
「“知ってもらうこと”が、娘の未来を変えていく」
― 軟骨無形成症とともに生きる3歳の娘と家族の歩み ―
軟骨無形成症とともに生きる3歳の娘と、その成長を見守りながら日々を重ねるご家族の歩みを伺いました。
今回お話を伺ったのは、3歳の娘さん(次女)が軟骨無形成症と診断されたお母さまです。
ご家族は、ご本人と夫、長女、次女、そして夫のご両親との6人暮らし。
日々の生活の中で、それぞれが自然に役割を持ちながら、娘さんの成長をあたたかく見守っています。
〇家族で支え合う日常のなかで
〇妊娠中にわかった診断と、揺れる気持ち
〇生まれてすぐの手術と、向き合い続ける医療 🔒
〇制度との出会いと、仕事との両立の難しさ 🔒
〇「大変だ」と言い続けることの大切さ 🔒
〇「知ってもらう」ことで変わる社会 🔒
〇娘に願う未来 🔒
〇同じ立場の方へ 🔒
〇おわりに 🔒

「家族みんなで支えている、という感覚があります」と語るお母さま。
祖父母の存在も大きく、日常の中でさりげなく手を差し伸べてくれる環境が、安心感につながっているといいます。
現在、娘さんは「居宅訪問型保育」という事業を利用し、自宅で看護師による保育を受けながら生活しています。これは、障害や疾病等により集団保育での受入れが著しく困難な、医療的ケアが必要なお子様でも安心して過ごせるように整えられた支援制度のひとつです。
平日火曜日~金曜日、朝9時から夕方5時まで、看護師が自宅を訪問し、マンツーマンで保育を行っています。
絵本を読んだり、絵を描いたりといった遊びはもちろん、お散歩に出かけたり、昼食やおやつの時間を一緒に過ごしたりと、生活全体を通して関わってくれます。
また、日々の体調変化にもすぐに対応できる体制が整っているため、ご家族にとっても大きな安心につながっています。
「何かあったときにすぐ対応してもらえる安心感がありますし、娘に合わせた関わりをしていただけるのはとてもありがたいです。」
一方で、この制度は“将来的に保育園などへ通うこと”を前提とした一時的な支援でもあります。
そのため、ご家族は今後の生活も見据えながら、娘さんにとってより良い環境を模索し続けています。
日々の積み重ねの中で、家族が一丸となって支え合う——。
そんなあたたかな日常が、娘さんの成長を静かに、そして力強く後押ししています。
診断がわかったのは、妊娠7ヶ月頃。
エコー検査で大腿骨の短さが指摘され、「何らかの疾患の可能性がある」として、別の専門医療機関での診察・出産を勧められました。
「そのときが一番ショックでした。長女の時から長く不妊治療をして、ようやく授かった子で、この病院なら安心して出産できると思っていたので…。“これも叶わないんだ”と、かなり落ち込みました」

これまで積み重ねてきた治療や選択、そしてようやくたどり着いた妊娠。
安心して出産できると信じていた環境が変わってしまう現実は、大きな喪失感を伴うものだったといいます。
さらに、「何かの病気かもしれない」という言葉は、まだ見ぬわが子への不安を一気に現実のものとして突きつけるものでした。
当時は、医師から病名の可能性について説明を受けつつも、はっきりとした確定診断には至らず、「軟骨の形成に関わる疾患の可能性が高い」という段階でした。
インターネットで情報を調べる中で、軟骨無形成症の可能性にも思い当たったそうですが、同時に、さまざまな情報に触れることで不安が増していくことも感じていました。
「調べれば調べるほど、ネガティブな情報も目に入ってしまうので…。ある程度は参考にしつつも、あえて深く調べすぎないようにしていました」
限られた情報の中で、どこまで知るべきか、どこから距離を取るべきか――。
そのバランスを取りながら、自分の気持ちを保つこともまた、大きな葛藤だったと振り返ります。
また、出産に向けては、帝王切開が前提であったこともあり、一般的な出産リスクについての大きな変更はなかったものの、合併症の可能性や今後の経過についての説明は丁寧に受けていきました。
「“普通に生活している方も多い病気ですよ”と言われたことは、少し安心材料にはなりました。でも同時に、重い合併症の可能性もあると聞いて、不安が完全になくなることはありませんでした」
安心と不安が入り混じるなかで迎えた出産までの日々。
見えない未来に対する戸惑いと、それでもお腹の中で育つわが子を大切に思う気持ち。その両方を抱えながら、日々を過ごしていたといいます。………