脊髄性筋萎縮症 佐藤 仙務さん インタビュー(後編)

「できない」ではなく、「どうすればできるか」

"選択肢"を広げ続ける佐藤仙務さんが伝えたいこと


19歳で会社を立ち上げてから16年。

ホームページ制作から始まった事業は、現在では訪問介護や訪問看護へと広がり、

多くの人の暮らしを支えています。


しかし、佐藤さんが目指しているのは、単に会社を大きくすることではありません。

その根底にあるのは、「誰もが自分らしい人生を選べる社会をつくりたい」という変わらない想いでした。


後編では、現在の活動や医療への期待、そしてSMAとともに生きる中で感じてきたことについて伺いました。


インタビュー目次

〇「困っている人がいるなら、やってみよう」

〇一つの事業に頼らないという経営

〇写真に残すのは、「人との出会い」 🔒

〇医療は大きく進歩した。でも、まだ終わりではない 🔒

「できない」ではなく、「できる方法」を知ってほしい 🔒

「まずやってみる」――未来を変える第一歩 🔒


「困っている人がいるなら、やってみよう」


現在、佐藤さんが代表を務める会社では、ホームページ制作やデザイン事業をはじめ、

訪問介護や訪問看護など、幅広い事業を展開しています。


会社を設立した19歳当時は、ホームページ制作や名刺制作が中心でした。


しかし、16年という歳月の中で、社会の変化や地域のニーズに合わせながら、

一つひとつ新しい事業を積み重ねてきたといいます。


「最初はホームページ制作や名刺制作から始まりました。

でも16年続けているうちに、少しずつ事業が増えていきました。」


ホームページ制作から介護、そして訪問看護へ。

一見すると、まったく異なる事業のようにも思えます。

しかし、佐藤さんの中では、それらはすべて一本の線でつながっています。


「会社は何のためにあるのかと考えたとき、僕の中では"選択肢を増やすため"という答えなんです。」

障がいがあっても、自宅で働ける選択肢。

医療や介護が必要になっても、住み慣れた自宅で暮らし続けられる選択肢。

施設や病院だけではなく、自分らしい生活を自分で選べる選択肢。


佐藤さんは、障がいがあるからこそ、「選べること」の大切さを誰よりも実感してきた一人です。

だからこそ、新しい事業を始めるときの基準も、とてもシンプルだと話します。


「目の前に困っている人がいる。社会の中に課題がある。

だったら、自分たちに何かできることはないかな、と考えるんです。」


その考えから始まったのが、介護事業でした。

障がいがあっても、地域で暮らしたい。

自分の好きな時間に起きて、ご飯を食べて、外へ出かけたい。

病院や施設の生活リズムではなく、自分自身の生活を送りたい。

願いを支えるためには、訪問介護や訪問看護という存在が欠かせません。


「昔は病院で暮らすことが当たり前だった時代もありました。

でも今は、障がいがあっても地域で生活する人が増えています。

その分、介護や看護のニーズも確実に増えていると感じます。」


一方で、サービスが増えたからこそ、「どこを選ぶか」が大切な時代になっているとも話します。


「家で暮らすということは、自分の生活を自分で決められるということなんです。

12時にお昼ご飯を食べるのではなく、自分が食べたい時間に食べられる。
そういう当たり前の暮らしを支えることが、僕たちの役割だと思っています。」


佐藤さんにとって会社経営とは、事業を増やすことそのものが目的ではありません。

その先にいる一人ひとりの暮らしや人生の選択肢を広げることこそが、会社の存在意義なのです。


「『これは会社としてやるべきだ』と思ったら、まずやってみる。そんな感じなんです。」


その言葉には、19歳で起業した頃から変わることのない挑戦する姿勢と、

「困っている人の力になりたい」という強い想いが込められていました。

一つの事業に頼らないという経営


佐藤さんは、会社経営についても非常に現実的な視点を持っています。


16年間会社を経営してきた中で、社会は大きく変化しました。


インターネットが普及し、ホームページ制作の需要も変わり、近年ではAIの進化によって、

誰でも簡単にホームページやデザインを作れる時代になりつつあります。

「昔はホームページ制作が会社の中心でした。でも時代はどんどん変わります。

一つの事業だけに頼っていると、その仕事がなくなったとき、会社そのものが続けられなくなってしまいます。」


だからこそ佐藤さんは、創業当初からの事業に固執するのではなく、

その時代に求められていることを見極めながら、新しい挑戦を続けてきました。

ホームページ制作、デザイン、名刺制作。

そこから訪問介護、訪問看護へと事業を広げ、現在では複数の事業が会社を支えています。


「一つの事業だけで会社を成り立たせるのは、とてもリスクが大きいと思っています。

だからこそ、事業を分散させて、それぞれが会社を支え合える形をつくることが大事なんです。」


例えば、ある事業が社会情勢の変化によって苦しい状況になったとしても、別の事業がその分を補うことができる。

一つの柱だけに頼るのではなく、いくつもの柱を持つことで、会社全体として安定した経営ができると考えています。


「どこか一つが苦しい時期でも、別の事業が支えてくれる。

そうやって会社全体のバランスを取ることが大切なんです。」


この考え方は、単に経営を安定させるためだけではありません。

会社が安定して続いていくことで、働くスタッフの雇用を守ることができる。

そして、新しいサービスを必要としている人へ支援を届け続けることができる。

そのためにも、時代の変化を恐れるのではなく、柔軟に対応していくことが必要だといいます。


実際、近年急速に普及しているAIについても、脅威として捉えるだけではなく、新しい可能性として受け止めています。


「AIが普及すれば、今までと同じ仕事のやり方では通用しなくなる部分もあります。
でも、それは新しい仕事や新しい価値を考えるきっかけにもなると思っています。」


変化は避けられないもの。

だからこそ、その変化に合わせて自分たちも進化し続けることが大切だと佐藤さんは語ります。

その柔軟な発想は、19歳で何もないところから会社を立ち上げた頃から、今も変わることはありません。


社会が変われば、人が求めるものも変わる。

その変化に耳を傾けながら、「今、自分たちにできることは何か」を考え続けることこそが、会社を長く続ける秘訣なのかもしれません。


そして、その根底には創業当時から一貫して変わらない、「選択肢を増やしたい」という想いがあります。

事業を増やすことが目的ではなく、その先にいる一人ひとりの暮らしや人生の可能性を広げること。


佐藤さんはこれからも、社会の変化を前向きに受け止めながら、新しい挑戦を続けていきたいと話してくださいました。………




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