計画相談支援

計画相談支援は、18歳以上の障害や難病のある方が自立した生活を送るために、適切な福祉サービスの利用計画を立て、継続的にサポートする制度です。

この記事では、制度の概要から申請方法までをわかりやすく解説します。


計画相談支援とは

計画相談支援は、障害や難病のある18歳以上の方が、自立した生活を送るために必要な福祉サービスを適切に利用できるよう支援する制度です。

この制度では、専門の相談支援専門員が、利用者の希望や状況を把握し、最適なサービス等利用計画を作成します。また、サービス利用後も定期的に見直し(モニタリング)を行い、必要に応じて計画を修正します。


支援内容

以下のような支援が提供されます。

  1. 教育・就労支援
    18歳以上になると、進学や就職など、将来を見据えたライフステージに入ります。
    計画相談支援では、学びや働くことに関する支援も含まれます

  2. 社会参加・生活支援
    自立した生活には、通院や買い物、金銭管理、人との関わりも含まれます。生活全体をサポートする支援が受けられます。

  3. 健康・医療面の支援
    定期的な通院や医療的ケアが必要な方にとって、医療との連携も生活の一部です。計画相談支援では、医療や介護との橋渡しも担います。

  4. 家族や身近な支援者への支援
    障害のある本人だけでなく、ご家族や支援者の負担軽減も大切な要素です。家族をサポートする計画も立てられます。

計画相談支援では、「支援者が勝手に決める」のではなく、本人の希望や困りごとを中心に支援内容が決まるのが特徴です。


計画相談支援を利用できる人

計画相談支援の対象となるのは、以下の条件を満たす18歳以上の方です。

  • 身体障害、知的障害、精神障害のある方
  • 難病などにより生活に支援が必要な方
  • すでに障害福祉サービス(例:居宅介護、就労支援など)を使っている方、またはこれから利用したい方
  • 地域生活に移行する準備が必要な方(施設や病院から退所・退院予定の方など)


具体的な活用事例

  • 発達障害がある20歳の大学生
    大学生活を送っているが、対人関係が苦手で生活のリズムが崩れがちな大学生。
    定期的な相談支援を通じて、一人暮らしの生活管理(食事・掃除・金銭管理)をサポート。必要に応じて家事援助の支援も計画。

  • 統合失調症のある30代男性
    地域のグループホームに居住中。服薬や通院は安定しているが、対人トラブルで職場を離職。日中活動の場として生活介護の利用を検討し、再就労に向けてステップを踏む支援計画を策定。

計画相談支援と障害児相談支援の違い

項目 計画相談支援 障害児相談支援
対象年齢 原則18歳以上 18歳未満の児童
対象制度障害福祉サービス障害児通所・入所支援
主なサービス計画 サービス等利用計画 障害児支援利用計画
支援内容 自立した地域生活を送るためのサポート 子どもの発達や日常生活支援、家族支援が中心
具体的な支援例 就労移行支援、生活介護、グループホーム支援 放課後等デイサービス、児童発達支援、保育所等訪問支援

計画相談支援の注意事項

支援制度の利用について、注意しておきたい点を解説します。

  • 計画相談支援の利用は原則必須:
    障害福祉サービスを利用する際には、原則として計画相談支援を受けることが必要です。
  • 相談支援専門員の選定:
    計画相談支援を受けるには、指定特定相談支援事業者に所属する相談支援専門員を選定する必要があります。
  • サービス利用計画の見直し:
    サービス等利用計画は、定期的に見直しが行われます。利用者の状況や希望に応じて、計画を柔軟に変更することが可能です。

制度利用の問い合わせ先

計画相談支援の申請は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。

申請に必要な書類

障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)

  • 医師の診断書や意見書(必要に応じて)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)・障害福祉課

申請後、市区町村が指定特定相談支援事業者を紹介し、相談支援専門員とともにサービス等利用計画を作成します。


計画相談支援の申請方法

  1. 市区町村窓口での相談
    まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で、計画相談支援の利用について相談します。

  2. 指定特定相談支援事業者の選定
    市町村から、地元の指定特定相談支援事業者(=相談支援専門員が所属する事業所)のリストが提示されます。

  3. アセスメント(面談)
    相談支援専門員と面談をします。現在の生活の状況や、困っていること、希望する支援内容などを話し合います。

  4. サービス等利用計画の作成
    面談の内容をもとに、「サービス等利用計画(ケアプラン)」を相談支援専門員が作成します。

  5. 市区町村へ提出・審査
    作成した計画書を市区町村に提出します。
    市区町村は内容を審査し、問題がなければ「支給決定」を行います。
    審査期間:おおむね2〜4週間(地域によって異なります)

  6. サービス利用開始
    「障害福祉サービス受給者証」が発行されると、いよいよ支援サービスを利用できます。
    その後も、定期的なモニタリング(訪問・面談)が行われ、生活状況に応じて計画の見直しが可能です。


まとめ

計画相談支援は、18歳以上の障害や難病のある方が、自分に合った障害福祉サービスを無理なく、計画的に利用するための仕組みです。サービスを利用する前に必ず必要な「サービス等利用計画書」の作成を、相談支援専門員と一緒に行うことが大きな特徴です。


【参考】