【病気と生きる広場|就労支援シリーズ】

難病と働く|通院と仕事を無理なく両立するには

公的サポートや合理的配慮、職場への伝え方をわかりやすく紹介します

2026/08/25公開

はじめに:働きたい、けれど……。その不安をひとりで抱え込んでいませんか?

難病と診断されたあと、「これからも仕事を続けられるのだろうか」「通院や治療の予定を、職場にどう伝えればよいのだろうか」「体調に波がある中で、無理なく働けるのだろうか」と不安を感じる方は少なくありません。


また、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても、就職や復職、仕事の継続は大きな関心事です。


難病といっても、症状や治療内容、生活への影響は人によって異なります。定期的な通院が必要な方、疲れやすさや痛みがある方、外見からは症状が分かりにくい方、体調が日によって変わりやすい方など、働くうえでの困りごともさまざまです。


大切なのは、「働けるか、働けないか」を一人で決めようとしないことです。相談先や制度を知り、職場と少しずつすり合わせながら、自分の体調に合った働き方を考えていくことができます。


この記事では、難病と向き合いながら働く方やご家族に向けて、通院と仕事の両立に役立つ相談先・制度、合理的配慮の考え方、職場への伝え方を紹介します。


目次

1. まず知っておきたい、働くための相談先・制度

無理なく、長く働き続けるためには、ひとりで抱え込まず、相談できる場所や利用できる制度を知っておくことが大切です。


「仕事を続けたいけれど、何から相談すればよいか分からない」

「職場に病気のことを伝える前に、誰かに相談したい」

「体調が悪く、しばらく休職が必要かもしれない」

「復職したいけれど、以前と同じ働き方は難しい」


このようなときに、利用できる相談先や制度があります。


利用できる相談先のイメージ

2. 通院や体調に合わせて、働き方を調整する

難病とともに働く場合、「今までと同じ働き方を続ける」「仕事を辞める」かの二択で考える必要はありません。


勤務先の制度や職場との相談によって、働き方を調整できる場合があります。

たとえば、


  • 通院日に半日休暇や時間単位年休を利用する
  • 出勤時間をずらす
  • テレワークや在宅勤務を組み合わせる
  • 体調に応じて業務量や仕事内容を調整する
  • 必要に応じて一定期間休む


といった方法が考えられます。


利用できる制度や働き方は勤務先によって異なるため、就業規則を確認したり、人事・総務担当者に相談したりしてみましょう。

また、体調を崩して仕事を休む必要がある場合には、条件を満たせば傷病手当金などの公的な支援を利用できることがあります。

制度の詳しい内容や、休職・退職を考える前に確認しておきたいことについては、以下の記事でも紹介しています。

3. 職場に伝える前に知っておきたい「合理的配慮」

通院や体調の波、疲れやすさ、痛み、移動のしづらさなど、病気による困りごとは人によって異なります。こうした困りごとが仕事に影響する場合、職場と相談しながら働きやすい環境を整えていく方法のひとつに「合理的配慮」があります。

 

雇用分野における合理的配慮とは、病気や障害のある方が働くうえで困っていることについて、本人と会社が話し合い、過重な負担にならない範囲で、働きやすい環境を整えていく考え方です。

 

厚生労働省は、雇用分野では障害者雇用促進法により、事業主は過重な負担にならない範囲で障害者に対して合理的配慮を提供することが義務付けられていると説明しています。

 

たとえば、次のような配慮が考えられます。


困りごと相談例のイメージ

合理的配慮は、「特別扱いを求めること」や「わがままを言うこと」ではありません。


本人が無理をしすぎず、会社も急な欠勤や体調悪化のリスクを見通しやすくするための、長く一緒に働くための事前のすり合わせです。

合理的配慮について相談するときは、「困りごと」と「工夫」を整理する

職場に相談するときは、病名や詳しい治療内容だけではなく、「仕事のどの場面で困っているか」「どのような工夫があると働きやすいか」を具体的に整理しておくと、職場側も対応を検討しやすくなります。

たとえば、次の3つの視点で整理してみましょう。

職場への伝え方のイメージ

「病気なので配慮してください」と伝えるだけでは、会社側も具体的にどのような対応が必要なのか判断しにくい場合があります。

「月に〇回の通院が必要です」「この作業は負担が大きいです」「こう調整できると働き続けやすいです」と、仕事への影響と必要な工夫を具体的に伝えることで、職場とも相談しやすくなります。


勤務先では、上司、人事・総務担当者、産業医、産業保健スタッフなどが相談先になります。主治医や医療ソーシャルワーカーに、働き方について事前に相談しておくのもよいでしょう。


また、「職場にどう伝えればよいか分からない」「会社に相談する前に、第三者に話を聞いてほしい」という場合は、難病相談支援センターやハローワークの専門窓口に相談する方法もあります。


ハローワークは、就職先を探すときだけでなく、就職後に仕事を続けるための相談先にもなります。難病患者就職サポーターが配置されているハローワークでは、難病相談支援センターと連携しながら、就職を希望する方への支援に加え、在職中に難病を発症した方の雇用継続についても相談できます。

合理的配慮は、本人だけで決めるものでも、会社だけが決めるものでもありません。本人の体調や希望、会社の業務状況をふまえながら、無理なく働き続けるための方法を一緒に考えていくことが大切です。


▼参考リンク:

・難病患者の就労支援|厚生労働省

ハローワークの専門援助窓口に「難病患者就職サポーター」を配置し、難病相談支援センターと連携して就労支援を行うことが紹介されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06e.html


・治療と仕事の両立支援ナビ|厚生労働省

勤務情報を主治医に提供する様式、主治医の意見を求める様式、職場復帰時に使える様式などが掲載されています。職場に相談する前の準備として紹介しやすいです。

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/useful/download/


・都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧|難病情報センター

難病情報センターにある各種制度・サービス概要に都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧にあります。

各地域の難病相談支援センターを探すためのリンクとして使えます。

https://www.nanbyou.or.jp/


・高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)

障害者雇用事例リファレンスサービス

https://www.ref.jeed.go.jp/index.php

左メニューの「障害の種類から探す」で「難病」にチェックを入れて検索すると、具体的な雇用事例が読めます。それぞれの事例の最後に「本人・ご担当者の意見・感想」としてリアルな体験談が載っています。


・難病のある方への職場における配慮事例のご紹介(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000575750.pdf

厚生労働省が作成したパンフレットです。疾患ごとに「どのような症状があり」「企業がどんな合理的配慮を行い」「本人がどう感じているか」がコンパクトにまとまっています。


4. 実践編:疾患ごとの困りごとと、働き方の工夫

かんしん広場の「病気と生きる広場」にあります疾患ごとに、就労の困りごと、働き方の工夫をまとめてみました。

【掲載情報】

〇2026/08/25 ライソゾーム病、掲載しました。


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5. 体調の変化に備えて、定期的に見直す

難病とともに働く生活では、体調や治療内容が変わることがあります。

今は問題なく働けていても、数か月後、数年後に体調の波が変わることもあります。反対に、治療や環境調整によって、働きやすくなる場合もあります。


そのため、最初に決めた働き方をずっと続けるのではなく、定期的に見直すことが大切です。

たとえば、入社時や復職時に、次のような約束をしておくと安心です。


「半年に1回、上司や人事の方と働き方を見直す面談をお願いしたいです」

「通院頻度や体調が変わった場合は、早めに相談させてください」

「負担が大きい業務が出てきた場合は、業務内容や勤務時間を相談したいです」


このように「変化すること」を前提にしておくと、本人も無理をしすぎる前に相談しやすくなります。会社側にとっても、急な休職や欠勤のリスクを見通しやすくなり、業務の調整をしやすくなります。

6. 家族ができるサポート|代わりに決めるより、一緒に整理する

ご家族は、患者さん本人の体調を近くで見ているからこそ、「本当に働いて大丈夫だろうか」「無理をしていないだろうか」と心配になることがあると思います。

 

一方で、働くことは、収入だけでなく、人とのつながりや自分らしさ、社会との関わりにもつながります。

 

家族ができるサポートは、本人の代わりに答えを決めることだけではありません。本人の希望を大切にしながら、一緒に整理することが支えになります。

 

たとえば、次のようなことを一緒に考えてみましょう。

 

「どの時間帯が一番疲れやすいか」

「通院や治療後、どのくらい体調に影響があるか」

「職場に伝えるなら、何を伝えるとよいか」

「どんな働き方なら続けやすそうか」

「困ったとき、どこに相談できるか」

 

本人が言葉にしづらい不安を、一緒に整理することで、相談窓口や職場に伝えやすくなることがあります。

まとめ:その時々の体調に合わせて、「ちょうどいいバランス」を見つけていく

難病とともに働く生活は、最初から決まったひとつの働き方に自分を当てはめる必要はありません。


「まずは短時間勤務から始めてみる」

「在宅勤務を組み合わせながら、少しずつ業務に慣れていく」

「治療や通院の予定に合わせて、勤務時間を調整する」

「体調が変わったら、その都度働き方を見直す」


こうした工夫を重ねながら、自分に合った働き方を探していくことが大切です。


働きたいと思ったときも、少し休みたいと思ったときも、もう一度社会に戻りたいと思ったときも、ひとりで抱え込む必要はありません。


主治医、医療ソーシャルワーカー、難病相談支援センター、ハローワーク、職場の人事担当者など、相談できる人や場所があります。


焦って答えを出そうとせず、今の体調や希望を少しずつ整理しながら、自分にとって無理のない「通院と仕事の両立」を考えていきましょう。

関連リンク・公式相談窓口一覧

就労や両立支援について、詳しく知りたいときに参考になる公的情報・相談先です。

・難病情報センター

https://www.nanbyou.or.jp/

各種制度・サービス概要に都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧が掲載されています。


・難病患者の就労支援(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06e.html

「難病患者就職サポーター」がどこのハローワークにいるか、具体的な支援内容が分かります。


・治療と仕事の両立支援ナビ(厚生労働省)

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/index.html

病気を抱えながら働くためのヒントや、企業側の配慮事例がまとまっています。


・雇用の分野における障害者への差別禁止・合理的配慮の提供義務(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html

「通勤」「座席配置」「休憩時間の確保」などが、法律上の配慮として例示されています


・雇用の分野における障害者への差別禁止・合理的配慮の提供義務(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.htm


・難病相談支援センターとは?(かんしん広場)

https://www.kanshin-hiroba.jp/social-security04-04


・お役立ち情報の就労に関するコラム(かんしん広場)

https://www.kanshin-hiroba.jp/useful-news#ttl-navi6employmen