筋ジストロフィー 受診を考えたい症状

筋力や運動発達には個人差があり、疲労、運動不足、加齢、けがなどによって、一時的に動きにくくなることもあります。

そのため、一つの症状があるだけで、筋ジストロフィーを疑う必要はありません。

ただし、原因の分からない変化が続く、徐々に強くなる、複数の動作に影響している場合は、医療機関への相談を考えましょう。


監修:国立精神・神経医療研究センター/ TMC(トランスレーショナル・メディカルセンター)センター長、

病院臨床研究・教育研修部門長、脳神経小児科診療部長、筋疾患センター長 小牧 宏文 先生


目次

子どもの受診を考えたい変化

・首のすわり、寝返り、お座り、歩き始めなどの運動発達が気になる

・転ぶ回数が同年代の子どもより明らかに多い

・走る、跳ぶ、階段を上る動作が難しい

・床から立つときに、膝や太ももへ手をつく

・つま先歩きが続いている

・歩き方が左右に揺れる

・以前できていた動作が難しくなった

・運動を避けたり、抱っこを求めたりすることが増えた

・食事、飲み込み、呼吸にも気になる点がある

・健診や血液検査でCK、AST、ALTなどの異常を指摘された


乳幼児健診で「経過を見ましょう」と言われた場合でも、家族が気になる変化を感じているときや、症状が強くなっているときは、次の健診を待たずに相談して構いません。

成人の受診を考えたい変化

・階段、坂道、立ち上がりが以前より難しくなった

・つまずきや転倒が増えた

・腕や肩が上がりにくくなった

・原因の分からない筋力低下が徐々に進んでいる

・左右で筋肉の動きや大きさが違う

・手を握ったあとにすぐ開けない

・目を閉じにくい、口をすぼめにくい

・飲み込みにくさやむせが増えた

・原因の分からないCK高値が続いている

・家族や親族に似た症状がある

・動悸、めまい、失神がある

・横になったときの息苦しさがある

・朝の頭痛や日中の強い眠気がある

筋力低下が日常生活へ大きく影響していない段階でも、早めに相談することで、必要な検査や専門医への紹介につながる場合があります。


症状が続く、または進んでいるかを確認しましょう

一時的な疲れであれば、休息によって改善することがあります。

一方、筋ジストロフィーなどの筋疾患では、動作の難しさが長く続いたり、少しずつ進んだりすることがあります。

次のような変化を確認しておくと、医師へ伝えやすくなります。


・いつ頃から症状に気づいたか

・最初に難しくなった動作は何か

・症状は左右のどちらから始まったか

・数か月前や1年前と比べて変化しているか

・休むと改善するか

・転んだ回数や歩ける距離が変化したか

・学校、仕事、家事で困る場面は何か

・筋力以外に心臓、呼吸、飲み込みの症状があるか


受診時には、健康診断や血液検査の結果、お薬手帳、母子健康手帳などがあれば持参します。

子どもの歩き方や立ち上がり方などは、安全に配慮したうえで動画を撮り、診察時に見せると参考になる場合があります。


急いで受診したい症状

筋ジストロフィーは一般にゆっくり症状が進む病気ですが、呼吸や心臓などに急な症状が現れた場合は、通常の診察日を待たずに対応する必要があります。

・急に強い息苦しさが現れた

・呼びかけへの反応が悪い

・唇や顔色が青紫色になっている

・強い胸の痛みがある

・突然意識を失った

・強い動悸とめまいがある

・食べ物を喉につまらせ、呼吸ができない

・水分も飲み込めない状態が続いている

このような場合は、救急車を呼ぶことも含め、速やかに医療機関へ相談してください。

無理な運動や自己流の訓練には注意しましょう

筋力低下が気になると、「筋肉を鍛えればよくなるのでは」と考えることがあります。

しかし、筋ジストロフィーでは筋肉が傷つきやすいため、強い負荷をかける運動や、痛みや強い疲労が残る訓練が適さない場合があります。

一方で、必要以上に体を動かさない状態が続くと、関節が硬くなったり、体力が低下したりする可能性があります。

自己判断で強い筋力トレーニングを始めたり、反対にすべての活動を控えたりせず、主治医や理学療法士などに相談し、自分の状態に合った方法を確認しましょう。

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