2026/10/27 公開
「自分の病気について聞かれたら、何を伝えればよいのだろう」
「病名や薬の名前を覚えられないときは、どうすればよい?」
「一人でうまく説明できない場合、誰に相談できるだろう」
子どものころから難病・希少疾患(きしょうしっかん)の治療を続けている方は、大人になるにつれて、自分の症状や治療について医療者へ伝える機会も出てくるでしょう。
病気を説明するために、すべての情報を暗記したり、一人だけで話したりする必要はありません。必要な医療情報を整理し、お薬手帳やメモなどを活用しながら、わかることから少しずつ伝えてみましょう。
この記事では、自分の病気を説明するために確認しておきたい情報や、医療情報のまとめ方、診察で伝える練習方法を紹介します。一人で説明することが難しいときに利用できる支援についても確認していきましょう。
この記事でわかること
自分の病気や治療の情報を整理する方法と、診察で伝えるときのポイント、一人で説明することが難しい場合に利用できる支援についてわかります。

自分の病気を説明できることは、医療者に症状や注意点を知ってもらい、
自分の状態に合った診察や治療を受けるために大切です。
自分の病気について伝えられることには、次のような意味があります。
● 医療者が症状や体の状態を把握しやすくなる
● 薬や治療上の注意点を共有したうえで、診察や治療を進められる
● 自分の希望や困りごとを、治療や支援に反映してもらいやすくなる
● 初めての病院や緊急時にも、必要な情報を医療者と共有できる
健康や医療に関する情報を得て理解し、活用する力を「ヘルスリテラシー」といいます。
病気について知り、自分の状態や必要な支援を相手に伝えることも、自分の健康を守る上で必要な力の一つです。
成人移行支援では、単に内科や整形外科といった成人診療科へ移るのではなく、自分の病気を理解し、自分で受診する力を身につけるための準備も重視されています。まずは病名や薬の名前など、わかることから少しずつ確認していくことが、ヘルスリテラシーを身につけるためのスタートとなります。
ただし、自立とは、病気の説明や病気の自己管理をすべて一人でおこなうことではありません。ご家族や医療者の支援を受けながら、自分が話せる部分を伝えたり、わからないことを質問したりするなど、自分にできる方法で医療に関わることが大切です。
自分の病気を説明するために、まず知っておきたいのは「病名・症状・治療・薬・アレルギー」です。
以下の表では、確認しておきたい内容をまとめました。
把握していない内容は、本人とご家族で、主治医や看護師、薬剤師に確認しながら整理していきましょう。
| 知っておきたいこと | 確認しておきたい内容の例 |
|---|---|
| 病名 |
|
| 症状 |
|
| 治療内容 |
|
| 薬 |
|
| アレルギー |
|
受診の目安や緊急時の対応、服薬管理の方法は、病気の状態や薬の種類によって変わります。
自己判断せず、どのように行動すればよいかを主治医や薬剤師に確認しておきましょう。
最初からすべてを説明できなくても問題ありません。
まずは「病名を言う」「ふだんの症状を一つ伝える」など、わかることから少しずつ始めていきましょう。
確認した医療情報は、記憶だけに頼らず、必要なときに見返せる形でまとめておくと受診時や緊急時に確認しやすくなります。紙のノートやファイル、スマートフォンのアプリなど、自分やご家族が使いやすい方法を選びましょう。
「一つにまとめる」といっても、すべての情報を一枚の紙に書く必要はありません。保管する場所や管理方法を決め、どこを見れば必要な情報を確認できるかがわかる状態にしておきましょう。
| 医療情報 | まとめる内容の例 | まとめ方・使い方のポイント |
|---|---|---|
| 自分用の医療サマリー |
|
|
| お薬手帳 |
|
|
| 医療関係の書類 |
|
|
サマリーとは、必要な情報をわかりやすくまとめたものです。自分用の医療サマリーを作っておくと、自分の病歴や病状を整理でき、受診時に病気を説明するときにも活用できます。
まずは手元にあるお薬手帳や検査結果などを集め、不足している情報を少しずつ補っていきましょう。
また、治療内容や薬、通院先などが変わったときは、まとめた情報も更新し、新しい情報を必要時に確認できるようにしておくことも大切です。
病気について確認したら、診察で自分の状態を伝える練習をしてみましょう。
最初から一人ですべてを説明しなくても大丈夫です。まずは、主治医から質問されたときに、自分で答えられることを増やしていきましょう。
以下のような工夫を取り入れることで、自分の言葉で伝えやすくなる場合があります。
● 診察前には、前回の受診から変わったことや現在困っていること、主治医に聞きたいことなどをメモに書いておく
● 質問がいくつもある場合は、特に確認したいものを2〜3個に絞っておく
● 「いつから症状があるのか」「どのようなときに現れるのか」「生活で何に困っているのか」のように、自分が経験したことを順番に伝える
● 薬の名前やこれまでの治療を思い出せないときは、自分用の医療サマリーやお薬手帳を見ながら説明する
● わからないことは無理に答えず、「わかりません」と伝え、必要に応じてご家族に補足してもらう
● 主治医の説明が理解できなかったときは、「もう一度説明してください」「もう少しわかりやすく教えてください」と聞き返す
診察の内容を忘れそうな場合は、説明をメモに残しておくと、あとから振り返りやすくなります。話すときは難しい医療用語を使う必要はありません。「一週間ほど前から疲れやすく、学校から帰ると横になることが増えました。今日は、このまま様子を見てよいか聞きたいです」など、自分の状態や確認したいことをそのまま伝えましょう。
一人で病気を説明することが難しい場合は、無理にすべてを自分だけで話す必要はありません。
ご家族に補ってもらうほか、医療機関や地域の支援を利用する方法があります。
医療機関によっては、成人期の医療へ移るための準備を支援する外来(トランジション外来、移行支援外来など)を設けている場合があります。
設置の有無や支援内容は医療機関によって異なるため、主治医や看護師に確認してみましょう。
| 利用できる窓口・担当者 | 受けられる支援 | 利用前に確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 看護師・薬剤師・管理栄養士など | おもに子どものころに利用する医療費助成制度です。 病気や治療、薬、生活上の困りごとについて、それぞれの専門分野から相談に対応する | 「一人で説明するのが難しい」と伝え、どのような支援を受けられるか尋ねる |
| トランジション外来、移行支援外来などの担当者 | 成人期の医療に移るための準備を支援する | 利用できる外来や担当者がいるかを主治医や看護師に確認する |
| 移行期医療支援センター | 成人期の医療への移行に関する相談や、医療機関どうしの連絡調整・連携支援をおこなう ※対象者や支援内容は地域によって異なります | 地域にセンターが設置されているか、どのように相談できるかを確認する |
支援を受ける場合も、自分で伝えられる部分は患者さん本人が話し、難しい部分をご家族などに補ってもらう方法があります。周囲の支援を受けながら伝えることも、自分の医療に関わる方法の一つです。
障害や病状などにより、患者さん本人が説明することが難しい場合は、ご家族が病名や症状、治療内容、緊急時の対応などを医療者と確認し、必要な情報を共有します。
どこに相談すればよいかわからないときは、まず主治医や看護師に「病気について説明するときに支援が必要です」と相談してみましょう。
自分の病気を説明できることは、医療者に自分の状態を理解してもらい、必要な医療を受けることにつながります。まずは病名や症状、治療内容、薬、アレルギーなど、わかることから少しずつ確認していきましょう。
確認した医療情報は、お薬手帳や診察メモ、自分用の医療サマリーにまとめると、診察で伝えやすくなります。
すべてを暗記する必要はなく、メモを見ながら話したり、医療者に見せたりしても構いません。
一人で説明することが難しい場合も、無理に自分だけで伝える必要はありません。
本人が伝えられることを大切にしながら、ご家族や医療者などの支援を受け、自分に合った方法・ペースで進めていきましょう。