「大田区重症心身障がい者等在宅レスパイト・就労等支援事業」は、重度障害・難病のある方と家族の生活負担を軽減し、安心して暮らしやすい環境を提供する支援制度です。利用条件や申請方法をわかりやすく解説。
この制度は、大田区に住む重度の心身障がい者や医療的ケアが必要な方が、安心して地域で暮らし続けられるように、在宅生活の支援とご家族の介護負担の軽減を目的とした取り組みです。
重症心身障がい者とは、重い知的障害と身体障害を併せ持つ方のことをいいます。
多くの場合、食事や排泄、入浴など生活全般に介助が必要で、ご家族の負担がとても大きくなります。
この制度は、そんな家庭に対し、
一時的に障がい者の方のケアを代替して休息をとってもらう「レスパイト(休息)支援」
介護を担うご家族が仕事を続けられるようサポートする「就労支援」
の2つの目的で、訪問看護師や介護職員が家庭を訪問して支援を行う仕組みです。
ご家族の休養や就労等(就労又は就労活動)のため、利用者の自宅に訪問看護ステーションの看護師等が伺い、家族に代わって医療的ケアや療養上の介助を行います。
● 1回あたり2~4時間(30分単位)
● 利用は1年度の間に144時間を上限とする
● 訪問看護師や介護職員による在宅支援
● 医療的ケア(吸引、経管栄養など)
● 生活支援(見守り、移動、日常生活の補助)
● 本人または家族が働く・社会参加するための時間確保を支援
大田区に住所がある18歳以上の方で、次のいずれかに該当する方
● 肢体不自由の身体障害者手帳(1・2級)と愛の手帳(1・2度)を両方持っている
● 気管切開、人工呼吸器、経管栄養、吸引などが必要な方
● 常時介護が必要で、主治医が訪問支援の必要性を認める方
事例1:ALS(筋萎縮性側索硬化症)で人工呼吸器を使用している40代男性。週に2回、介護職員の訪問を受けることで、母親の通院を可能に。
事例2:難病で寝たきりの50代女性。夫が働いている日中、看護師が自宅を訪問して見守り。
事例3:重度脳性麻痺のある成人男性。母親がパート勤務する時間に、医療的ケアを含むレスパイト支援を活用。
①訪問できる回数や時間には上限があります
この制度は、介護保険や障害福祉サービスの補完的な支援です。そのため、長時間・高頻度の利用はできません。
②支援内容によっては事前調整が必要
● 医療的ケアが必要な場合は、医師の指示書が必要です。
● 看護師の配置や訪問時間は、申請後の調整が必要です。
③利用料金がかかる場合があります
基本的には無料ですが、所得や支援内容によって一部自己負担が生じることもあります。
詳細は窓口で説明されます。
【申請窓口情報】
担当課: 大田区福祉部 障害福祉課 地域支援担当
窓口住所:東京都大田区蒲田五丁目13番14号(大田区役所本庁舎5階)
電話番号: 03-5744-1253
利用を希望する場合は、まず障害福祉課に相談しましょう。
お体の状態や支援内容について丁寧に聞き取りがあります。
申請には以下の書類が必要です。
● 利用申請書
● 医師の意見書(医療的ケアが必要な場合)
● 障害者手帳や受給者証のコピーなど
大田区と連携している事業者から、訪問のスケジュールや支援内容が決まります。
支援計画に沿って、訪問支援や医療的ケアが開始されます。利用後のフィードバックや継続手続きも丁寧にサポートされます。
支援は原則として決められた曜日・時間に提供されますが、就労や通院に合わせて調整することも可能です。申請時にしっかり相談しましょう。
利用できる訪問看護ステーションは事前に確認が必要です。
地域福祉課へ問い合わせて、対応可能な事業所を確認しましょう。
重度障害や難病を抱える方にとって、日常生活を支える「手」が少しでも増えることは大きな安心につながります。
この制度は、自立と安心の両立を目指す大田区ならではの支援策です。
ひとりで悩まず、まずは制度を知ることから始めてみましょう。
【参考】
・大田区ホームページ:重症心身障がい児(者)等在宅レスパイト・就労等支援