重症筋無力症とともに歩むシンガーソングライターAmiさん
シンガーソングライターAmiさんの素敵なお話を前後編に分けて、お届けします。
【目次】
1. Amiさんの現在の活動
3. 病気と向き合う日々の工夫
4. 🔏妊娠・出産に向けた準備
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お写真は、Amiさんご家族の許可を頂いて掲載しております。
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福岡を拠点に活動するシンガーソングライターのAmiさんは、重症筋無力症と向き合いながら、音楽活動と子育てを続けています。
22歳の頃に診断を受けてから、体調の変化、周囲への伝え方、妊娠・出産、子育て、そして歌い続けることへの想いまで、さまざまな経験を重ねてきました。
今回のインタビューは、前半・後半の2回に分けてお届けします。
前半では、Amiさんの現在の活動、重症筋無力症と診断された頃のこと、病気と付き合う中での日々の工夫、そして妊娠・出産に向けて準備してきたことについて伺いました。

福岡を拠点に活動するシンガーソングライターのAmiさん。
ライブ活動やイベント出演のほか、YouTubeや配信アプリを通じて歌を届けています。
現在は4歳の娘さんを育てるお母さんでもあり、音楽活動と子育てを両立する日々を送っています。
「以前はもっと頻繁にライブをしていましたが、今は育児との両立もあるので、半年で1〜3回くらいですね」
20代の頃は、ユニット活動や路上ライブなど、音楽中心の生活を送っていました。しかし今は、娘さんとの時間も大切にしながら、自分のペースで活動を続けています。
もともとは、音楽活動をする中で自分のことを覚えてもらいやすくするためにつけた犬派シンガーソングライターという肩書でした。けれど、Amiさんにとって犬たちは、単なるペットではありません。家族の一員であり、つらい時も嬉しい時もそばにいてくれる大切な存在です。
Amiさんの楽曲には、病気を経験したこと、家族との時間、そして愛犬たちとの暮らしの中で感じた想いが数多く込められています。
「犬たちは家族なんです。つらい時も嬉しい時も、いつもそばにいてくれました」
音楽と家族、そして愛犬。
そのすべてがAmiさんの人生を支える大切な存在になっています。
Amiさんが体の異変に気づいたのは22歳の頃でした。
当時は鹿児島から福岡へ移り住み、音楽の夢を追いかけていた時期。生活を支えるためにアルバイトを掛け持ちしながら、音楽活動にも取り組む、忙しい毎日を送っていました。
「福岡に行きたい学校があって、鹿児島から福岡に移り住んだんです。生活と音楽をするために、掛け持ちでアルバイトをしたりして、結構ハードな生活をしていました」
最初に感じた異変は、疲れがなかなか抜けないことでした。
体に力が入りにくい。
だるさが続く。
けれど当時のAmiさんは、それを病気のサインだとは思っていませんでした。
「疲れが抜けないのは、忙しい生活をしているからかなと思っていました」
夢を追いかけるために頑張っている時期だったからこそ、体からの小さなサインを「疲れ」として受け止めていたのかもしれません。
その後、右まぶたが下がるようになりました。
さらに、ある日、部屋の中で倒れて頭を打ってしまいます。
看護師をしているお母様に電話で相談すると、「頭は何があるか分からないから、一度、脳神経外科を受診した方がいい」と言われました。
その言葉をきっかけに病院を受診します。
脳神経外科では、脳そのものに大きな異常は見つかりませんでした。しかし、まぶたが下がる症状について、医師から「神経の病気かもしれない」と言われ、総合病院を紹介されます。
総合病院では、医師からすぐに検査入院を勧められました。
「思い当たる病気があるから、一度検査入院してみませんかと言われました」
検査の結果、重症筋無力症の可能性が高いことが分かります。
その後、より専門的な診療を受けるため、大学病院で詳しい検査や診察を受けることになりました。
こうしてAmiさんは、22歳で重症筋無力症と診断されました。
Amiさん自身も、大学病院に入院した際、同じ病室にいた重症筋無力症の患者さんから、診断までに長い時間がかかった話を聞いたそうです。
その方は、まぶたが下がる症状について、病気とは分からず、美容整形で治そうかと考えていたほどだったといいます。
「その話を聞いた時に、自分はすごくスムーズに診断までたどり着けたんだなと思いました」
一方で、診断を受けた当時のAmiさんは、意外にも大きな不安を感じていませんでした。
「それまで健康だけが取り柄だと思っていたので、自分が病気かもしれないということに、どこか現実味がなかったんです」
検査入院中に病気について調べることはありました。
重症筋無力症の患者さんが集まる掲示板のような場所を読み、さまざまな症状や生活の様子を知ったそうです。
そこには、薬を飲みながら日常生活を送っている方もいれば、病状が重く、長く入院している方もいました。
ただ、当時のAmiさんは「自分は軽い方なのかな」「治るのではないか」と、どこか楽観的にも受け止めていたといいます。
「聞いたことのない病気だったので、これからどうなるのかな?とは思いました。でも、その時はそこまで深く不安になることはありませんでした」
そんなAmiさんの心に残っているのが、転院する時に看護師さんからかけられた言葉です。
「これから大変ですね。頑張ってください」
当時は、その言葉の意味がよく分かりませんでした。
けれど、治療を続け、体調と向き合いながら生活し、出産や子育ても経験した今、Amiさんはその言葉の重みを実感しています。
「今になったらすごく分かります。本当に大変だったなと思います」
22歳で告げられた重症筋無力症という診断。
それはAmiさんの人生にとって大きな転機でした。
けれど、その時点で音楽の夢を手放すことはありませんでした。
病気を抱えながらも、Amiさんの中には「歌いたい」という気持ちが変わらず残っていたのです。
現在、Amiさんは薬による治療を続けながら、重症筋無力症と付き合っています。
診断当初は、血液に関する治療を受けたこともありました。胸腺腫はなかったため手術ではなく、服薬を中心に体調を整えながら生活しています。
主治医から言われているのは、とにかく「無理をしないこと」。
けれどAmiさんは、それが一番難しいと話します。
「無理をしない工夫って、いまだにコツがつかめていないんです」
家事、育児、外出、音楽活動。毎日の中には、やらなければならないことも、やりたいこともたくさんあります。
気づかないうちに頑張りすぎて、あとから体調が悪くなることもあります。
「人間って、一生懸命になっていると、いつの間にか無理をしてしまう生き物だと思うんです」
Amiさんの場合、「今日はここまで」と事前にきれいに線引きするよりも、あとから体調の変化に気づくことが多いそうです。
「今日は動けないな」「頑張りすぎたな」
そう感じた日は、無理に動こうとせず、休むことを選びます。
「そういう時は、もう何もしない。休む。それだけです」
病気と付き合ううえで、休むことは決して怠けることではありません。体調を崩さないための大切な調整でもあります。
一方で、周囲に病気のことを伝える難しさもあります。
ライブやイベントに出演する時には、主催者側に事前に体調のことを伝えています。
「無理があるようなら、早めに抜けさせていただくかもしれません」
そう一言伝えておくことで、もしもの時に対応しやすくなります。
ただ、普段の生活では、自分から積極的に病気のことを話すことはあまりないそうです。
理由は「気を遣わせたくないから」。
重症筋無力症は、外見だけでは体調のつらさが分かりにくい病気です。疲れやすさや力の入りにくさは、本人にしか分からない部分も多くあります。
だからこそ、言わなければ伝わらない。
でも、言うことで相手に気を遣わせてしまうかもしれない。
その間で迷うことがあります。
Amiさんは、同じ病気の方との情報交換についても、自分なりの距離感を持っています。
以前はSNSなどを通じて、同じ重症筋無力症の方とつながっていた時期もありました。
しかし、病状が重い方の話を見聞きする中で、「自分も将来こうなってしまったらどうしよう」と不安が強くなったことがあったそうです。
「病状は人それぞれだから、たまたま自分には必要ではなかったのかもしれません」
患者さん同士のつながりが励みになる方もいます。
一方で、情報を受け取りすぎることで不安が大きくなる方もいます。
Amiさんにとっては、必要な情報を取り入れながらも、無理に患者同士の交流を広げすぎないことが、自分を守る方法のひとつになっているのかもしれません。
それでも、知りたい情報はあります。
「難病で、どんなサポートが受けられるのか。生活をどう工夫したら楽になるのか。そういう情報はあった方が嬉しいです」
では、家族や周囲の人には、どのように関わってもらえると助かるのでしょうか。
Amiさんは少し考えたあと、こう話してくれました。
「一番は、無理をさせないことだと思います」
本人が頑張りすぎているように見えたら、周囲がストッパーになる。
「きつい」と言えた時には、休める環境をつくる。
そして何より、「言いやすい雰囲気」をつくること。
病気がある本人は、迷惑をかけたくない、気を遣わせたくないという思いから、つらさを言い出しにくく溜め込む事があります。
だからこそ、家族や周囲の人が「休んでいいよ」「無理しなくていいよ」と伝えてくれることは、大きな支えになります。
病気と向き合う日々に、特別な正解はありません。
Amiさん自身も、今も試行錯誤の途中です。
頑張りすぎたら休む。必要な時には伝える。情報とは自分に合う距離感で付き合う。
その積み重ねが、Amiさんにとっての「病気とともに暮らす工夫」なのかもしれません。
※重症筋無力症についての情報がご覧いただけます。
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