「少しだけ、ひと休み」──難病のお子さんを育てるご家族へ

〜レスパイトケアという選択肢〜

2025/9/25公開

毎日、お子さんのケアに追われているお母さんへ。

「少しでいいから、一人になる時間がほしい」

「深呼吸する時間がほしい」

そう感じることはありませんか?

難病のお子さんのケアは、24時間体制。通院や急な体調の変化もあり、自分のことは後回しになりがちです。

でも、ご家族が元気でいることが、一番大切なこと。


このページでは、そんなご家族のために「ひとやすみ」できる方法をご紹介します。


コーヒー

「レスパイトケア」を知っていますか?


「レスパイト(respite)」とは、英語で“ひと休み”という意味。

レスパイトケアとは、日常的に介護や看護をしているご家族が、心身ともにリフレッシュできるよう、短時間・短期間だけ介護やケアを代わりに引き受けてもらう仕組みです。

たとえば、


  • 自分の病院に行きたいとき
  • 少し昼寝がしたいとき
  • 上の子の学校行事に参加したいとき
  • 心が折れそうなとき


そんなときに「お母さんが一人になれる時間」をつくるのがレスパイトケア。

一時的でも、誰かに頼れるということは、心の支えにもなります。



ご家族の中でできるサポートも、大きな力に

外の制度を使うことに加えて、家の中でできるサポートも大切な支えになります。

たとえば…

  • 夫婦で家事やケアを分担する
  • きょうだいとの時間を交代でつくる
  • 祖父母にごはんづくりや送迎をお願いする


「少しだけ代わってもらう」「一緒にやる」だけでも、気持ちが軽くなることがあります。

でも、


「実家が遠くて頼れない」

「家族にお願いしにくい」

という方も多いと思います。


そんなときは、無理にひとりで抱え込まなくていいように作られた仕組み,それがレスパイトケアです。

頼れる人が近くにいなくても、支えてくれる制度や人はきっといます。

「少し休みたいな」と思ったら、その気持ちをどうか大事にしてください。


「ちょっとだけ休みたい」ご家族のための5つの選択肢

1:一時預かり保育(デイ型)

自治体などで、ケアが必要なお子さんを、数時間〜1日程度預かってもらえるサービスです。

受け入れの内容や体制には違いがあるため、「どんなサポートがあるのか」「どこで利用できるのか」は、それぞれ確認が必要です。

詳しくは、お住まいの自治体の「子育て支援課」や「障害福祉課」、「保健センター」などに相談してみるのがおすすめです。


困ったときは、「難病の子どもの一時預かりについて相談したい」と伝えてみてください。


▶参考リンク:


2:自治体の独自ショートステイ事業(宿泊型)

数日〜数週間、お子さんを施設に預けられる公的サービスです。

ご家族がまとまった休息をとったり、旅行や冠婚葬祭などに参加するためにも活用されています。

施設や支援内容も充実していることが多く、医療ケアが必要なお子さんにも対応できる場合が多いです。


ご利用の際は、お住まいの自治体の福祉担当窓口や障害福祉課に問い合わせてみてください。相談しながら、利用条件や申請方法を案内してもらえます。


▶参考リンク:


3:ファミリー・サポート・センター(地域のサポート)

ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)は、地域の「預かれる人(協力会員)」が、送迎や短時間の預かりを行う仕組みです。登録制で、自治体が間に入ってマッチングします。

難病や医療的ケアが必要なお子さんにも対応可能な場合がありますが、協力会員には対応できる方とそうでない方がいるため、事前に保育支援課や福祉課に相談することが大切です。


※ショートステイとの違い:

ショートステイは施設や事業所に子どもを預けて泊まることもできる公的サービスである一方、ファミサポは地域の個人同士の支え合いに近く、日中の短時間利用が主になります。より柔軟ですが、医療的な対応力は施設型より限定される場合があります。


4:民間・NPOのレスパイト支援

最近では、NPO法人や企業によるレスパイトサービスも増えてきています。地域に密着した支援を行っている団体も多く、きめ細やかなサポートが期待できます。


探し方のポイント>

・まずは、お住まいの市区町村の福祉課や保健所に相談してみましょう。地域で利用できるNPOや民間サービスの情報を教えてもらえることがあります。

・インターネットで「〇〇市 レスパイト支援」や「難病 レスパイトサービス」などのキーワードで検索してみるのも有効です。公式サイトや口コミ、利用者の声も参考になります。

・また、難病の子どもや家族を支援する団体のウェブサイトやSNSをチェックすると、新しいサービスやイベント情報を知ることができます。

・直接問い合わせて、対応エリアやサービス内容、料金について詳しく聞いてみると安心です。


少し手間に感じるかもしれませんが、お母さんが安心して休める時間を作るために、ぜひゆっくり探してみてくださいね。

▶参考リンク:


5. 訪問型サポート(ご自宅で)

訪問看護や居宅介護の仕組みを使い、ご自宅でケアを代行してもらう方法です。

外出が難しいご家族にも利用しやすい支援です。

看護師が自宅でケアしてくれる間に、別室で休んだり外出したりできたりします。


<訪問型サポートを探すための3ステップ>

①自治体の福祉・保健窓口にまず相談

「医療的ケアが必要な子どもを短時間預かってもらえる制度はありますか?」と聞いてみましょう。

②医療的ケア児 訪問 看護 NPO」などで検索してみる

訪問保育や看護が可能な民間・NPOサービスが見つかることがあります。

③訪問看護ステーションに直接問い合わせる

医療的ケアに慣れた看護師が自宅でケアを代わってくれる“留守番看護”という形で、外出を安心してできる時間をつくれます。



「少し休む」ことは、わがままなんかじゃありません

お子さんのケアに真剣に向き合っているご家族ほど、

「自分が休むなんて…」と思ってしまうことがあるかもしれません。

でも、少し立ち止まって深呼吸すること、ほんのひとときでも自分の心と体をいたわることは、

決してわがままではなく、とても大切なことです。


ご家族の笑顔やゆとりは、お子さんにとっても安心や元気につながります。

制度を利用することに、後ろめたさや罪悪感を感じる必要はありません。

休むことも、ケアの大切な一部。

ご自身を大切にすることが、めぐりめぐって、お子さんを大切にすることにつながっていきます。



ひとやすみ

医療的ケアのあるお子さんのいるご家族の関連体験談

       一時預かりを利用されているお母さまの体験談です。

       訪問看護師さんとのお話が聞けます。

      ご夫婦での育児の分担の葛藤についてお話されています。

    旦那さんとの家事分担について社会的な問題からお話されています。

     ご家族とうまく役割分担をされている体験談が聞けます。

     肩の力を抜いて、ご夫婦で育児をされているお話が聞けます。

     児童発達支援施設を利用することで心の余裕を作られたお母さまのお話です。

     お子さんと離れる勇気を出したことで、ご自身の時間を作られたお母さまのお話が聞けます。

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