医療的ケア児支援

医療的ケア児支援制度は、13〜18歳の子どもとその家族が安心して生活できるよう、医療・福祉・教育など多方面から支援する制度です。

制度の内容、対象者、申請方法までを詳しく解説します。


医療的ケア児支援とは

医療的ケア児とは、日常的に医療的なケアが必要な子どもたちを指します。

例えば、人工呼吸器や胃ろうを使用している子どもたちが該当します。

これらの子どもたちとその家族が、安心して生活できるよう、国や自治体が支援を行っています。


支援内容

13~18歳では、学校生活との両立が重要になるため、以下のような支援が提供されます。

● 高等学校での受け入れ支援

 看護師や支援員の配置を進め、学校での医療的ケアをサポート。

● 進学・就労支援

 大学や専門学校への進学支援、就労に向けた職業訓練やインターンシップの提供。

● 医療的ケア児支援センターの活用

 医療・福祉・教育の連携を図り、相談支援を提供。

● 地域支援体制の整備

 医療的ケア児コーディネーターの育成、自治体による支援制度の整備。

● 家族支援

 介護者向けの研修、レスパイトケア(短期休息支援)など。


医療的ケア児支援を利用できる人

13歳~18歳未満の児童(中高生)で以下のいずれかに当てはまる方

● 日常生活を送るうえで、人工呼吸器による呼吸の管理、たんの吸引、その他の医療行為を、一時的ではなく継続的に受ける必要があることです。

その他の医療行為には、『気管切開の管理、鼻咽頭エアウェイの管理、ネブライザーの管理、酸素療法、経管栄養(チューブやカテーテルを用いての栄養管理)、中心静脈カテーテルの管理、皮下注射、血糖測定、継続的な透析、導尿など』が例として挙げられています。

支援制度の対象となるのは、上記に当てはまる医療的ケア児本人、およびその家族です。

児童本人のケアや支援に加えて、例えば保護者が看護を行ったり生活する上での相談やサポートなども行われています。


具体的な利用例

  • Aさん(中学1年生): 先天性疾患により人工呼吸器を使用。特別支援学校に通いながら、看護師のサポートを受けて授業に参加。
  • Bさん(高校2年生): 交通事故の後遺症で人工呼吸器を使用。特別支援学校に通いながら、進学に向けた学習支援を受ける。
  • Cさん(高校3年生): 1型糖尿病でインスリンポンプを使用。通常学級に通いながら、学校の保健室で血糖管理を実施し、大学進学を目指す。


医療的ケア児支援の注意事項

支援制度の利用について、注意しておきたい点を解説します。

● 学校での医療的ケアの実施

 学校での吸引や経管栄養などのケアは、事前に学校側と相談し、看護師や支援員の配置を確認することが重要。

● 緊急時の対応

 人工呼吸器や胃ろうなどの医療機器を使用する場合、定期的な点検や予備の準備を行う。

● 通学・移動の安全確保

 学時の移動手段(送迎サービスの利用など)を検討し、安全に通学できる環境を整える。

● 進学・就労に向けた準備

 高校生になると進学や就労の選択肢が広がるため、医療的ケアと両立できる環境を整えることが必要。

● 災害時の対応

 災害時に必要な医療的ケアを受けられるよう、避難計画を立てておく。


12歳以下の子どもとの違い

進学や就労を見据えた支援が重要です。

学校や社会での受け入れ体制を整え、医療的ケアと自立の両立を支援することが大切です。


制度利用の問い合わせ先

医療的ケア児について、さまざまな支援制度や問い合わせを一本化するための「医療的ケア児支援センター」が存在します。これは医療的ケア児支援法によって整備が進められ、2024年には47都道府県すべてに設置されています。まずはここに問い合わせるのが良いでしょう。


またこれまでと同様に、市区町村役場の福祉担当窓口でも問い合わせを受け付けています。

お住まいの地域や状況にあわせて、相談しやすい場所を選びましょう。


医療的ケア児支援の申請方法

  1. 情報収集
    お住まいの自治体の公式ウェブサイトや窓口で、支援制度の内容や申請方法を確認します。

  2. 必要書類の準備
    医師の診断書や申請書類など、必要な書類を準備します。

  3. 申請書の提出
    準備した書類を自治体の窓口に提出します。

  4. 審査・認定
    提出された書類をもとに、支援の対象となるかどうかの審査が行われます。

  5. 支援の開始
    審査を通過すると、支援が開始されます。


申請時のポイント

  • 早めの申請を心がける:支援の開始までに時間がかかる場合があるため、早めの申請が望ましいです。
  • 不明点は相談する:申請方法や必要書類について不明な点がある場合は、自治体の窓口で相談しましょう。
  • 進学・就労支援の確認:高校卒業後の進路に向けた支援制度を調べ、必要な申請を行う。


まとめ

13~18歳の医療的ケア児支援では、進学・就労を見据えた支援が重要です。

学校での医療的ケアの受け入れ体制を整え、看護師や支援員の配置を進めます。

また、医療的ケア児支援センターを活用し、相談支援や職業訓練を提供。自治体の支援制度を活用しながら、社会参加の機会を広げることが求められます。

詳しくは厚生労働省やこども家庭庁の公式サイトで確認できます。


【参考】