
大薗 恵一 先生
昭和57年 大阪大学医学部卒業
平成4年 大阪大学医学博士
昭和57年 大阪大学医学部付属病院医員(研修医)
平成元年 Baylor College of Medicine,Research Associate
平成4年 大阪府立母子保健総合医療センター検査科診療主任
平成6年 同 研究所 環境影響部門 部長
平成14年 大阪大学大学院医学系研究科生体統合医学 小児発達医学講座 教授
平成17年 改組に伴い、大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学小児科学講座 教授
令和5年 大阪大学を退任 大阪大学名誉教授付与 医誠会国際総合病院難病医療推進センター センター長
小児の骨系統疾患・代謝性骨疾患と向き合うために
― 早期発見から社会の理解まで ―
骨系統疾患や代謝性骨疾患は、骨の形成や代謝に影響を及ぼし、
子どもの成長や発達、日常生活に大きく関わる疾患です。
症状の現れ方は一人ひとり異なり、見た目では気づきにくいケースも少なくありません。
そのため、保護者の方が感じる「ちょっとした違和感」や「気になるサイン」が、
早期発見の重要な手がかりとなることもあります。
一方で、希少疾患であるがゆえに情報が限られていたり、診断に時間を要したりすることも多く、
患者さんやご家族が不安や戸惑いを抱えながら日々を過ごしている現状もあります。
適切なタイミングで医療につながること、そして診断後も継続して安心して
治療と向き合える環境づくりが重要です。
今回、日本患者支援財団では、医誠会の大薗恵一先生に、
こうした疾患と向き合う上で大切な視点についてお話を伺いました。
早期受診のポイントや治療を続けるための考え方に加え、
患者さんやご家族を取り巻く社会の理解や支援のあり方について、
専門医の立場からわかりやすく解説いただきます。
本インタビューが、日々不安を抱えている方々にとって一つの指針となり、
また多くの方にとって希少難病への理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
〇「なんとなく気になる」感覚を大切に -早期発見のポイント
〇治療を続けるために大切なこと
〇診断直後と長期療養、それぞれに必要な心構え 🔒
〇社会に求められる“理解”とは何か 🔒
〇患者会の存在がもたらす力 🔒
〇「特別なことではなく、身近なこと」として 🔒
〇難病が“難病でなくなる日”を目指して 🔒

子どもの体の変化に気づいたとき、「もう少し様子を見てもいいのか」「すぐに受診すべきか」と迷う保護者の方は少なくありません。
特に小児期は成長や発達の個人差が大きいため、「このくらいは普通なのでは」と判断に悩む場面も多いのではないでしょうか。
大薗先生は、そうした迷いがある中でも、保護者の“気づき”そのものが非常に重要であると指摘します。
「身長の伸びが悪い、歩き方に違和感がある、聞こえにくそうといった、日常の中でふと感じる違和感があれば、早めに受診することが大切です」と話します。
特に、乳幼児健診や学校健診などで何か指摘を受けた場合は、そのままにせず、まずはかかりつけ医に相談することが勧められます。
医師と一緒に状況を整理し、必要に応じて専門医へつなぐことで、より適切な対応につながります。
また、骨折を繰り返す、低身長が続く、発達の遅れが気になるなど、具体的な症状が見られる場合には、「なぜその症状が起きているのか」という原因を丁寧に確認していくことが重要です。
その一つひとつの確認が、診断や治療への大切な一歩となります。
一方で、受診が遅れてしまう背景にはさまざまな要因があります。
「これくらいで受診してよいのだろうか」「気にしすぎではないか」という迷いに加え、医療機関を受診すること自体への心理的なハードル、忙しさによる時間的制約などが重なり、受診のタイミングを逃してしまうこともあります。さらに、難病の場合は、受診してもすぐに診断に至らず、複数の医療機関を受診する中で時間を要するケースも少なくありません。
それでもなお、早期発見には大きな意味があります。
「早く気づくことで、早期の治療や適切な対応につながり、その後の経過においてより良い結果が期待できます」と先生は強調します。
日常生活の中で、病気かどうかを明確に見分けることは決して容易ではありません。
だからこそ、数値や明確な症状だけでなく、「いつもと違う気がする」「なんとなく気になる」といった直感的な感覚も大切にしてほしいといいます。
定期的な健診やワクチン接種は、子どもの状態を確認する大切な機会です。
問診票や診察時のちょっとした相談を通じて気になる点を伝えることで、早期の気づきにつながる可能性があります。
保護者の小さな気づきと行動が、子どもの将来を守る大きな一歩になるのです。
骨系統疾患や代謝性骨疾患の治療は、短期間で完結するものではなく、長期にわたって継続していく必要があるケースが少なくありません。
そのため、日々の生活の中で治療と向き合い続けることに対して、患者さんやご家族が悩みや迷いを抱えることも自然なことです。
特に治療を開始したばかりの頃は、症状の改善や数値の変化などから効果を実感しやすく、「頑張って続けよう」という前向きな気持ちを持てることが多い一方で、時間の経過とともにその実感が薄れていくこともあります。

大きな変化が感じられなくなることで、「この治療を続ける意味はあるのだろうか」と不安や疑問が生じることも少なくありません。
大薗先生は、そうした時期こそ医師とのコミュニケーションが重要であると話します。
「治療の効果や副作用について、定期的に主治医に確認することが大切です」
治療の目的や現在の状態、今後の見通しについて改めて説明を受けることで、自分たちが取り組んでいる治療の意味を再確認することができます。
また、副作用に対する不安や日常生活での困りごとについても、遠慮せずに相談することが、安心して治療を続けるための大きな支えとなります。
さらに、患者さんやご家族が抱えやすい不安として、「将来への見通し」があります。
症状がどのように変化していくのか、生活や進学、就労にどのような影響があるのかといった不安は、長く病気と向き合う中で避けて通れないものです。
こうした不安に対しては、一人で抱え込まず、経験豊富な医師や医療スタッフに相談することが重要です。
専門的な視点から現実的な見通しや選択肢を知ることで、不安が整理され、次に取るべき行動が見えてくることもあります。
治療は「続けること」そのものが目的ではなく、患者さん一人ひとりがより良い生活を送るための手段です。
だからこそ、無理をしすぎず、疑問や不安をそのままにせず、医療者とともに考えながら進めていく姿勢が大切です。
積み重ねていく対話と理解が、長期的な治療を支える大きな力となります。................
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