障害児相談支援

難病や障害を持つ13〜18歳のお子さんとそのご家族の方へ。「どんな支援があるの?」「どこに相談すればいいの?」と悩んでいませんか?この記事では、思春期の子どもたちが利用できる「障害児相談支援」制度について、わかりやすく解説します。


支援内容

「障害児相談支援」は、障害や病気を持つお子さんとそのご家族が、日常生活や将来のことについて相談できる制度です。専門の相談員が、必要な支援やサービスを一緒に考え、利用できるようサポートします。

● 教育的支援

  • 特別支援教育:
    障害のある中学生・高校生は、通常の学校でも「特別支援学級」や「通級指導教室」で、個別に配慮された教育を受けることができます。

  • 就学支援金制度:
    公立高校だけでなく、一定の収入以下の家庭には、私立高校の授業料を一部支援する「高等学校等就学支援金」もあります。

  • ICTを活用した学習支援:
    読み書きが苦手な子どもには、タブレットや音声読み上げソフトなど、学びを支える道具の導入が進んでいます。障害児相談支援を通じて、こうした支援の必要性を学校に伝えることができます。


● 社会性的支援

  • 放課後等デイサービス:
    放課後や学校が休みの日に、同年代の仲間と過ごしながら、社会性や日常生活の練習をする場です。

  • 自立訓練(生活訓練):
    高校卒業を控えた17〜18歳の児童向けに、「将来自分で生活できるように練習する場所」です。

  • 就労準備支援:
    「働きたいけど、どうしたらいいかわからない」そんな子のために、職場体験やマナー指導を行う施設もあります(就労移行支援やジョブコーチ制度)。


● 健康・生活支援

  • 医療的ケア児への支援:
    13歳以降でも、たとえば人工呼吸器や胃ろうを使っている子は「医療的ケア児」として、看護師による支援や通学時の同行サポートを受けられます。

  • 障害福祉サービスの利用
    中高生になると、「障害福祉サービス受給者証」を取得することで、移動支援や日中活動支援なども利用できるようになります。


● 家族への支援

  • 障害児相談支援での家族支援:
    障害児相談支援の大きな役割の一つは、「家族も一緒に悩みを共有し、支え合う仕組みづくり」です。

  • 短期入所・レスパイト支援:
    家族が休息を取れるように、障害のある子どもを一時的に施設で預かる「ショートステイ」などもあります。

  • ペアレントトレーニングや支援グループ:
    「同じ悩みを持つ親同士が話し合う」場や、専門家からのアドバイスを受けられる研修も、自治体によって実施されています。


障害児相談支援を利用できる人

サービスを利用できるのは、以下のカテゴリーに該当する人々です。

● 障害のある13歳から18歳未満(中高生)の子どもたち:

この年齢層の子どもたちで、身体的、知的、感覚的、発達的、精神的な障がいを持っている場合、彼らは様々な形の支援とサービスを受ける資格があります。

● 障害児の保護者および家族:

障害を持つ子どもの親や法的保護者、その他の家族メンバーであれば、障害児の支援に関する情報提供や相談、サポートプログラムにアクセスできます。

● 障害児と関わる専門家や教育者:

障害児の教育や日常の世話、リハビリテーションなどに携わる教師、特別支援教育専門家、リハビリテーション専門家、社会福祉士、児童心理学者なども、その職務上このサービスの利用が可能です。

対象者は、自治体或いは地域の障害者支援機関、学校、または福祉センターに相談することで、これらの支援サービスに関する情報を得ることができます。支援を受けるためには、まずは対象者または保護者が自らその意志を表明し、必要な手続きを進めることが重要です。


具体的な利用例

  • Aくん(15歳):
    学校での人間関係に悩んでおり、放課後等デイサービスを利用してコミュニケーションスキルを学んでいます。

  • Bさん(17歳):
    難病のため定期的な医療ケアが必要で、将来の就職に向けて就労移行支援を受けています。


障害児相談支援の注意事項

障害児相談支援の利用について、注意しておきたい点を解説します。

● 対象年齢とサービスの適合性

  • 対象となる子どもがこのサービスの年齢範囲(13歳〜18歳)に当てはまるか確認してください。
  • サービス提供は、子どもの発達段階や個別のニーズに応じたものであるべきです。全ての子どもに同じ形の支援が適しているとは限りません。


● 
ニーズの正確な評価

  • 子どもの状態やニーズに関する正確な評価が重要です。これには、専門家による評価や家族からの入力が必要となります。
  • 評価を基に、最も適切な支援プログラムやサービスを選択してください。


● 
情報の共有

  • 家族、専門家、学校など、子どもの支援に関わる全ての人々間で情報を共有することが重要です。これにより、一貫性のあるサポート体制を構築できます。
  • プライバシーに関する権利や個人情報の保護に注意し、情報共有は適切な範囲で行ってください。


● 
プログラムの定期的な見直し

  • 子どもの成長や変化に応じて、提供されるサービスや支援も変わる可能性があります。定期的な見直しと調整が必要です。
  • 効果のモニタリングとフィードバックを通じて、プログラムの有効性を評価し、必要に応じて調整を行います。


● 親との協働

  • 親や家族は、子どもの支援プロセスにおいて極めて重要なパートナーです。支援の計画や実施に際しては、家族の意見やニーズを十分に考慮に入れることが大切です。
  • 家族に対する支援や教育も提供することで、家庭内でのサポート体制も強化されます。


● 長期的視点

  • 障害児支援は、短期的な目標達成のみならず、長期的な視点を持つことが重要です。子どもが自立し、社会に参加できるよう長期的な計画と目標を設定してください。
  • 成功のためには、忍耐強い取り組みと時間が必要です。即時の結果を期待せず、段階的な進歩を評価しましょう。


適切な支援を効果的に活用するためには、これらの注意事項を理解し、適用することが重要です。サポートを求める過程で不明な点や困難がある場合は、専門家や相談機関に相談することが推奨されます。


障害児相談支援に関する問い合わせ先

障害児相談支援に関するお問い合わせ先は、お住いの地域によって異なります。以下の機関や方法で情報を得ることができます。

  1. 地方自治体(市区町村役場)
    - 多くの自治体には、福祉部門や教育委員会があり、障害児支援サービスに関する情報提供や相談窓口を設けています。最初の連絡先として適しています。

  2. 特別支援教育相談窓口
     子どもが通っている学校、または学校教育を管轄する地方の教育委員会に、特別支援教育に関する相談窓口が設置されていることがあります。

  3. 障害児支援センター
    - 地域によっては、障害児とその家族をサポートするための専門のセンターが存在する場合があります。これらのセンターは、多様な支援サービスの提供や情報提供に対応しています。

  4. 国立または公立の医療機関
    - 医療機関の中には、発達障害や特定の障害に関する専門クリニックを有しており、相談や評価、治療のサービスを提供しています。

  5. 地域の福祉事務所
    - 障害者手帳の申請や、障害者福祉サービスに関する相談を行う機関です。

  6. 非営利組織(NPO)や支援団体
    - 障害児やその家族を対象とした非営利組織や民間団体が多数存在し、専門的なアドバイスやサポート、情報提供を行っています。


お問い合わせの際は、具体的なサービス内容や対応の範囲、利用にかかる費用(無料または有料)、サービス利用の手続き方法など、明確な情報を確認することが重要です。また、相談を行う前に、子どもの情報(障害の種類、年齢、具体的な支援ニーズなど)を整理しておくとスムーズです。


障害児相談支援の申請方法

1情報収集

  • サービスについて調査:障害児相談支援の種類、提供機関、サービス内容などについて調査します。自治体のウェブサイト、学校、医療機関、福祉事務所などが情報源となります。
  • 直接問い合わせ:具体的なサービス内容や申請方法については、関連機関に直接問い合わせて確認します。

2: 必要書類の準備

  • 障害証明の取得:障害診断書や障害者手帳など、子どもの障害の状況を証明する書類が必要です。
  • 申請書類:サービス申請書や、場合によっては家族の状況を説明するレポートなど、指定されたフォームを準備します。

3: 申請

  • 書類提出:準備した書類を関連機関に提出します。申請は直接窓口へ持参するか、郵送またはオンラインで行う場合があります。
  • 面接や評価:申請後、子どもの具体的なニーズを評価するために面接や追加の評価が行われることがあります。これはサービスの適切な提供を決定するためです。

4: サービスの開始

  • サービス計画の策定:申請が承認されたら、専門家やサービス提供者と協力して、子どものための個別の支援計画を策定します。
  • サービスの開始:サポートプログラムへの参加や、必要な支援サービスが開始されます。

5: 定期的な見直し

  • プログラムの評価:定期的にサービスの効果を評価し、子どもの成長や変化に合わせてサポート内容を調整します。


申請時のポイント

申請プロセスには時間がかかる場合があるため、早めに手続きを開始することが重要です。提出する書類はコピーを取っておくとよいでしょう。サービス提供機関や地域によっては、申請方法や必要書類が異なる可能性がありますので、事前に確認が必要です。

以上の手順を参考にして、必要なサポートを受けるための申請を進めてください。障害がある子どもたちが適切な支援を受けることで、その潜在能力を最大限に引き出し、充実した生活を送ることができるようになります。


まとめ

13〜18歳の子どもが難病や障害を持っている場合、「障害児相談支援」を利用することで、適切な支援やサービスを受けることができます。早めの相談が、子どもの成長や家族の安心につながります。まずは、お住まいの市区町村の窓口に相談してみましょう。


【参考】