杉並区の「地域福祉権利擁護事業」は、障害や難病のある18歳以上の方を対象に、金銭管理や福祉サービス利用をサポートする制度です。利用対象や申請方法、注意点をわかりやすく解説します。
「地域福祉権利擁護事業」とは、杉並区社会福祉協議会が行う福祉サービス利用支援制度のひとつです。認知症、知的・精神障害、難病などにより判断能力が不十分な方が安心して生活できるように、福祉サービスの利用手続きやお金の管理を支援する事業です。
● 福祉サービス利用の手続き(申請・契約の同行)
● 日常的な金銭管理(年金、公共料金、生活費の管理)
● 重要書類・通帳の保管
● 生活支援員による定期的な訪問・相談
成年後見制度よりも柔軟で、自分の意思を大切にした支援が特徴です。
難病医療費助成制度は、通院費や薬代の負担軽減を目的とした制度です。
一方、地域福祉権利擁護事業は、日常生活そのものを支える支援です。
両制度の併用も可能なので、必要に応じて両方の利用を検討しましょう。
地域福祉権利擁護事業は、以下のような条件に該当する方を対象としています。
● 杉並区内に居住している18歳以上の方
● 認知症、知的障害、精神障害、または難病などで判断能力が不十分な方
● 日常生活に支援が必要で、親族や後見人がいない、または支援が困難な状況にある方
例1:ALS(筋萎縮性側索硬化症)で身体が不自由になり、家計管理が難しくなった50代の男性
例2:発達障害と精神疾患がある40代女性が一人暮らしで、福祉サービスの契約ができない
例3:認知症が進行した70代男性。身寄りはあるが、高齢で支援が難しいため、通帳の管理に不安がある
① 成年後見制度とは別制度です
地域福祉権利擁護事業は、あくまでも地域での自立生活を支える支援です。法律上の代理権を持つ成年後見制度とは異なり、本人の意思を尊重しながら、生活に必要な支援を行うことが特徴です。
② サービスは有料(利用料あり)
月額利用料は1,000円~数千円程度(支援内容により異なる)で設定されています。
生活保護受給世帯などの場合は減免制度がありますので、申請時に確認しましょう。
③ 財産管理や契約代行は対象外
預貯金の運用や投資、借金の返済などの法律行為には関われないことになっています。
あくまで日常生活に密接した支援が対象です。
申請や利用相談は、杉並区社会福祉協議会 地域福祉係が窓口です。
【申請窓口情報】
名称:杉並区社会福祉協議会 地域福祉権利擁護事業担当
電話番号:03-5347-1015(平日9:00~17:00)
所在地:杉並区成田東4-36-13(ケア24杉並併設)
不安なことがあれば、まずは無料相談からのスタートも可能です。
まずは、上記の窓口に電話で相談予約を行いましょう。お子さんの状態や家庭の状況を伝えると、担当者が丁寧に対応してくれます。
福祉協議会の専門員が、利用希望者の自宅や施設などを訪問し、生活状況や支援が必要な内容を確認します。
利用者本人と保護者の意見をもとに、どのような支援が必要かを一緒に考え、計画書を作成します。
契約を結び、生活支援員による支援がスタートします。通帳管理やサービス利用の手続きなど、状況に応じたサポートが行われます。
「難病医療費助成制度」は医療費の助成を目的としていますが、「地域福祉権利擁護事業」は日常生活や金銭管理を支援する制度です。併用可能なので、両方の制度を活用して支援を強化できます。
この制度は**財産の運用や法律上の保護を目的としたものではありません**。あくまで「地域で安心して暮らせるように生活を支援する」制度です。
病気や障害によって判断力や行動に不安があるとき、日常生活を送るだけでも大変な負担です。「地域福祉権利擁護事業」は、そんなときに地域での安心を守ってくれる制度です。
必要な支援を必要なときに受けることは、自立の一歩。まずは相談からでも構いません。困ったときは、杉並区の制度をうまく活用して、安心できる毎日を築いていきましょう。
【参考】
・杉並区ホームページ:地域福祉権利擁護事業(杉並区社会福祉協議会)