障害者就業・生活支援センターとは?|支援内容と利用方法をわかりやすく紹介

2026/7/17 更新

障害者就業・生活支援センターとは、障害のある方や難病患者さんが「働きたい」「働き続けたい」と考えたときに、
就職と生活の両面から相談できる無料の支援機関です。


就職前の仕事探しだけでなく、就職後の職場定着、生活リズム、通院、金銭管理、職場との調整なども相談できます。

正式名称は「障害者就業・生活支援センター」で、「なかぽつ」と呼ばれることもあります。


1. 障害者就業・生活支援センターとは

障害者就業・生活支援センターは、厚生労働省が推進する事業で、雇用・保健・福祉・教育などの関係機関と連携しながら、身近な地域で就業面と生活面を一体的に支援します。

令和8年4月1日時点で全国に340か所に設置されています。


このセンターの役割は、単に求人を紹介することではありません。

本人の希望や体調、生活状況を整理し、ハローワーク、医療機関、福祉機関、自治体、事業主などとつなぎながら、働くことを継続しやすくする点にあります。

相談・支援は原則無料です。


2. 障害者就業・生活支援センターが必要な理由

就労の悩みは、求人探しや面接対策だけで解決しないことがあります。

たとえば、体調に合わせた勤務時間、通院への配慮、職場でのコミュニケーション、生活リズム、福祉サービスの利用などが安定してはじめて、働き続けやすくなります。


特に難病患者さんは、症状の波、疲れやすさ、通院頻度、職場への病気の伝え方などに悩むことがあります。

障害者就業・生活支援センターでは、仕事と生活を切り離さずに相談できるため、就職前だけでなく、就職後の定着支援にもつながります。


3. 利用できる人

利用対象は、就業に関する支援と、それに伴う生活支援を必要とする障害のある方です。


身体障害、知的障害、精神障害、発達障害のある方に加え、難病患者さんも相談できる場合があります。

障害者手帳がない場合でも、就労上の困りごとや支援の必要性に応じて利用できることがあるため、まずは地域のセンターへ確認しましょう。


また、本人だけでなく、家族、支援者、事業主が相談できる場合もあります。

本人の同意や状況に応じて、働き方や職場配慮、関係機関との連携方法を一緒に整理できます。


4. 主な支援内容

支援内容は大きく「就業面の支援」「生活面の支援」「関係機関との調整」に分けられます。

窓口での相談に加え、必要に応じて職場や家庭を訪問し、本人と職場の双方を支援することもあります。

支援の種類主な内容
就業面の支援就職相談、希望や得意不得意の整理、仕事探し、履歴書作成、面接練習、職場見学、職場実習、ハローワークとの連携など。
職場定着支援就職後の困りごと、勤務時間や業務内容の調整、職場でのコミュニケーション、上司・同僚への配慮事項の伝え方、離職予防など。
生活面の支援・連携生活リズム、健康管理、通院、金銭管理、住まい、福祉サービス、医療機関・市区町村・難病相談支援センター等との調整など。


5. 利用の流れ

利用方法は地域によって異なりますが、一般的には次の流れで進みます。予約制や登録制のセンターもあるため、初めて利用する場合は電話やホームページで確認しましょう。

初回相談では、希望する働き方、これまでの職歴、病気や障害による困りごと、通院状況、利用中の福祉サービス、職場で配慮してほしいことを整理しておくと相談が進みやすくなります。


6. 他制度との違い

障害者就業・生活支援センターは、求人紹介だけを行う機関ではありません。ハローワークや地域障害者職業センター、就労系障害福祉サービスと連携しながら、仕事と生活をつなぐ役割を持ちます。

機関・制度主な内容違い・使い分け
障害者就業・生活支援センター就職と生活を一体的に相談・支援仕事探しだけでなく、生活面や職場定着まで継続的に相談しやすい。
ハローワーク職業相談、求人紹介、雇用保険、事業主支援求人紹介や応募手続きの中心。障害者専門窓口と連携して利用する。
地域障害者職業センター専門的な職業リハビリテーション、職業評価、ジョブコーチ支援等職業評価や専門的支援が必要な場合に連携する。
就労移行支援一般就労に向けた訓練・就職活動支援障害福祉サービス。利用契約や市区町村での手続きが必要。
就労継続支援A型・B型一般企業で働くことが難しい方へ働く場や訓練を提供A型は雇用契約あり、B型は雇用契約なし。福祉的就労の場。


7. 利用時の注意点

障害者就業・生活支援センターは全国にありますが、地域によって利用方法、対象地域、予約の要否、登録方法、訪問支援の範囲が異なります。

利用前に電話やホームページで確認すると安心です。

  • 障害者手帳がない場合でも相談できることがありますが、診断名や通院状況を確認される場合があります。
  • 就職先を必ず紹介してもらえる制度ではありません。求人紹介はハローワーク等と連携して進めます。
  • 医療機関、自治体、福祉サービスとの連携が必要になる場合があります。
  • 職場への情報共有は、本人の希望や同意を確認しながら進めることが大切です。


8. 困ったときの相談先

働くことや生活面で困ったときは、障害者就業・生活支援センターだけでなく、状況に応じて複数の相談先を使い分けることが大切です。

求人を探したい場合はハローワーク、専門的な職業評価やジョブコーチ支援を受けたい場合は地域障害者職業センター、障害福祉サービスを利用したい場合は市区町村の障害福祉課が主な相談先になります。


難病患者さんの場合は、医療ソーシャルワーカー(MSW)や難病相談支援センター、患者会も役立ちます。

体調と仕事の両立、通院への配慮、利用できる制度、同じ病気の方の体験談などを相談できる場合があります。


9. 最新制度・法改正

障害者雇用・就労支援に関する制度は見直しが続いています。

令和8年7月から民間企業の法定雇用率は2.7%へ引き上げられ、障害者雇用の機会拡大と職場定着支援の重要性が高まっています。


また、令和7年10月からは新たな障害福祉サービスとして「就労選択支援」が始まっています。

これは、本人が就労先や働き方をよりよく選択できるよう、希望や適性、必要な配慮を整理するための支援です。就労継続支援B型などを検討する場合は、市区町村や相談支援専門員に確認しましょう。


令和6年4月以降は、一部の週10時間以上20時間未満で働く障害者も、雇用率制度上0.5カウントで算定できるようになっています。体調に合わせた短時間就労を検討したい場合も、センターやハローワークに相談するとよいでしょう。


10. よくある質問(FAQ)

Q1. 利用料金はかかりますか?相談だけでも利用できますか?

A. 障害者就業・生活支援センターへの相談は、基本的に無料で利用できます。すぐに就職活動を始める予定がなくても、「今の体調で働けるか不安」「どんな働き方が合っているかわからない」「まずは制度や支援先を知りたい」といった相談から利用できる場合があります。


ただし、利用方法や相談予約の有無は地域のセンターによって異なります。

初めて利用する場合は、事前に電話やWebサイトで受付方法、対象地域、相談できる内容を確認しておくと安心です。


Q2. 障害者手帳がなくても利用できますか?難病患者も対象になりますか?

A. 障害者就業・生活支援センターは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害のある方に加え、難病のある方も相談できる場合があります。障害者手帳を持っている方が対象になることが多い一方で、手帳がない方でも、病気や障害によって働くことに困難がある場合は相談できることがあります。


たとえば、難病により疲れやすさ、通院、症状の変動、服薬管理、勤務時間への配慮が必要な場合などは、就労上の困りごととして相談できる可能性があります。利用できるか迷う場合は、自己判断で諦めず、地域のセンターや主治医、医療ソーシャルワーカー、難病相談支援センターに確認してみましょう。


Q3. ハローワークとは何が違いますか?

A. ハローワークは、求人紹介や職業相談、雇用保険、職業訓練などを扱う公的な就職支援機関です。一方、障害者就業・生活支援センターは、障害や病気のある方が働くうえで必要な支援を、就業面と生活面の両方から行う相談機関です。


たとえば、ハローワークでは求人探しや応募の相談を中心に行い、障害者就業・生活支援センターでは、体調に合った働き方の整理、職場で必要な配慮の相談、生活リズムの調整、就職後の職場定着支援などを受けられます。


実際には、どちらか一方だけを使うのではなく、ハローワークで求人を探しながら、障害者就業・生活支援センターで働き方や職場定着について相談するなど、連携して利用することが多くあります。


Q4. 就職後も支援してもらえますか?家族も相談できますか?

A. 障害者就業・生活支援センターでは、就職後の定着支援も受けられます。就職して終わりではなく、勤務開始後に職場で困りごとが出てきた場合や、体調の変化により働き方の調整が必要になった場合にも相談できます。


たとえば、職場でのコミュニケーション、業務量、勤務時間、通院との両立、体調不良時の対応、上司への伝え方などについて、本人と職場の間に入りながら調整を支援してくれる場合があります。


また、本人だけでなく、家族や支援者が相談できる場合もあります。「家族としてどう支えればよいかわからない」「本人に合う働き方を一緒に考えたい」といった場合も、まずは地域のセンターへ相談できるか確認してみましょう。


Q5. 家族も相談できますか?

A. 障害者就業・生活支援センターでは、本人だけでなく、家族や支援者が相談できる場合があります。たとえば、「本人が働きたい気持ちはあるが、体調面が心配」「どのような働き方が合っているのかわからない」「家族としてどこまで支援すればよいか悩んでいる」といった相談が考えられます。


特に難病や障害のある方の場合、通院、服薬、症状の波、疲れやすさ、生活リズムなどが就労に影響することがあります。家族が本人の状況を整理したうえで相談することで、本人に合った働き方や必要な配慮、利用できる支援機関を一緒に考えやすくなります。


ただし、支援の中心はあくまで本人の希望や意思です。家族だけで相談する場合でも、最終的には本人の意向を確認しながら進めることが大切です。相談できる範囲や予約方法は地域のセンターによって異なるため、事前に電話などで確認しておくと安心です。


11. まとめ

障害者就業・生活支援センターは、働くことと暮らすことを一緒に考えられる相談先です。


対象となる可能性があるのは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などにより、就職や職場定着に支援を必要とする方です。

障害者手帳がない場合でも相談できることがあります。


主な支援は、就職相談、就職準備、職場実習、応募書類・面接支援、職場定着、生活面の相談、関係機関との調整です。

ハローワークは求人紹介、地域障害者職業センターは専門的な職業評価やジョブコーチ支援、就労移行支援や就労継続支援は障害福祉サービスとしての訓練・働く場という役割があります。


迷った場合は、最寄りの障害者就業・生活支援センター、ハローワーク、市区町村、医療ソーシャルワーカー、難病相談支援センターへ早めに相談しましょう。



【参考文献】

障害者就業・生活支援センターについて(厚生労働省)

障害者の就労支援について(厚生労働省)

障害者の方への施策(厚生労働省)

就業・生活支援|摂津市障害者総合支援センター

さいこうえん障害者就業・生活支援センター|徳充会