高齢者見守りネットワーク事業

「もしかして、私も利用できるのかな?」

難病や障害を抱えながら杉並区で生活していると、日々の暮らしの中で様々な不安を感じることがあるかもしれません。そんな時、地域の中で支え合い、安心して暮らせるようにサポートしてくれる制度があることをご存知でしょうか?

それが、杉並区の「高齢者見守りネットワーク事業」です。

この事業は、高齢者の方だけでなく、難病や障害のある方も含め、地域で生活する上で支援が必要な方が、住み慣れた場所で安心して暮らせるように、様々な関係機関や地域住民が連携して見守りや支援を行う仕組みです。

今回は、この「高齢者見守りネットワーク事業」について、制度の概要から利用方法まで、わかりやすく解説していきます。
ぜひ、ご自身や周りの方のために、この制度を知って、活用してください。


高齢者見守りネットワーク事業とは

杉並区高齢者見守りネットワーク事業は、地域に暮らす高齢の方や、難病や障害があり日常生活に不安を感じている方が、安心して地域で生活できるよう、区、関係機関(医療機関、介護サービス事業所、警察署、消防署など)、地域の団体、そして地域の住民が協力して、見守りや必要な支援を行う事業です。

具体的には、以下のような活動が行われています。

早期発見・早期対応:日常生活の中で「いつもと違う様子」に気づいた人が、区の窓口や関係機関に連絡することで、早期に状況を把握し、適切な支援につなげます。
情報共有関係機関が、支援に必要な情報を共有し、連携してサポートを行います。ただし、個人情報保護には十分配慮されます。
見守り活動の推進 地域住民が主体となった見守り活動を支援し、地域全体の支え合いの意識を高めます。
相談・支援体制の強化困りごとや心配ごとがある場合に、気軽に相談できる窓口を設け、必要な情報提供や支援を行います。 

この事業の大きな特徴は、「高齢者」という名称が付いていますが、支援の対象は高齢の方に限らないということです。
難病や障害があり、日常生活に不安を感じている方も、このネットワークの支援を受けることができるのです。

例えば、一人暮らしで体調を崩しやすい難病の方の場合、地域の民生委員やボランティアが定期的に声かけをしたり、緊急時の連絡体制を整えたりすることで、安心して生活を送ることができます。
また、視覚に障害のある方が、近所の方の協力で買い物に行くことができるようになるなど、地域の中で様々なサポートが行われています。


杉並区で利用できる対象者

この事業を利用できるのは、杉並区にお住まいで、以下のいずれかに該当し、見守りや支援が必要な方です。

  • 高齢の方: 一人暮らしや高齢者のみの世帯で、日常生活に不安がある方
  • 難病のある方: 日常生活を送る上で継続的な支援が必要な方。
  • 障害のある方: 身体障害、知的障害、精神障害などがあり、日常生活に不安がある方


具体的には、以下のような状況の方が対象となる可能性があります。

  • 一人暮らしで、急な体調不良時に連絡できる人がいない。
  • 難病の進行により、日常生活動作に困難が増えてきた。
  • 障害のため、外出や買い物に不安を感じることが多い。
  • 認知症があり、徘徊の心配がある。
  • 経済的な困窮があり、生活に不安を感じている。
  • 誰かに相談したいけれど、相談できる人が身近にいない。


重要なのは、年齢に関わらず、支援が必要な状況にある方が対象となるということです。
「高齢者」という言葉にためらわずに、まずはご自身の状況を相談してみることが大切です。

例えば、40代で難病を患い、一人暮らしで日常生活に不安を感じているAさんも、このネットワークの支援対象となる可能性があります。
Aさんの場合、定期的な訪問による安否確認や、必要な医療・福祉サービスの紹介、緊急連絡先の共有などの支援を受けることで、安心して自宅での療養生活を送ることができるかもしれません。


高齢者見守りネットワーク事業の注意事項

この事業を利用するにあたっては、いくつかの注意点があります。

  • 本人の同意が原則: 支援を行うためには、ご本人またはご家族の同意が必要です。
  • プライバシーへの配慮: 見守り活動や情報共有は、個人情報保護に十分配慮して行われます。
  • サービスの範囲: この事業は、日常生活の見守りや情報提供、関係機関との連携が主な内容であり、直接的な介護サービスや医療行為を提供するものではありません。必要な場合は、適切なサービスを紹介してもらえます。
  • 地域の協力体制: この事業は、地域の様々な方々の協力によって成り立っています。ご理解とご協力をお願いします。
  • 申請が必要な場合: 支援の内容によっては、申請が必要となる場合があります。


例えば、見守り活動に参加している地域住民が、Bさん(聴覚障害のある一人暮らしの方)の異変に気づき、区の窓口に連絡した場合でも、実際に支援を開始するにはBさんの同意が必要です。
また、Bさんに対して、日常生活の介助が必要な場合は、区の介護保険課や障害福祉課に相談し、適切な介護サービスやホームヘルパーの紹介を受けることになります。

杉並区での申請窓口

この事業に関する相談や利用の申請は、以下の窓口で受け付けています。
まずは、お気軽にご相談ください。
<豊島区での難病医療費等助成制度の窓口>

【杉並区役所 高齢者支援課 地域包括ケア推進係】

所在地: 杉並区阿佐谷南1丁目15番1号(東棟3階)

電話番号: 03-3312-2111(代表)

受付時間: 平日 午前8時30分~午後5時(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)


また、お住まいの地域の**あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)**でも相談を受け付けています。
あんしんすこやかセンターは、高齢の方やその家族、地域住民の皆さんのための相談窓口で、高齢者福祉の専門職(保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員など)がいます。難病や障害のある方の相談にも応じてくれます。

お近くのあんしんすこやかセンターの連絡先は、杉並区のホームページで確認できます。


杉並区での申請方法

この事業の利用を希望する場合、まずは上記の申請窓口にご連絡ください。
相談員が、ご自身の状況や希望を丁寧に伺い、利用できる支援について説明してくれます。

具体的な申請の流れは、支援の内容や状況によって異なりますが、一般的には以下のようになります。


1.相談

まずは、杉並区高齢者支援課 地域包括ケア推進係またはお近くのあんしんすこやかセンターに電話や窓口で相談します。
ご自身の状況や困っていることを具体的に伝えましょう。

2.状況の把握

相談員が、ご本人の状況や必要な支援について詳しくお話を伺います。
必要に応じて、ご自宅を訪問することもあります。

3.支援計画の作成

 相談内容に基づき、どのような支援が必要か、関係機関と連携して支援計画を作成します。

4.同意

支援計画の内容にご同意いただければ、支援が開始されます。

5.支援の実施:

計画に基づき、見守り活動や情報提供、関係機関への連絡などが実施されます。

例えば、Cさん(視覚障害のある一人暮らしの方)が、買い物や外出に不安を感じて相談した場合、相談員はCさんの状況を詳しく聞き取り、地域のボランティアグループを紹介したり、外出支援サービスの利用を検討したりする支援計画を作成します。
Cさんが計画に同意すれば、ボランティアによる買い物支援や、外出支援サービスの申請手続きのサポートなどが開始されます。

さいごに

杉並区高齢者見守りネットワーク事業は、「高齢者」という名前が付いていますが、難病や障害のある方も含め、地域で生活する上で支援が必要な方が利用できる心強い味方です。

もし、あなたが今、日常生活に不安を感じているなら、一人で悩まずに、まずは杉並区の窓口やあんしんすこやかセンターに相談してみてください。
きっと、安心して地域で暮らすための一歩が見つかるはずです。


参考文献