難病患者さんにとって災害対策は、一般的な防災用品をそろえるだけでは不十分な場合があります。
災害時は、停電・断水・通信障害に加えて、通院できない、薬が手に入らない、医療機器が使えない、避難所生活で病状が悪化するなどのリスクがあるためです。
この記事では、難病 災害対策として日頃から準備しておきたいこと、災害発生時の優先行動、人工呼吸器など医療的ケアが必要な方の備え、避難時の注意点、相談先を整理します。
災害時は、医療が通常どおり受けられない可能性があります。
道路の寸断や交通機関の停止により通院できなくなったり、薬局の営業停止や物流の遅れにより医薬品・医療材料の確保が難しくなったりすることがあります。
また、人工呼吸器、在宅酸素、吸引器、電動車いすなどを使っている方にとって、停電は体調や生命に直結する問題です。避難生活では睡眠不足、感染症、食事や水分の不足、ストレス、トイレ環境の変化などが病状に影響することもあります。
日頃から「薬・医療情報・電源・避難先・連絡手段」を準備しておくことが、災害時の安心につながります。
難病 防災では、一般的な非常用持ち出し袋に加えて、自分の病気や治療に必要なものを準備しておくことが重要です。
薬や医療材料は、主治医・薬剤師に相談し、災害時に不足しないよう保管方法や必要量を確認しておきましょう。
| 準備するもの | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| 薬・医療材料 | 常備薬、注射薬、処置用品、衛生用品など。自己判断で薬を減らしたり中止したりしないよう、災害時の対応を主治医に確認します。 |
| 医療情報 | お薬手帳、診療情報、病名、服薬内容、アレルギー、使用中の医療機器、緊急時の注意点を紙とスマートフォンの両方で準備します。 |
| 連絡先 | 主治医、医療機関、薬局、訪問看護、家族、支援者、自治体窓口の連絡先をまとめます。災害用伝言ダイヤル171の使い方も共有します。 |
| 電源・通信 | モバイルバッテリー、充電器、乾電池、予備バッテリー、非常用電源を準備します。医療機器利用者は必要な稼働時間を確認します。 |
| 避難情報 | ハザードマップ、避難所、福祉避難所、避難経路、集合場所を家族で確認します。避難に支援が必要な方は市区町村に相談します。 |
| 生活用品 | 水、食品、簡易トイレ、マスク、消毒用品、保温用品、補助具、食事制限に合う食品などを用意します。 |
災害が起きた直後は、まず身の安全を確保します。安全な場所へ移動したうえで、薬・医療機器・バッテリー・医療情報を確認し、家族や支援者と安否確認を行います。
電話がつながりにくい場合は、災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板も活用します。
その後、自治体、医療機関、薬局、訪問看護、保健所などから情報を集め、在宅避難を続けるか、指定避難所や福祉避難所への避難を検討します。
支援が必要な場合は、体調が悪化してからではなく早めに相談することが大切です。

人工呼吸器 災害対策や在宅医療 災害対策では、停電時に何時間機器を使えるかを具体的に確認することが重要です。
人工呼吸器、在宅酸素療法、吸引器、電動車いすなどを利用している方は、主治医、訪問看護師、医療機器業者、自治体と一緒に個別の対応を決めておきましょう。
医療機器の扱いは機種や病状によって異なります。災害時の操作や代替手段は、必ず主治医・医療機器業者に確認しておきましょう。
避難所に着いたら、持病や服薬状況、必要な配慮を早めに伝えます。
外見からは病気が分かりにくい難病もあるため、「疲れやすい」「横になれる場所が必要」「感染症リスクを避けたい」「トイレが近い」「電源が必要」など、具体的に伝えることが大切です。
災害時は、ひとつの窓口だけで解決しようとせず、医療・福祉・防災の相談先を組み合わせて利用します。
平時から「どこに何を相談するか」を整理しておくと、発災時に動きやすくなります。
| 相談先 | 相談できること |
|---|---|
| 市区町村・災害時の自治体窓口 | 避難所、福祉避難所、避難行動要支援者名簿、個別避難計画、防災情報の確認。 |
| 保健所・難病担当窓口 | 難病患者さんの療養相談、在宅療養、災害時の支援体制、関係機関との調整。 |
| 医療機関・主治医・薬局 | 薬の備蓄、治療継続、医療機器、災害時の受診先や薬の入手方法。 |
| 医療ソーシャルワーカー(MSW) | 医療費、福祉制度、退院後生活、在宅医療、地域資源へのつなぎ。 |
| 難病相談支援センター・患者会 | 療養生活、同じ病気の方の備え、地域の支援情報、家族の相談。 |
2026年7月時点で確認できる公的情報では、市町村は災害時に自ら避難することが難しい高齢者・障害者等について「避難行動要支援者名簿」を作成する義務があります。
また、令和3年の災害対策基本法改正により、個別避難計画の作成は市町村の努力義務とされています。
難病患者さんも、病状や医療機器の使用状況によって支援が必要な場合があるため、市区町村へ相談しておくと安心です。
内閣府は、避難生活における生活環境の確保に向けた取組指針や避難所運営のチェックリストを令和6年12月に改定しています。
福祉避難所については、令和3年5月改定の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」が公表されています。
実際の運用は自治体により異なるため、避難先や利用条件はお住まいの自治体で確認しましょう。
未確定の検討情報だけで判断せず、最新の公式情報を確認することが大切です。
A. まず身の安全を確保し、そのうえで薬、医療機器、バッテリー、医療情報を確認します。
安否確認と情報収集を行い、在宅避難が難しい場合や医療的な支援が必要な場合は、早めに自治体、医療機関、支援者へ相談しましょう。
A. 病状や薬の種類によって異なりますが、災害時に薬がすぐ入手できない可能性を考え、主治医・薬剤師と相談して数日から1週間程度を目安に備えておくと安心です。
温度管理が必要な薬、注射薬、医療材料は保管方法も確認しましょう。
A. 必要です。お薬手帳があると、避難先や別の医療機関でも服薬内容、用量、アレルギー、処方元を伝えやすくなります。
紙のお薬手帳に加え、スマートフォンで写真を保存しておくと、紛失時の備えになります。
A. 人工呼吸器を利用している方は、内部バッテリー・外部バッテリー・非常用電源で何時間使用できるかを事前に確認してください。
医療機器業者、訪問看護師、主治医、自治体と連携し、停電時の連絡先、避難先、搬送方法、手動換気の対応を個別に決めておくことが重要です。
A. 福祉避難所は、高齢者、障害のある方、難病患者さんなど、一般の避難所での生活が難しい方を受け入れるための避難所です。
ただし、災害発生直後から誰でも直接行けるとは限らず、自治体の判断や案内により利用する場合があります。
A. 必要な配慮を受けるため、病名そのものを詳しく説明しなくても、服薬、感染症リスク、食事制限、横になれる場所、電源、トイレ、介助の必要性などを具体的に伝えることが大切です。
医療情報カードやお薬手帳を使うと説明しやすくなります。
難病患者さんの災害対策では、一般的な防災用品に加えて、薬、医療情報、医療機器の電源、避難先、支援者との連絡方法を事前に準備しておくことが重要です。
災害時は、通院先にすぐ連絡できない、薬を受け取れない、停電で医療機器が使えない、避難所で必要な配慮を受けにくいなど、普段とは異なる困りごとが起こる可能性があります。
特に人工呼吸器、在宅酸素療法、吸引器、電動車いすなどを利用している方は、停電時の対応や非常用電源の確保について、主治医、医療機器業者、自治体とあらかじめ確認しておくことが大切です。
また、自力での避難が難しい場合や継続的な医療的ケアが必要な場合は、避難行動要支援者名簿への登録や、個別避難計画の作成について市区町村へ相談しておくと安心です。
災害はいつ起こるかわかりません。
まずは今日できることとして、お薬手帳や診療情報のコピーを用意する、緊急連絡先をまとめる、ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認する、非常用持ち出し袋を見直すことから始めてみましょう。
家族や支援者と「どこへ避難するか」「誰に連絡するか」「薬や医療機器をどう持ち出すか」を話し合っておくことも、災害時の安心につながります。
迷ったときは一人で抱え込まず、主治医、医療機関、保健所、市区町村、難病相談支援センター、患者会などに早めに相談しましょう。
平時から相談先とつながっておくことが、災害時に必要な支援を受けるための大切な備えになります。
【参考文献】