医療的ケアが必要な子と、きょうだいたちと一緒に旅へ──

新幹線・飛行機を使うご家族のための、こころに寄り添う準備ガイド

2025/9/25 公開

はじめに

ご家族での移動を考えるとき、特に医療的ケアや配慮が必要なお子さんと一緒であれば、「きちんと対応してもらえるかな?」「きょうだいが寂しくないかな?」と不安が尽きませんよね。

でも今は、鉄道や航空会社が家族の思いに応えようと、少しずつサポート体制を整えています。

この記事が、ご家族みなさんの安心や笑顔につながりますように。そして「ひとつずつ確実に進められるように」と想いを込めてまとめました。

車いすで家族旅行

Step 1:まずは主治医の先生と相談

どんなに準備を整えても、まずはお子さんの体調が移動に耐えられるかを主治医に相談することが第一歩です。


特に、以下のようなポイントを確認すると安心です:

  • 移動中の体調の変化(長時間移動、気圧、振動など)。
  • 使用している医療機器や薬が移動先でも安全に使えるか。
  • 飛行機の場合は診断書(医師の意見書)が必要なこともあります。

 

「今の状態なら新幹線は大丈夫そうですよ」

そんな一言が聞けると、ご家族も一歩踏み出しやすくなりますね。



医師に相談

Step 2:新幹線を使うときのポイント

事前に相談・予約すると、安心して乗車できます

JR各社では、医療的ケアや配慮が必要な方のためのサポートを提供しています。

特に体調に不安がある場合には、「多目的室(個室)」の利用がおすすめです。


■ 新幹線利用の流れ(例:JR東日本)

  1. 駅の窓口やJRのサイト「おでかけサポート」で、サポート希望を申し込む
  2. 必要に応じて、多目的室の予約や、乗り降りのサポートも依頼
  3. 当日は少し早めに駅へ行き、駅員さんと合流


※多目的室は1か月前から予約できます。

利用を希望する場合は、なるべく早めに駅に相談を。


  • 多目的室は、新幹線ほぼ全列車に設置されており、身体が不自由な方が優先ですが、空いている場合は授乳や着替え、体調不良時にも利用可能です。

<参考サイト> 

JRおでかけネット(JR東海)


  • 駅係員に声をかければ、相談にも乗ってもらえます。


■きょうだいへのちょっとした配慮

移動中、どうしても医療的ケアが必要なお子さんに注意が向きがちです。

でも、きょうだいにも「自分も大切にされている」と感じられる瞬間を意識してつくってあげると、お互いに心が安定しやすくなります。


※例えばこんな工夫:

  • 新幹線での座席は近すぎず、でも見守れる距離に
  • 少し「ひとりで座る体験」も子どもにとって冒険に。
  • 多目的室を使う場合も、交代で中に入るなどして公平感を。
  • 「今日は○○ちゃんが頑張る日だけど、帰りは△△の番だよ」と、期待を未来に預ける声かけも効果的です。


<参考サイト>

おからだの不自由なお客様へ(JRおでかけネット)

Step 3:飛行機を使うときのポイント

■  医療機器持ち込み・使用の際に必要な準備

飛行機は気圧の変化や搭乗時間の長さなど、お子さんにとって特別な環境です。そのため、航空会社では体調や医療機器についての情報を事前に確認しています。


<飛行機利用の流れ(JAL・ANAの例)>

①予約前;主治医と相談。必要があれば医療証明書(診断書)を用意

②予約時;「おからだの不自由な方の相談デスク」などに連絡し、必要なサポートを申請

③受付期限;48時間前までに。医療機器の確認にお時間がかかる場合があるので、時間に余裕をもって。

④持ち物チェックは入念に。

⑤到着時;お出迎えの方まで係員が案内してくださいます。


 持ち物の例:お薬手帳/処方薬/吸引器・人工呼吸器/電源コード/主治医の連絡先/診断書(コピー)


■ きょうだいへの心配り:空港や機内でできること

  • 出発前にお子さん専用のリュックを準備して、「これは○○のミッションバッグだよ」と伝える。
  • きょうだいに「小さな係」をお願いする(搭乗券を持つ、シートベルトを教えてあげる など)。
  • 機内では、「ご褒美のジュース」や「親からの手紙」を仕込んでおくと、親の注意が分散している時間も安心して過ごせます。

※「ママがいそがしい時に、ちゃんと座っててくれてありがとう」そんな一言が、彼らの旅の記憶をあたたかくします。


<参考サイト>



Step 4:みんなが主役の旅にするために

「きょうだいの誰かだけが特別扱いされている」と感じないように、小さな気配りや言葉かけが、家族全体の安心感に繋がります。


 きょうだいがいるご家庭のよくある工夫:

  • あえて交互に注目を向ける(「今は○○ちゃんの番、次は△△くんの番」)。
  • 親ではなく祖父母やサポートスタッフがきょうだいの相手役になる時間をつくる。
  • 「あとで絵日記に描くために、ひとつだけ“すてきな場面”探しててね」と楽しみを託す。


<参考サイト>

医療的ケアのあるお子さんのいるご家族の関連体験談

おわりに

旅の前には、準備や心配ごとが尽きないものです。

でも、「家族みんなで同じ時間を過ごすこと」は、何よりもかけがえのない体験になるはずです。

医療的ケアが必要なお子さんも、

兄弟姉妹のみなさんも、

そして日々支えている大人たちも。

それぞれが、「これは自分のための旅だった」と感じられるような、そんな時間になりますように。


もし不安や迷いがあれば、ひとりで抱えず、ぜひ誰かに話してみてください。

私たちも、そんなときにそっと寄り添える存在でありたいと思っています。


楽しい旅のひとときが、たくさんの笑顔につながりますように。

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