2026/6/23 更新
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で1か月(1日〜末日)に支払った医療費の自己負担額が、
所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される公的制度です。
公的医療保険に加入していれば、年齢・病名・障害の有無を問わず誰でも利用できます。
難病など長期・高額な治療が必要な方にとって、毎月の負担を一定額に抑えられる重要な制度です。
この記事では、制度の仕組み・申請方法・限度額適用認定証・多数回該当・難病医療費助成制度との関係・医療費控除との違い・2026年8月からの改正まで、難病患者やそのご家族が必要な情報をまとめて解説します。
1か月の医療費自己負担が上限額を超えた分を後から払い戻す制度です。
上限額は年齢・所得区分によって異なります。
事前に「限度額適用認定証」を取得すれば、窓口での支払いを最初から上限額に抑えることも可能です。
日本の公的医療保険に加入しているすべての方が対象です。
特に以下のような方に重要な制度です。
69歳以下の方の自己負担限度額(現行・2026年7月まで)
| 区分 | 年収の目安 | 負担上限額 | 4回目以降の上限額 |
| ア | 約1,160万円〜 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% | 140,100円 |
| イ | 約770~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% | 93,000円 |
| ウ | 約370~約770万円 | 80,100+(医療費-267,000)×1% | 44,400円 |
| エ | 約370万円未満 | 57,600円 | 44,400円 |
| オ | 住民税非課税者 | 35,400円 | 24,600円 |
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
※2026年8月から上限額が段階的に引き上げられます(詳細は「6. 制度改正」参照)。
70歳以上の方は外来・入院別に2段階で上限が設定されます。加入保険者にご確認ください。
「限度額適用認定証」を事前に取得し医療機関の窓口に提示すれば、支払いを最初から自己負担限度額までに抑えられます。
高額な入院・手術が予定されている場合は、事前に申請しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
| 申請先 | 健康保険組合・協会けんぽ・市区町村(国保)など加入先の保険者 |
| 利用方法 | 入院・高額治療の開始前に申請し、医療機関の窓口に提示する |
| 有効期限 | 概ね1年間(期限が近づいたら更新が必要) |
| 注意点 | 後期高齢者医療の方は「限度額適用・標準負担額減額認定証」となる場合あり |
払い戻しを受けるには、加入している保険者への申請が必要です(自動払い戻しは一部の保険者のみ)。申請期限は診察を受けた月の翌月から2年以内です。
| 加入している保険 | 申請先 |
| 協会けんぽ | 協会けんぽの各都道府県支部 |
| 健康保険組合 | 勤務先の健康保険組合 |
| 国民健康保険 | 住んでいる市区町村の窓口(国保担当課) |
| 後期高齢者医療 | 都道府県の後期高齢者医療広域連合 |
過去12か月以内に3回以上、自己負担限度額に達した場合に、4回目以降の上限額がさらに引き下げられる仕組みです。
難病など毎月高額な医療費がかかる方に特に重要です。
指定難病の患者さんには、高額療養費制度とは別に「難病医療費助成制度」があります。
2つの制度は併用できます。
| 項目 | 高額療養費制度 | 難病医療費助成制度 |
| 対象者 | 協会けんぽの各都道府県支部 | 指定難病の認定を受けた方 |
| 上限額 | 所得・年齢で設定 | 所得に応じた月額上限(高額療養費より低い場合あり) |
| 申請先 | 加入している保険者 | 都道府県・指定都市の窓口 |
| 対象疾患 | すべての疾患 | 約340の指定難病のみ |
指定難病の方はまず難病医療費助成制度を活用し、それでも高額な医療費が発生する場合は高額療養費制度との組み合わせを保険者に相談しましょう。
医療費控除は、1年間の医療費合計が10万円(または所得の5%)を超えた場合に、確定申告で税金の還付を受けられる制度です。
高額療養費制度と原則として併用できますが、医療費控除の申告では高額療養費で補填された金額を差し引く必要があります。
| 項目 | 高額療養費制度 | 医療費控除 |
| 種類 | 公的医療保険の給付 | 税制上の優遇措置(所得税・住民税の軽減) |
| 対象期間 | 1か月単位 | 1年間 |
| 申請先 | 保険者(保険組合等) | 税務署(確定申告) |
| 対象費用 | 保険適用の医療費のみ | 保険適用外(歯科・市販薬等)も条件付きで対象 |
高額療養費制度は、1か月に医療機関や薬局で支払った自己負担額が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
2026年8月から、この高額療養費制度の月ごとの自己負担限度額の引き上げと、年間上限の新設が段階的に実施されます(2026年度予算が2026年4月7日に成立し、実施が確定)。
特に長期にわたって治療を受けている方に関係するのが、年間上限の考え方です。
これまでは、月ごとの上限額に達しない場合、負担が毎月積み重なっても制度の対象になりにくいケースがありました。
今後は、年間で見たときの負担にも配慮する仕組みが導入される予定です。また、長期治療を受けている方に関係する「多数回該当」については、急激な負担増とならないよう、一定の配慮が示されています。
難病の治療では、通院、検査、薬剤費、入院などが長期に続くことがあります。ご自身の負担上限額は、年齢や所得区分、加入している医療保険によって異なるため、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合などに確認しましょう。
A. はい。保険適用される診療費・薬剤費・検査費であれば対象です。指定難病の方は難病医療費助成制度との併用も可能です。
A. 加入している健康保険組合・協会けんぽ・市区町村(国保)の窓口またはWebサイトから申請できます。
マイナポータルで申請できる保険者も増えています。入院や高額治療の前に早めに手続きを。
A. 同じ月であれば複数の医療機関・薬局の費用を合算して申請できます。
ただし69歳以下の場合、各機関での自己負担額が21,000円以上のものが合算対象です。
A. 診察を受けた月の翌月から2年以内であれば申請できます。領収書は必ず保管しておきましょう。
A. 原則として併用できます。ただし医療費控除の申告では、高額療養費などで補填された金額を差し引いた額で計算する必要があります。
高額療養費制度は、医療費の家計負担を一定額に抑えるための重要な公的セーフティネットです。難病など長期・高額な治療が必要な方こそ、制度を正しく理解して活用することで、経済的な不安を軽減し治療に専念できます。
| ポイント | 内容 |
| 制度の目的 | 1か月の医療費自己負担が上限額を超えた分を払い戻す公的制度 |
| 対象者 | 公的医療保険加入者全員(年齢・病名・障害の有無は問わない) |
| 自己負担上限額 | 年齢・所得区分によって異なる(住民税非課税者は最も低い上限額) |
| 限度額適用認定証 | 事前に取得・窓口提示で支払いを上限額に抑えられる |
| 多数回該当 | 過去12か月で3回以上上限到達→4回目以降はさらに上限が下がる |
| 申請方法 | 加入保険者に申請書を提出(期限:翌月から2年以内) |
| 難病医療費助成制度 | 指定難病の方は両制度の併用が可能 |
| 医療費控除 | 原則併用可能(高額療養費で補填された額の差し引きが必要) |
| 2026年8月改正 | 月額上限の引き上げ+年間上限の新設。多数回該当の上限は据え置き |
「医療費が高くて不安」と感じているなら、まず加入している保険者や市区町村の窓口に相談することが第一歩です。
制度を活用して、治療に専念できる環境を整えましょう。