SMAのリハビリの充実
― 日常生活とつながるリハビリの考え方 ―
はじめに
脊髄性筋萎縮症(SMA)のある方にとって、リハビリテーションは「特別な訓練」だけでなく、
日常生活を支えるための大切な取り組みの一つです。
身体機能の維持、二次的な合併症の予防、生活のしやすさを高めることを目的として、長期的かつ継続的に関わることが求められます。
しかし、多くのご家族や患者さんがリハビリに対して、
「何をどのくらい行えばよいのか分からない」
「頑張りすぎて体に負担をかけてはいけないのではないか」
といった迷いや不安を抱えることがあります。
SMAの症状や進行は個人差が大きく、年齢や生活環境によっても必要な支援やリハビリ内容は変化します。
そのため、リハビリの方法や目標も一人ひとり異なることを理解することが大切です。
本稿では、SMAのある方とご家族が、リハビリに向き合う際の基本的な考え方を整理しています。
※具体的な内容や頻度については、必ず主治医やリハビリ専門職と相談してください。
SMAにおけるリハビリは、「機能を回復させること」だけを目的とするものではありません。
現在の身体機能をできるだけ維持し、日常生活を安全で快適に送るための支援として位置づけられます。
具体的には、次のような目標が考えられます。

また、リハビリは医療機関だけで行うものではなく、家庭や学校、職場など日常生活の場面とつながっていることが大切です。家庭で行うリハビリや遊びの中での身体活動も、日常的なリハビリの一部と捉えることができます。

リハビリでは「頑張ること」が良いとは限りません。
無理な運動や過度な負荷は、疲労の蓄積や体調悪化につながる可能性があります。
ただし、薬物治療を行っている場合は、主治医・理学療法士(PT)と相談の上、機能向上を目指した積極的なリハビリを行う場合もあります。
日々のリハビリにおけるポイントは次の通りです。
また、達成度や回数だけを重視せず、取り組む姿勢や挑戦する気持ちを認めることも大切です。
「できない日があってもよい」という考え方は、継続のために重要な考え方です。
リハビリは、決められた時間だけに行う訓練ではありません。
日常生活の中で自然に取り入れることで、無理なく継続しやすくなります。
新生児マススクリーニング(NBS)発見例に対しては、訓練的なリハビリではなく、スポーツや遊びを通じた運動発達支援が中心になることが想定されます。

たとえば、テレビを見ながら上肢の軽い運動を行ったり、趣味の作業で手指や腕を使うこともリハビリにつながります。
こうした工夫により、リハビリを「特別な時間」から「生活の一部」へ変えることができます。

SMAのある方では、成長やライフステージに応じて、リハビリの目的や内容も変わります。
年齢や体調の変化に合わせ、リハビリの目標を定期的に見直すことが大切です。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などの専門職と定期的に連携することで、より安全で効果的なリハビリを進められます。

専門職との連携は、家庭だけで無理に行うリハビリによる疲労やケガを防ぐだけでなく、生活に沿った実践的なリハビリにつながります。

家族や介助者の関わり方も、リハビリの継続に大きく影響します。
介助者自身も無理をせず、自分の休息や気持ちの整理を行うことが、安心で継続的なリハビリにつながります。
リハビリは短期間で効果が出るものではなく、長期的に継続することが重要です。小さな変化や維持できていることを喜び、日々の取り組みの積み重ねとして捉えることが大切です。
「続けられること」そのものが、リハビリの大きな価値です。

おわりに
SMAのリハビリは、生活を支えるための「伴走型の支援」です。
医療・リハビリ専門職、家族、本人が協力しながら、その時々に合った方法を見つけていくことが大切です。
監修:国立精神・神経医療研究センター/ TMC(トランスレーショナル・メディカルセンター)センター長、
脳神経小児科診療部長 小牧 宏文 先生
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