【第3回】IgA腎症患者 小野村さんインタビュー 第1部:告知から葛藤まで(一人の患者として)


【第3回】生きるための選択、そして運命を変えたセカンドオピニオン

「寿命が来たら、自然に受け入れたい」と、人工透析を迷い続けていた小野村さん。

そんな彼女がなぜ前を向き、生きるための治療を決意できたのか。

第3回となる今回は、頑なだった心を溶かした家族の存在、
そして主治医との壁を突破し、自分の病気を深く納得させてくれた「セカンドオピニオン」の体験談、
そして未来の仲間へのメッセージをお届けします。


インタビュー目次

〇「透析」を受け入れたきっかけ

〇「急速で濃密な4年間」を振り返って、同じ孤独を抱えている患者さんへの思い 🔒

〇「セカンドオピニオン」のきっかけ🔒

〇IgA腎症患者さんへ同じ病気を持つ患者として伝えたいこと

「透析はしたくない」と考えていた小野村さんが、最終的に導入を受け入れ、生きる選択をされたのには、どのような心境の変化があったのですか?

家族の言葉、そして「母親の存在」が私の頑なだった心を溶かしてくれました。

実は、私の娘は医療従事者で、透析医療の現場で働いているんです。
その娘から、ある時「お母さん、もし生きられる方法がそこにあるんだったら、私は生きた方がいいと思うよ」と言われました。
そして夫からも「やっぱり、これからも生きていてもらった方がいいかな」と言葉をかけられたんです。


さらに、私には現在90歳になるの実の母親がいます。
近くに住んでいて、私が毎日「母親のおかず」を作って届けるという、
ちょっとしたサポートを今でも続けているんです。
毎日ご飯を届けに行って、顔を見て話をする。これが私の役割でした。

ふと我に返ったとき、「もし私が透析を拒否してこのまま死んでしまったら、
母親を一人残して置いていくことになる。生きられる術が目の前にあるのに、
自分の意地でそれを放棄して、残された母は誰が面倒を見るんだろう」と考えたら、胸が締め付けられました。

娘と夫が「生きてほしい」と言ってくれたこと。自然に生きることも大切だけれど、母親を置いて逝くわけにはいかないということ。
「たとえ今までのような完璧な体が維持できなくても、何ができなくなっても、
透析という治療を受けて、この先も家族と一緒に生活していけるなら、それが一番いいのかな」と、ようやく心から納得して、治療を受ける決め手ができました。


告知から透析までの「最も濃密で苦しかった4年間」を今振り返って、今まさに急速な進行に怯え、孤独の中にいる患者さんに、小野村さんならどんな言葉をかけてあげたいですか? 🔒

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「セカンドオピニオン(別の医師の意見を聞いてみること)」のきっかけを教えてください。🔒

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最後に、これから新しい一歩を踏み出す患者会の仲間たちへ、小野村さんが一番伝えたいメッセージをお願いします。

私が自分の過去を振り返って、一番後悔しており、だからこそ皆さんにお伝えしたいのは、
「自分の病状を、他人任せにせず正しく把握する力を持ってほしい」ということです。

この記事のために、久しぶりに当時の自分の検査値の記録を見直してみたんです。
そしたら、2021年6月の入院時点では、私の腎機能を示すeGFRは「70」ありました。まだ十分良い数値です。
ところが、過酷な働き方を続けて荒れた生活をしていた結果、わずか半年後の翌年1月には、eGFRが「30」まで大暴落していたんです。

当時、あまりの体調の悪さに主治医に不安を漏らしたのを鮮明に覚えています。
その時、先生は「いや、大丈夫、大丈夫!」と軽い調子でおっしゃいました。
主治医を責めるつもりは全くありません。
先生は患者を安心させようと言ってくださったのかもしれませんし、何より、私自身に「数値を正しく見る目」がなかった。
先生の言葉を都合よく信じて、自分の体を守る絶好のタイミングを自ら逃してしまっていたんです。

もちろん、病気の勢い(活動性の高さ)が一番の原因だったとは思いますが、当時の生活環境は決して良いものではありませんでした。

お医者さんの言うことをただ待つだけの受け身の患者ではなく、自分の体の主役は自分です。
必要以上に未来を怖がる必要は全くありません。
とにかくわからないことがあれば納得がいくまで質問する。
それでもダメなら他の先生の意見も聞く。


「自分の今の状態は、重症分類のどこにいるのか」「この数値が下がっているということは、何を意味するのか」を正しく見極める知恵を自分自身が持ち、
自分の健康状態に責任を持って把握していくことこそが、長いIgA腎症という病気と上手に、そして無理なく付き合っていくための最大の秘訣です。

新しく始まる患者・家族会が、皆さんにとってそうした「正しい知恵」を学び合い、不安を「納得」に変えていける温かい場所にしていきたいと思っています。
一人で悩まずに、ぜひ一緒に歩んでいきましょう。


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──あとがき

3回にわたり、小野村さんの一人の患者さんとしての歩みをお届けしました。
急激な進行のなかで仕事と治療に揉まれ、悩み抜いた小野村さんだからこそ、言葉の一つひとつに「自分自身の体に向き合うこと」の重みが宿っています。

新発足する患者・家族会では、こうした体験を共有し合い、正しい知識を身につけられるイベントや情報発信を定期的に行っていくとのことです。
患者・家族会の会員登録はホームページ公開後順次ご案内してまいります。



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