行きたい場所へ、みんなで一緒に 障がい者・高齢者の旅を支える旅行会社「旅のよろこび」さん

2026/1/29公開

宮川和夫さんプロフィールのイメージ

旅のよろこび株式会社 代表取締役

宮川和夫さん

年齢や障がいの有無に関係なく、誰でも参加しやすい旅行(ユニバーサルデザイン旅行)を企画・実施。 

旅行先の多目的トイレや段差の有無などについて下見を行い、看護師、介護職員、一般県民が車いすを押すなど、
介助ボランティアが同行する安心・安全な旅行で、旅の喜びを提供している。

インスタグラム、フェイスブックで旅の様子を発信する他、障がいや病気、社会問題を学ぶ学習会を開催。

UDツアーを実践する中で経験した、ハードとハートの両面での気づきを講演し、社会資源のUD化を促している。

●2007年「熊本県主催 ユニバーサルデザイン大賞」を受賞。2017年「優良 障がい者サポート企業」に熊本市より認定。2025年4月から熊本日日新聞「わたしを語る」に40回連載。

■1963年生まれ  ■資格:総合旅行業務取扱管理者・ホームヘルパー2級・福祉住環境コーディネーター2級・上級救命講習修了・認知症サポーター  ■趣味:エアロビクス、マラソン

「障がいがあるから」「医療的ケアが必要だから」と、旅行をあきらめてしまう人は少なくありません。

熊本を拠点に活動する旅行会社「旅のよろこび社」を運営する宮川和夫さんは、30年近くにわたり、障がい者や高齢者のバリアフリー旅行を専門に手がけてきました。

本インタビューでは、「行けるところではなく、行きたいところへ」という理念のもと、車椅子利用者や透析患者、軽度から重度の障がいがある方の旅行を実現してきた取り組みについて、代表の宮川さんにお話を伺いました。


インタビュー目次

1.障がい者さんや高齢者の皆さんの旅行に関わるようになったきっかけ

2.もっといろんなところに行ってほしい――透析をしながら叶えた東京の旅

3.🔏『行けるかどうか』ではなく『どう行くか』――人工呼吸器の方との旅(会員限定)

4.🔏旅行していると、思わぬ不便に出くわすことも。(会員限定)

5.🔏「行きたい気持ちに寄り添う旅——思わぬ壁に出会ったとき」(会員限定)

6.🔏旅で出会ったお客さんの物語(会員限定)

7.   🔏旅行中に最も不安なのは——トイレのこと(会員限定)

8.  🔏ボランティアさんにお願いしたいこと――旅をともに楽しむ仲間として(会員限定)

9.  🔏さいごに(会員限定)

車いすで旅行のイメージ

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1.障がい者さんや高齢者の皆さんの旅行に関わるようになったきっかけ

宮川さんは、もともと一般的な旅行会社で国内外の旅行や修学旅行の企画・同行を担当していました。

障がい者旅行に携わるようになったのは平成7年のことです。熊本県内の福祉施設の職員を北欧へ案内する視察旅行を担当、添乗したことが、大きな転機となりました。

旅行中、ある障がい者支援施設の施設長から、「利用者さんをハワイに連れて行けないだろうか」と相談を受けます。

当時は前例がほとんどなく、福岡からハワイまでは渡航時間も長いため、宮川さんは、より移動時間の短いグアムを提案しました。しかし返ってきたのは、「ハワイに行かせてほしい。」という言葉でした。

困難も多い挑戦でしたが、この経験を通じて、宮川さんの中に一つの考えが生まれます。


「行けるところに合わせるのではなく、行きたいところに行ってもらおう。」


そう語ってくださいました。


ハワイ旅行中、お客さんたちは満面の笑みを浮かべていたといいます。

目が見えない方が、「ハワイの海水って、あったかいのですね」

と話してくれました。目で見ることはできなくても、鳥の声や、風や空気の香りなど、残っている感覚すべてを使って、ハワイを楽しんでいらっしゃいました。


この思いが、現在まで続く障がい者・高齢者向け旅行事業の原点となっています。

宮川さん‗グアム旅行‗車いすのイメージ

2.もっといろんなところに行ってほしい――透析をしながら叶えた東京の旅


「もっともっと、障がいのある方たちに旅行に行ってもらいたい」


宮川さんのその思いが、強く形になった出来事の一つが、透析治療を受けている方との東京旅行でした。

当時、宮川さん自身、透析患者の旅行を手がけた経験はありませんでした。

「透析をしながら旅行なんて、本当にできるのだろうか」

正直、不安もあったといいます。

それでも一つひとつ調べていく中で、思いがけず道が開けました。

熊本の病院に相談すると、東京・新宿の透析病院と連携が取れることが分かり、カルテの情報や透析条件なども、病院同士でやり取りしてもらえることになったのです。

旅行当日は、熊本から羽田空港まで宮川さんたちが同行。

羽田からはタクシーで病院へ向かい、透析を受けたあと、夜にホテルへ戻るというスケジュールでした。

「思っていたほど大変ではなかった」

そして何より、「透析をしていても、旅行に行ける」という事実を、このとき初めて実感したといいます。

その東京旅行の中で、特に印象に残っている場面があります。

1月2日、皇居の一般参賀の日のことです。

その男性は、普段はラフな服装で旅行に参加されていましたが、この日は背広にネクタイを締めて皇居にお出かけになりました。

参賀のあとは「陛下にお会いできた」という気持ちが、胸いっぱいにあふれていました。

その姿を見て、宮川さんは強く感じました。

「旅には行ける、そして、行くことで、こんなにも心が動くのだ。」

さらに調べていくと、ハワイにも透析施設があり、海外旅行も可能だということが分かりました。

こうして旅の可能性は、日本国内にとどまらず、世界へと広がっていきます。


「制限があるから行けない、ではなく、どうすれば行けるかを考える。

それが、旅行会社として自分がやるべきことだと思うようになりました」


もっといろんなところに行ってほしい。

その思いは、今も宮川さんの原動力となり、次の旅へとつながっています。


3.🔏『行けるかどうか』ではなく『どう行くか』――人工呼吸器の方との旅

透析の旅で広がった可能性を語ったあと、宮川さんは、もう一つ印象深い出来事について話してくれました。

それが、人工呼吸器を使用し、病院に入院していた19歳の女の子との旅行です。

寝たきりで、通常の座席に座ることはできませんでした。

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