「“学ぶ”って、わが子にとってどういうこと?――難病とともに歩む子どもの就学を考える」

小学校・中学校期③(シリーズ掲載)

2025/11/26公開

小学校・中学校期:「学びたい」と「守りたい」のあいだで

小学校や中学校に進学することは、子どもにとって社会とのつながりを深める大きな一歩です。「勉強が好き」「友だちと過ごしたい」——そんな思いを持つ医療的ケアのある子どもにとって、学校は希望の場でもあり、親にとっては調整や判断が重なる時期でもあります。


この時期には、「体調が急変したらどうする?」「クラスで孤立しない?」「学習の遅れは?」など、子どもの“やりたい”をどう支えるか、親の不安と選択が交差します。

教育の選択肢と向き合う時期

小中学校では、多くの自治体で「通常学級」「支援学級」「特別支援学校」などの進路が選べるようになっています。ただ、ケアの体制や学校側の理解度、通学時間などの現実もあり、選択は簡単ではありません。

「できる限り地域で、友だちと同じように学ばせたい」と思っても、毎日のケアや通学の負担、医療体制の差が大きな壁になることも。


一方で、特別支援学校では医療的ケアに対応した体制や人員が整っていることが多く、安心感があります。けれど、医療に重きが置かれすぎて「学び」の機会が少なく感じるという声もあります。


大切なのは、「どちらが正しいか」ではなく、「今、子どもにとってどこが一番“心地よく学べる場所か”」という問いに立ち戻ること。必要であれば、一度支援学級で始めて、途中で通常学級に転籍するような“段階的な選択”も視野に入ります。

車いすの男の子と男の子のイメージ

子どもの「学び」を支える工夫

医療的ケアや体調の波によって、毎日学校に通うことが難しくなる場面もあるかもしれません。でも、通えない日があっても「自分はちゃんと学べている」と子どもが実感できるように、家庭でできる工夫を考えておくことはとても大切です。


たとえば:


・授業の録画を見られるよう、学校と相談してみる。

・教材や宿題を定期的に家庭に届けてもらうよう依頼する。

・自治体が行っている「ICTを活用した遠隔授業」などの制度を調べて使ってみる。

・本人の体調に合わせて、短時間だけ登校したり、行事の日だけ参加するなど柔軟な通い方を検討する。


こうした準備や工夫によって、子どもが「行けない=遅れる」ではなく、「自分のペースで学べている」と感じられるように支えることができます。


学校との“交渉”よりも、“関係づくり”

親が学校と話すとき、「お願いする立場」「交渉する立場」と思いがちですが、実際には“チームになる”という意識で向き合う方がうまくいくことも多いです。


学校の先生にも「どう対応すればいいかわからない」不安があります。

看護師の配置が決まっていても、どんな場面でどう動いてもらえばいいのか、丁寧な情報共有が必要です。

子どもの気持ち・こだわり・安心できる関わり方を、親が翻訳して伝えることで、先生との距離が近づきます。

定期的なミーティングを設定してもらったり、ケア記録や連絡ノートを活用したりといった「つながりを保つ仕組み」を用意しておくと、急な変化にも柔軟に対応しやすくなります。

変わりつつある制度と地域支援

小学校のイメージ

最後に

この時期に親が向き合うのは、「どこに通わせるか」だけでなく、「どうすれば子どもの学びや希望を守れるか」という問いかけです。

制度や支援は、まだ道半ばのものも多いですが、「うちの子にとって何がいいか」を軸に、できる選択を一歩ずつ重ねていくことが大切です。



次回は、2025/11/28(金)に「高校期:自律と柔軟性を育む舞台にについてお届けします。



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