで利用できます。
・必要に応じて、年度内に複数回利用することも可能です。
この制度は、患者さんと介護者双方の安定した生活を支えるための大切な仕組みです。
杉並区の「在宅難病患者短期入所事業」を利用できるのは、以下のすべてに当てはまる方です。
①杉並区にお住まいで、在宅で生活している方: 入所時および退所後の生活場所が杉並区内の自宅である必要があります。
②指定難病または東京都の特定疾病にかかっている方: 国や都が定める医療費助成の対象となる病気の方です。
③家族などによる介護を受けている方: 日常生活において、ご家族などからの介護を受けていることが前提となります。
④介護者の都合により、一時的に在宅での介護が困難になった方: 介護者の病気、療養、休息、受診、仕事や家庭の事情による外出、入院などが理由となります
⑤常時医療的管理の必要性が低い方: 短期入所を受け入れる施設では、高度な医療ケアを提供できない場合があります。そのため、日常的な医療処置は必要だが、状態が比較的安定している方が対象となります。
例えば、在宅でパーキンソン病の療養をしているCさんの場合、普段は奥様が介護をしていますが、奥様が急な病気で1週間入院することになりました。
Cさんは、日常的な服薬や食事の介助は必要ですが、状態は安定しています。
このような場合、Cさんは「在宅難病患者短期入所事業」を利用して、協力医療機関や高齢者福祉施設に短期間入所することができます。
「在宅難病患者短期入所事業」を利用するにあたっては、以下の点に注意が必要です。
例えば、在宅でALS(筋萎縮性側索硬化症)の療養をしているDさんの場合、日常的に痰の吸引や経管栄養が必要なため、「在宅難病患者短期入所事業」の対象とならない可能性があります。
このような場合は、他の医療的ケアに対応できる短期入所サービスの利用を検討する必要があります。
杉並区にお住まいの在宅難病患者さんが、この事業の申請や相談をする窓口は以下の通りです。
● 杉並区役所 保健福祉部 障害福祉課 福祉サービス係
住所:杉並区阿佐谷南1丁目15番1号(東棟2階)
利用時間:平日 午前8時30分~午後5時(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)
電話番号:03-3312-2111(代表)
まずは、電話でご自身の状況を伝え、相談することをおすすめします。
申請に必要な書類や手続きについて詳しく説明を受けることができます。
「在宅難病患者短期入所事業」を利用するための申請の流れは以下の通りです。
1.事前相談: まずは、杉並区役所 障害福祉課 福祉サービス係に電話で相談し、ご自身の状況が利用対象となるか確認します。申請に必要な書類(例)
杉並区の「在宅難病患者短期入所事業」は、在宅で療養している難病患者さんと、その介護を担うご家族にとって、大きな支えとなる制度です。
もしもの時に備えて、この制度の内容を理解しておき、必要になった際には、ためらわずに杉並区の窓口に相談してください。
この制度が、難病患者さんとそのご家族が、安心して地域で療養生活を送るための一助となることを願っています。
参考文献