医療的ケア児支援制度は、0〜5歳の子どもとその家族が安心して生活できるよう、医療・福祉・教育など多方面から支援する制度です。

制度の内容、対象者、申請方法までを詳しく解説します。

医療的ケア児とは、日常的に医療的なケアが必要な子どもたちを指します。

例えば、人工呼吸器や胃ろうを使用している子どもたちが該当します。

これらの子どもたちとその家族が、安心して生活できるよう、国や自治体が支援を行っています。

0～5歳では、家庭でのケアが重要になるため、以下のような支援が提供されます。

● 医療型児童発達支援センター

　医療的ケアが必要な乳幼児が通所し、発達支援や医療的ケアを受ける施設。

● 居宅訪問型児童発達支援

　通所が難しい場合、支援者が自宅を訪問し、発達支援や生活サポートを提供。

● 保育所・幼稚園での受け入れ支援

　看護師の配置や個別支援計画の策定により、集団生活をサポート。

● 支援障害福祉サービスの利用

　短期入所や訪問看護など、家庭でのケアを支援する制度。

● 医療的ケア児支援センター

　医療・福祉・教育の連携を図り、相談支援を提供。

0歳～5歳未満の児童（乳幼児）で以下のいずれかに当てはまる方

● NICU（新生児集中治療室）を退院後も医療的ケアが必要な子ども

● 日常生活を送るうえで、人工呼吸器による呼吸の管理、たんの吸引、その他の医療行為を、一時的ではなく継続的に受ける必要な子ども

その他の医療行為には、『気管切開の管理、鼻咽頭エアウェイの管理、ネブライザーの管理、酸素療法、経管栄養（チューブやカテーテルを用いての栄養管理）、中心静脈カテーテルの管理、皮下注射、血糖測定、継続的な透析、導尿など』が例として挙げられています。

支援制度の対象となるのは、上記に当てはまる医療的ケア児本人、およびその家族です。

児童本人のケアや支援に加えて、例えば保護者が看護を行ったり生活する上での相談やサポートなども行われています。

• Aくん（5歳）: 先天性疾患により人工呼吸器を使用。保育園で看護師のサポートを受けながら集団生活を送る。
• Bちゃん（4歳）: 1型糖尿病でインスリンポンプを使用。幼稚園で血糖管理を行いながら活動に参加。
• Cくん（3歳）: 低出生体重児として生まれ、経管栄養が必要。居宅訪問型支援を利用しながら発達支援を受ける。

支援制度の利用について、注意しておきたい点を解説します。

● 家庭でのケア環境の整備

　医療機器の管理や衛生環境を整え、感染症のリスクを減らす。

● 保育所・幼稚園での受け入れ準備

　看護師の配置や個別支援計画の策定を事前に確認する。

● 緊急時の対応

　体調の急変に備え、保育施設や支援者と緊急時の対応マニュアルを共有する。

● 医療機器の管理

　人工呼吸器や胃ろうなどの医療機器を使用する場合、定期的な点検や予備の準備を行う。

● 家族・支援者との連携

　保育所や支援施設と定期的に情報共有し、子どもの健康状態や支援内容を確認する。

● 災害時の対応

　災害時に必要な医療的ケアを受けられるよう、避難計画を立てておく。

6歳以上の子どもたちと比べて、0〜5歳の子どもたちは、保育園や幼稚園などの就学前施設での受け入れ体制が整っていない場合があります。

そのため、早めに自治体や施設と相談し、支援を受ける準備を進めることが重要です。

医療的ケア児について、さまざまな支援制度や問い合わせを一本化するための「医療的ケア児支援センター」が存在します。これは医療的ケア児支援法によって整備が進められ、2024年には47都道府県すべてに設置されています。まずはここに問い合わせるのが良いでしょう。

またこれまでと同様に、市区町村役場の福祉担当窓口でも問い合わせを受け付けています。

お住まいの地域や状況にあわせて、相談しやすい場所を選びましょう。

1. 情報収集
   お住まいの自治体の公式ウェブサイトや窓口で、支援制度の内容や申請方法を確認します。
   
   
2. 必要書類の準備
   医師の診断書や申請書類など、必要な書類を準備します。
   
   
3. 申請書の提出
   準備した書類を自治体の窓口に提出します。
   
   
4. 審査・認定
   提出された書類をもとに、支援の対象となるかどうかの審査が行われます。
   
   
5. 支援の開始
   審査を通過すると、支援が開始されます。

• 早めの申請を心がける：支援の開始までに時間がかかる場合があるため、早めの申請が望ましいです。
• 不明点は相談する：申請方法や必要書類について不明な点がある場合は、自治体の窓口で相談しましょう。

医療的ケア児支援制度は、子どもたちとその家族が安心して生活できるよう、多方面から支援を行う制度です。支援を受けるためには、早めの情報収集と申請が重要です。

お住まいの自治体の窓口や公式ウェブサイトで、詳細な情報を確認し、必要な手続きを進めましょう。

【参考】

• 医療的ケア児等とその家族に対する支援施策｜子ども家庭庁
• 医療的ケア児について｜子ども家庭庁