【難病×防災】難病患者のための防災対策完全ガイド|在宅避難・福祉避難所・医療体制まで解説

2026/3/23 公開

はじめに|難病患者にとっての「防災」とは

地震や台風、豪雨などの災害は、誰にとっても避けられないリスクです。

しかし難病患者さんにとっての防災は、「避難するかどうか」だけではありません。


大切なのは、療養環境を維持できるかどうかです。


防災アミーゴが発行する

「難病患者のための防災ガイドブック(2026年改訂版)」では、難病患者が災害時に直面する具体的な課題と、その備えについて体系的にまとめられています。


本記事では、ガイドブックの内容を章ごとに整理し、難病患者の防災対策として何を準備すべきかを解説します。


1. 平常時からできる備え

ガイドブックで最初に強調されているのは、「平常時からの準備」です。

持ち出し品の準備

ガイドブックでは、一般的な防災用品に加え、難病患者特有の備えが強調されています。


主な項目

  • 数日分の内服薬
  • おくすり手帳
  • 医療情報メモ
  • 保険証(マイナ保険証または資格確認書)
  • 医療機器の付属品
  • 充電器・予備バッテリー

特に重要なのは、

「自分の療養内容を第三者に伝えられる状態にしておくこと」です。


ローリングストックとは

日常的に使う食品や医療消耗品を少し多めに備え、使った分を補充する方法です。

栄養剤や医療用品、水などは、日常の使用量から必要量を把握しておくことが大切だとされています。


フェーズフリーという考え方

「平常時と災害時を分けない」備え方です。

日頃から使い慣れたものを備えることで、災害時の不安や混乱を減らすことができます。


主治医との事前相談

難病患者の防災対策は、医療チームとの共有が前提です。

  • 停電時の対応
  • 災害時の受診先
  • 代替薬の可否
  • 72時間の対応方針

を確認しておくのが大切です。


2. 難病患者の防災「3つの備え」|自助・共助・公助

ガイドブックでは、防災を「自助・共助・公助」の三層構造で整理しています。

しかし難病患者の場合、この3つは“並列”ではなく、重なり合う備えとして機能します。


【自助】自分・家族で備える

【共助】地域・近隣との連携

【公助】行政・医療機関の支援


自助|療養を止めないための備え

  • 備蓄
  • 電源確保
  • 医療情報の携帯
  • 避難経路の確認

難病患者にとって自助とは、「療養を止めないための準備」です。


共助|「知ってもらう」ことが命を守る

近隣住民や地域とのつながりも大切な備えです。

ガイドブックでは、必要な配慮について周囲に伝えておくことの重要性が示されています。


公助|制度を知ることも防災

福祉避難所や災害時医療体制など、公的支援について理解しておくことも防災の一部とされています。


3. 避難の判断と療養環境の維持

ハザードマップの確認

自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に該当するかどうかを確認します。

あわせて、避難経路や移動方法も想定しておくことが大切です。


在宅避難という選択肢

医療機器を使用している場合など、一般避難所よりも在宅の方が安全な場合があります。


在宅避難に必要なもの

  • ポータブル電源
  • 発電機
  • 予備バッテリー
  • 非常用トイレ(1人1日5回×7日分)
  • 水(1人1日3L目安)


福祉避難所とは

配慮が必要な方を対象とした避難所です。

ただし、医療機関ではないため、受け入れ条件や設備について事前に確認することが必要とされています。


4. 避難所での生活|現実と工夫

ガイドブックでは、避難所生活の現実にも触れています。

  • 騒音
  • プライバシー不足
  • 電源不足
  • 感染症リスク

といった課題があります。


工夫例

  • パーテーション持参
  • 医療情報カードの携帯
  • ヘルプマーク活用
  • 必要物品の持参

配慮を求めるための準備も、防災の一部とされています。


5. 障がい特性・ライフステージ別の備え

ガイドブックでは、特性や家族構成に応じた備えが紹介されています。


足が不自由な方

  • 段差回避ルート確認
  • 車いす移動経路確認


目が不自由な方

  • 音声アプリ活用
  • 触知地図


耳が不自由な方

  • 文字情報取得手段


乳幼児期

  • ミルク
  • 離乳食
  • 紙おむつ(1日8枚目安)


それぞれの状況に応じた準備が必要です。


6. 災害時の医療体制|72時間の壁

災害医療では「72時間の壁」という考え方があります。

発災後72時間は救命活動が優先されます。


DMATとは

DMAT:

災害派遣医療チーム。急性期医療を担当。


JMATとは

JMAT:

日本医師会災害医療チーム。慢性期支援。


おくすり手帳とマイナ保険証

災害時は電子カルテが停止する可能性があります。

  • 紙のおくすり手帳
  • マイナ保険証
  • 医療情報メモ

併用が最も安全です。


災害時は通信環境が不安定になる可能性があるため、紙での情報管理が大切だとされています。


7. 当事者の声(ダイジェスト)

防災アミーゴの『難病患者のための防災ガイドブック』では、

難病患者さんやご家族の 実際の体験談が防災コラムとして掲載 されています。


災害時にどんな困りごとがあったのか、そしてどのような備えが役立ったのか。

ここでは、ガイドブックに掲載されているコラムの一部を抜粋して紹介します。


豪雨災害で気づいた「お薬手帳」の重要性

ガイドブックでは、実際の災害現場で医療活動を行った医師による体験談も紹介されています。


2015年9月、台風17号と18号による豪雨で、茨城県常総市では鬼怒川が決壊し、3000戸以上が浸水する大きな被害が発生しました。

避難所には多くの被災者が集まり、日本医師会災害医療チーム(JMAT)による医療支援が行われました。


その中で、ある難病患者の女性が「毎日飲んでいる薬がすべて流されてしまった」と訴えました。

自宅が浸水し、薬も処方内容も分からない状態。通院先の病院も被災しており、連絡も取れない状況でした。


しかし、その患者さんはポケットから 濡れた「お薬手帳」 を取り出しました。


そこには最新の処方内容が記録されており、医療チームはその情報をもとに薬の手配を行うことができました。

結果として、その日のうちに避難所へ薬を届けることができたといいます。


この経験から、災害時には 普段何気なく使っている「お薬手帳」が命を守る情報になる ことが強く実感されたそうです。


実際のコラムでは、避難所医療の現場で起きた具体的な出来事や、

「お薬手帳」がある場合とない場合で対応がどれほど違ったのかについて、さらに詳しく紹介されています。


車いす生活者が考える「災害への備え」

ガイドブックでは、関節リウマチを患い、人工関節を入れて生活している当事者の体験も紹介されています。


普段は自力で歩いたり車を運転したりできますが、長距離の移動は難しく、外出時には電動車椅子を利用しているとのこと。

現在はヘルパー制度を活用しながら一人暮らしをされています。


こうした生活状況を踏まえ、災害時に備えて次のような準備をしているそうです。


  • 実際に準備している備えの例
  • 玄関に防災袋を置き、1週間分の薬を保管
  • 飲料水をローリングストックで備蓄
  • カセットコンロとカセットガスを常備
  • スマートフォン充電用のポータブル電源
  • お薬手帳をスマホで撮影して保存
  • 災害前には車のガソリンを満タンにする


このように、自分の身体状況に合わせた防災準備を行っています。

一方で、避難所については不安もあるといいます。


実際に市内で洪水が起きた際、車椅子の方が避難した避難所では

  • 体育館に階段があり車椅子では入れなかった
  • 段ボールベッドがなく床で寝ることになった

という課題もあったそうです。


こうした経験から、コラムでは

  • バリアフリー避難所の情報共有
  • 行政と当事者が一緒に行う防災訓練
  • 障害者同士の支え合い

の重要性についても語られています。


難病患者が考える「災害時の避難計画」

ガイドブックでは、一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA)の代表理事によるコラムも掲載されています。
(現在は代表理事任期を終えらえています)


難病は疾患の種類や症状の現れ方が人によって大きく異なるため、

災害対策も一人ひとりの状況に合わせて考えることが重要だといいます。


そのため、自治体や患者会が作成した防災マニュアルをそのまま使うのではなく、

自分の症状や生活環境に合わせて書き換えていくことが大切だと紹介されています。


コラムでは、災害時の避難について 主に3つの選択肢 があると説明されています。


在宅避難

住み慣れた自宅は、誰にとっても安心できる避難場所です。


ただし在宅避難をする場合には

  • ハザードマップで浸水や土砂災害の危険がないか確認
  • 水・食料などの備蓄
  • 停電や断水を想定した準備

などが必要になります。


広域避難

自宅での避難が難しい場合は、

被災地域の外に避難する「広域避難」 という選択もあります。


例えば

  • 親族や知人の家
  • 宿泊施設
  • 患者仲間の家

などです。


台風などの災害は事前に予測できる場合もあるため、

平時から避難先となる人に相談しておくことが重要だと紹介されています。


避難所避難

地震など突発的な災害の場合は、

自治体が設置する避難所へ避難することになります。


コラムでは、

  • 事前に自治体の担当窓口へ相談する
  • 避難所の場所を確認しておく
  • 必要に応じて福祉避難所の利用を検討する

など、事前に準備しておくことの重要性が解説されています。


また、災害時には自治体職員も被災者である可能性があるため、

「自分の身は自分で守る」という意識で備えることが大切だと述べられています。


もっと詳しく知りたい方へ

ここで紹介したのは、ガイドブックに掲載されている防災コラムの一部です。


実際の『難病患者のための防災ガイドブック』では、

  • 災害現場で医療活動を行った医師の体験
  • 車いす生活者など避難困難者の備え
  • 難病患者が考える災害時の避難計画

など、当事者や専門家によるコラムが複数掲載されています。


それぞれのコラムでは、

  • 災害時に実際に起きた出来事
  • 難病患者が直面する課題
  • 日常生活の中でできる具体的な備え

などが、実体験をもとに詳しく解説されています。


難病患者の防災対策をより深く知りたい方は、ぜひガイドブックのPDFで全文をご覧ください。


▼詳細はこちら

「難病患者のための防災ガイドブック」PDF 


8. ガイドブックの活用法|自分専用の防災計画に

防災アミーゴの『難病患者のための防災ガイドブック』は、読むだけでなく書き込みながら活用することを前提に作られています。

単なる知識として読むのではなく、自分専用の防災計画を作るツールとして使うことができます。


活用方法

1.自分専用の防災計画を作成する

  • 書き込みページに、自宅・職場・学校での避難ルートを整理
  • 医療機器の使用状況、薬の管理方法、緊急時に優先すべき行動を記入
  • ポイント:自分の療養や生活状況に合わせたオリジナル計画になる


2.災害別の対応を整理する

  • 地震、台風、豪雨など災害の種類ごとに必要な備えをまとめられます
  • 持ち出し品リストや在宅避難時のチェック項目を記入
  • ポイント:災害ごとの優先順位が明確になり、混乱を減らせる


3.緊急連絡先を一覧化

  • 家族、主治医、地域支援者の連絡先を記入
  • 災害時に誰に相談すればよいかを明確化
  • ポイント:初動の判断が早くなることで安心感につながる


4.訓練記録や備蓄チェックの記入

  • 避難訓練の結果やローリングストックのチェックを記録
  • 定期的に見直すことで「備えの抜け漏れ」を防止
  • ポイント:平常時の準備が継続的に保たれる


5.実際の使い方例

ガイドブックのコラムでは、次のような活用例が紹介されています。

  • 家族で書き込みページを使って「停電時の呼吸器対応手順」を整理
  • 避難訓練で実際にチェックリストを使い、手順を確認・修正
  • 災害時は計画に沿って在宅避難を安全に実行できた

このように、読むだけでなく「書き込む」ことで自分の生活に落とし込める点が特徴です。


もっと詳しく知りたい方へ

ここで紹介したのは活用方法の概要です。

  • 実際にどのページに何を書き込むのか
  • 災害別チェックリストの具体例
  • 医療機器や薬の備え方の詳細

などは、公式PDFで確認できます。


まとめ|難病患者にとって防災は「医療の延長線」

難病患者にとって防災とは「命を守る医療の継続」です。

  • 平常時の備え
  • 在宅避難の選択肢
  • 福祉避難所の理解
  • 医療体制の把握
  • 社会保障制度の活用

これらを日頃から整理しておくことで、災害時のリスクを大きく減らすことができます。


本記事では、防災アミーゴが公開している

「難病患者のための防災ガイドブック」 の内容をもとに、重要なポイントを整理して紹介しました。

難病患者やご家族が 自分に合った防災対策を考えるための実践的な内容になっていますので、ぜひ一度ご確認ください。


防災アミーゴ

「難病患者のための防災ガイドブック」PDF

https://www.amigo-55.jp/library/661e02299afbd61ce471d52f/695bbe5bed50ce4d2f57451b.pdf

※本記事では要点のみを紹介しています。

具体的なチェックリスト、書き込み式ページ、防災コラム全文は上記公式PDFをご確認ください。



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