YouTubeで広げる「本当にできないんだっけ?」
鳥越勝さん(とりちゃん)の素敵なお話を前中後編に分けて、お届けします。
【目次】
1.はじめに
2.小学校低学年から感じていた「足がおかしい」という違和感
3.12歳でベッカー型筋ジストロフィーと診断。「やっぱり変だったんだ」と安心した気持ち
4.🔏病気を隠して過ごした日々。学生時代から20代へ
5.🔏就職活動と仕事の中で感じた「隠していること」の難しさ
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ベッカー型筋ジストロフィーの当事者として、YouTube「とりすま」チャンネルで発信を続けている鳥越勝さん(とりちゃん)。
障がい当事者や支援者へのインタビュー、自身のチャレンジ、そして難病当事者同士が集まって話せる場づくりなど、活動は多岐にわたります。
現在は、ベッカー型筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)の方などが参加するオンラインの集まりを、ほぼ毎月続けています。
参加人数は多い時は15名くらいとかのときもありましたが、現在は3人〜6人程度と小規模な集まりになりつつあるといいます。
大きな集まりではなくても、「その場を楽しみに来てくれる人がいる」。だからこそ、毎月続けているそうです。
とりちゃんが大切にしているのは、病気や障がいがある人の生活を「特別なもの」として遠くに置くのではなく、ひとりの人の経験として届けることです。
「YouTubeでは、障がい当事者のインタビュー、支援者さんのインタビュー、あとは僕がチャレンジしたり、例えば、車椅子パラグライダーに挑戦したりしています。
最近はいろいろな自分のやっていることやチャレンジの発信もしている感じです。」
その発信の背景には、幼いころから感じていた違和感、病気を隠していた時間、そして30歳を過ぎてから「病気の自分」を受け入れていった経験があります。

とりちゃんが最初に体の違和感を覚えたのは、小学校低学年のころでした。
「小一、小二ぐらいから、おかしいなと思っていました。ふくらはぎが痛くなるんですよ。走ったりすると、足の筋肉が石になるというか、カチンって固まった感じでめちゃくちゃ痛いんですよね。歩くのがつらくなって、『足が痛い』『疲れた』などとよく言ってました」
当時は、とりちゃん自身も、それが病気によるものだとはわかっていませんでした。
サッカーをしていたときにも、足の痛みをうまく伝えられず、つらい経験をしたことがあったといいます。
「サッカーをやっていたんですけど、足が痛いとか言っていたら、コーチに怒られちゃって。帰れって言われて、帰ってサッカーをやめたっていうエピソードがあります。自分も病気ってわかっていなかったし、相手もわかっていなかった。でも、足が痛いという事実だけはあって、コーチはそれがわからない。普通の子どもと一緒と思っているから、ただ疲れたとワガママを言ってるだけと思われたのか、怒られちゃって。」
病気だとわかるまでの時間は、とりちゃんにとって「ちょっとつらい経験」だったと振り返ります。
「やっぱり、わかるまでのタイムラグの期間は、ちょっとつらい経験をしたかなと思います」

とりちゃんがベッカー型筋ジストロフィーと診断を受けたのは、12歳のときでした。
そのときに感じたのは、大きな不安よりも、「やっぱり自分だけ違ったんだ」「自分だけだったんだ」という納得に近い気持ちだったといいます。
「やっぱり変だったんだ、やっぱり自分だけ違ったんだ、という感じでした。
みんな疲れていると言われてきたので、自分だけだったんだって思って、ちょっと安心したというか。そういうことだったんだ、という気持ちが大きかったです」
診断を受けた当時のとりちゃんは、日常生活で大きく困ることはまだほとんどありませんでした。階段も普通に登れていたし、足は遅くても走ることはできていたといいます。
ただ、運動が好きだったとりちゃんにとって、主治医から「運動部に入るのは難しい」と言われたことは、大きなショックでした。
「運動が好きだったので、中学に入ったら自分は当たり前に運動部に入るものだと思っていたんです。それができないって主治医に言われて、それはつらくて、かなり泣いていた覚えがあります。中学になったら、そういうものだと思っていたので。足が遅かったから、ちゃんと運動したら足が速くなるかもなとも思っていたんです」
そうした中でも、とりちゃんは中学時代にテニスをすることにしたそうです。
「中学に入る前に、運動部は難しいだろうって主治医に言われていたんですけど、テニス部に入ることにしたんですよ。で、無理くりやっていましたね。グラウンドを走る練習はきつかったです。でも、走る練習じゃなければ、そこまでできないという感じではなくて。走れないところは、自分なりに工夫しながらやっていた感じです」
診断によって、これまで感じていた体の違和感には理由があるとわかりました。一方で、やりたいと思っていたことに制限がかかる現実にも向き合うことになりました。
それでもとりちゃんは、できる範囲を探しながら、自分なりに中学校生活を過ごしていきました。
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