「“学ぶ”って、わが子にとってどういうこと?
――難病とともに歩む子どもの就学を考える」④高校期(シリーズ掲載)
2025/12/08公開
高校になると、学びの内容や進路の選択肢が大きく広がります。
ただ同時に、ケア・体調との両立をどう図るかという葛藤も強くなります。
親としては、子どもの“未来を拓く力”を信じながら、環境と制度を味方にしていく戦略が求められる時期です。
高校で通常の出席日数ルールをそのままだと、体調変化が多い子には苦しくなります。遅刻・早退・振替授業の制度がどれだけ許容されるか、学校に確認しておくことは不可欠です。
高通信制、定時制、サポート校併設校など、通学のペースや学び方をゆるやかにできる学校も視野に入れておきたい選択肢です。無理なく続けられる学びの場を持つことが、生涯学び続ける力につながります。
進学を希望する子にとって、受験勉強・模擬試験・部活動・資格取得など、負荷の高い活動が重なることも。受験に際して「合理的配慮(時間延長、別室受験など)」を申請できるかどうか、事前に学校や入試機関に確認しておくことが大きな安心材料になります。
親としては「できるだけ普通の高校で普通に学ばせたい」と思う一方で、通学体制・ケア対応・通学距離の制約が現実問題になります。どこでバランスを取るかは、家族それぞれの選択になります。
支援・制度・工夫のヒント
試験時間の延長、別室受験、問題の拡大、ICT 機器の使用など、障がい・疾病をもつ受験者への配慮制度があります。
例えば、都立の特別支援学校において、「終日付き添いなしで通学可能」と判断するモデル事業があるという報道もあります。
▶参考サイト:
医療的ケア児 「保護者の終日付き添いなし」でも通学OKに 都教委が決定 (東京すくすく)
希望進路を伝え、「こういうケアが必要なので、このような支援があると助かる」という話を進路指導担当と早めに共有しておくと、配慮可能な進路先や支援策を一緒に探しやすくなります。
希高校では授業料以外に、通学交通費、部活動費、補助器具・機材費などがかかることがあります。医療的ケア児に対して補助を行う制度を持っている自治体や学校もあります。
東京都では、たとえば修学旅行の際に保護者同行旅費を補助する制度を導入した例があります。
▶参考サイト:
医療的ケア児の修学旅行 付き添い保護者の旅費をゼロに 東京都が2023年度から(東京都)」(東京すくすく)
高校期は「自己選択」の時期でもあります。
医療的ケアや体調の制限があっても、学びたいジャンル・将来への道をつくっていけるような選択肢を持てることは、子どもの自律性を育むうえで大きな意味があります。
ただ無理をさせすぎると体も心も疲れてしまいます。制度・支援を味方につけながら、子どもと一緒に「無理なく続けられる選択」を探していけると良いですね。

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