2026/9/10 更新
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事などが制限される場合に、現役世代でも受け取れる可能性がある公的年金です。
ただし、病名や障害者手帳の有無だけで決まるものではなく、初診日、障害の状態、保険料納付要件などを満たす必要があります。
この記事では、初めて障害年金を調べる方に向けて、対象者、障害等級、2026年度の年金額、請求方法、相談先まで分かりやすく整理します。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に一定以上の制限が生じた場合に、生活を支えるために支給される公的年金です。
高齢者向けの老齢年金とは異なり、要件を満たせば20代や30代などの現役世代も対象になります。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、原則として、
障害の原因となった病気やけがの「初診日」に加入していた年金制度によって種類が決まります。
また、障害者手帳と障害年金は別の制度です。
手帳を持っているから必ず障害年金を受給できるわけではなく、反対に手帳がなくても障害年金の要件を満たす場合があります。
障害基礎年金と障害厚生年金では、対象となる初診日の状況や障害等級が異なります。
| 種類 | 主な対象 | 障害等級 | 年金額の考え方 |
|---|---|---|---|
| 障害基礎年金 | 国民年金加入中、20歳前、国内在住の60歳以上65歳未満の未加入期間などに初診日がある方 | 1級・2級 | 等級ごとの定額+対象となる子がいる場合の加算 |
| 障害厚生年金 | 厚生年金保険に加入している間に初診日がある方 | 1級・2級・3級 | 主に加入期間や報酬に応じた報酬比例額。1級・2級は障害基礎年金もあわせて受給 |
| 障害手当金 | 厚生年金加入中に初診日があり、一定の軽い障害が残った場合 | 一時金 | 報酬比例額をもとに計算 |
障害厚生年金の1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされます。3級は障害厚生年金のみです。
また、初診日から5年以内に病気やけがが治り、3級より軽い一定の障害が残った場合には、「障害手当金」という一時金を受け取れる場合があります。
障害年金を受け取るには、主に「初診日」「障害認定日・障害の状態」「保険料納付要件」を確認する必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 初診日 | 障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日 |
| 障害認定日 | 原則、初診日から1年6か月を経過した日。症状が固定した場合などには例外あり |
| 保険料納付要件 | 原則、初診日の前日時点で、所定の期間の3分の2以上が納付済または免除期間であること |
| 障害の状態 | 障害認定日などに、法令で定める障害等級に該当していること |
初診日は、現在通っている病院を初めて受診した日とは限りません。
同じ病気やけがで転院している場合は、原則として最初に医師や歯科医師の診療を受けた日が基準になります。
初診日に国民年金と厚生年金のどちらに加入していたかは、障害基礎年金・障害厚生年金のどちらが対象になるかを確認するうえでも重要です。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
ただし、人工透析では透析開始から3か月を経過した日、人工関節では挿入置換した日、在宅酸素療法では開始日など、1年6か月より前の日が障害認定日となる例外があります。
障害認定日に障害等級に該当しなかった場合でも、その後状態が悪化したときは「事後重症」による請求ができる場合があります。
原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、
保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて3分の2以上あることが必要です。
2026年時点では特例もあり、初診日が2036年4月1日前で、初診日に65歳未満の場合は、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たす場合があります。
20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件はありません。
ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金には、本人の所得による支給制限などがあります。
障害年金の等級は、病名だけではなく「障害認定基準」に基づき、日常生活や仕事への影響などを踏まえて判断されます。
障害基礎年金には1級・2級、障害厚生年金には1級・2級・3級があります。
障害者手帳の等級と障害年金の等級は連動していません。そのため、「身体障害者手帳2級だから障害年金も2級になる」「障害者手帳がないから障害年金を請求できない」とは限りません。
精神疾患、発達障害、知的障害についても、診断名だけで受給可否や等級が決まるものではありません。精神の障害では、日常生活能力、療養状況、生活環境、就労状況などを踏まえて総合的に判定されます。
働いていることだけを理由に直ちに対象外になるわけではありませんが、仕事内容、勤務時間、職場で受けている配慮なども判断材料になる場合があります。
難病やがん、心疾患、腎疾患などの内部障害についても、障害認定基準に該当する状態であれば対象となる可能性があります。病名だけで判断せず、年金事務所などに確認することが大切です。
障害基礎年金は等級ごとの定額、障害厚生年金は主に過去の報酬と厚生年金の加入期間をもとに計算されます。
年金額は年度ごとに改定されるため、最新金額を確認しましょう。
2026年度(令和8年度)、昭和31年4月2日以後生まれの方の障害基礎年金は次のとおりです。
● 1級:年額1,059,125円
● 2級:年額847,300円
● 子の加算:2人目まで1人につき年額243,800円、3人目以降は1人につき年額81,300円
昭和31年4月1日以前生まれの方は、1級が年額1,056,125円、2級が年額844,900円です。
障害厚生年金は、1級が「報酬比例の年金額×1.25」、2級が「報酬比例の年金額」、3級が「報酬比例の年金額」を基本として計算します。
一定の要件を満たす配偶者がいる1級・2級の方には、年額243,800円の加給年金額が加算される場合があります。
3級の最低保障額は年額635,500円です(昭和31年4月1日以前生まれの方は633,700円)。
障害手当金の最低保障額は1,271,000円です(昭和31年4月1日以前生まれの方は1,267,400円)。
障害厚生年金・障害手当金の実際の金額は報酬や加入期間などによって異なります。
障害年金を請求するときは、まず初診日と当時加入していた年金制度を確認し、そのうえで診断書などの必要書類を準備します。
初診日の確認に時間がかかる場合もあるため、診断書を取得する前に年金事務所などへ相談すると進めやすくなります。
一般的には、次の流れで手続きを進めます。
1. 年金事務所などへ相談する
2. 初診日・加入年金・保険料納付状況を確認する
3. 必要な診断書や証明書の様式を確認する
4. 医師に診断書を作成してもらう
5. 病歴・就労状況等申立書などを準備する
6. 年金請求書と必要書類を提出する
7. 日本年金機構の審査を経て、支給・不支給の決定を受ける
主な書類には、年金請求書、診断書、病歴・就労状況等申立書があります。初診時の医療機関と診断書を作成する医療機関が異なる場合は、
「受診状況等証明書」が必要になることがあります。
障害厚生年金は、原則として年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。障害基礎年金は原則として住所地の市区町村窓口が提出先ですが、初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合などは、年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。
障害認定日にすでに要件を満たしていた場合、遡って受け取れる年金は時効により原則5年分までです。一方、事後重症による請求は、原則として請求日の翌月分からの支給となります。
障害年金について迷った場合は、まず日本年金機構の年金事務所や街角の年金相談センターへ相談するのが基本です。
受給要件、初診日の確認、必要書類、請求先などを確認できます。
相談前には、次のような情報を整理しておくとスムーズです。
● 最初に受診した医療機関と受診時期
● これまでの転院・治療歴
● 症状が日常生活に与えている影響
● 仕事内容、勤務時間、休職歴、職場で受けている配慮
● 家族から受けている援助や介助
医療機関の医療ソーシャルワーカー(MSW)に、療養生活や制度利用について相談できる場合もあります。
また、手続きが複雑な場合には社会保険労務士へ相談する選択肢もありますが、まずは年金事務所などの公的窓口で制度や必要書類を確認するとよいでしょう。
不支給や障害等級について、決定理由を確認してもなお不服がある場合は、社会保険審査官への審査請求ができます。
原則として、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内という期限があるため注意してください。
A. はい。障害者手帳がなくても、障害年金の受給要件を満たせば受給できる可能性があります。
障害者手帳と障害年金は別制度で、審査基準や等級も異なります。
手帳の有無だけで判断せず、初診日、保険料納付状況、障害の状態を確認しましょう。
A. 対象となる可能性があります。
ただし、診断名だけでは決まりません。症状、日常生活能力、療養状況、生活環境、就労状況などを踏まえて総合的に判断されます。
A. 初診日は、原因となった病気やけがについて最初に医師等の診療を受けた日です。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月後で、障害の状態を確認する基準日です。
どちらも障害年金の受給要件や請求方法を確認するうえで重要です。
A. 未納期間があっても、直ちに対象外とは限りません。
納付済期間と免除期間を合わせて所定の要件を満たしているか、直近1年間に未納がない特例に該当するかなどを確認します。
20歳前の未加入期間に初診日がある場合は、保険料納付要件はありません。
A. まずは最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターに相談するとよいでしょう。
障害基礎年金では市区町村窓口が提出先となる場合もあります。
必要書類は初診日や加入していた年金制度などで異なるため、診断書を取得する前に確認しておくと安心です。
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事が制限される場合に受け取れる可能性がある公的年金です。
受給の可否は、病名や障害者手帳の有無だけで決まるものではありません。
初診日、障害認定日、保険料納付要件、障害の状態などを確認したうえで判断されます。
障害基礎年金と障害厚生年金では、対象となる人、障害等級、年金額の仕組みが異なります。また、請求では初診日の確認や診断書などの準備が重要です。
病気やけがによって生活や仕事への影響が続き、「自分も対象になるかもしれない」と感じた場合は、自己判断で諦めず、
早めに年金事務所などの公的窓口へ相談しましょう。
【参考文献】
障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です | 政府広報オンライン