筋ジストロフィーの治療とケアをやさしく解説
筋ジストロフィーと診断され、「これから自分の体はどうなるのだろう」「どんな治療があるのだろう」と、不安や戸惑いを感じる方は少なくありません。
筋ジストロフィーは、一つの病気の名前ではありません。原因や症状、進み方が異なるいくつもの「病型」があり、必要な治療やケアもそれぞれ違います。一方で、病型にかかわらず大切になるケアもあります。
この記事では、筋ジストロフィーに共通するケアと、病型ごとに行われる治療について、順を追ってわかりやすく解説します。なお、遺伝子を調べる検査については別の記事で詳しくお伝えします。
監修:国立精神・神経医療研究センター/ TMC(トランスレーショナル・メディカルセンター)センター長、
病院臨床研究・教育研修部門長、脳神経小児科診療部長、筋疾患センター長 小牧 宏文 先生
筋ジストロフィーの治療では、病気の進行をできるだけゆるやかにし、体の機能を長く保つことが大切です。今できていることをできるだけ長く続け、自分らしい暮らしを守っていく。そのために、病型や症状に合わせて治療とケアを組み合わせていきます。
治療は、大きく二つに分けるとわかりやすくなります。一つは、今ある症状をやわらげ、生活を支えるためのケア。もう一つは、病気の進行そのものにはたらきかける治療です。病型によっては、ステロイドや遺伝子の変化に応じた薬が使われます。
こうした治療とケアを組み合わせながら、できるだけ長く体の機能を保ち、日々の生活を続けられるようにしていきます。
緩和ケアは終末期だけでなく、早い段階から痛みや不安をやわらげ、生活の質を保つためにも大切です。また、将来の呼吸管理(人工呼吸器の選択など)について、ご本人やご家族、医療チームで話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」も、ケアの一部として考えていきます。
筋ジストロフィーの治療やケアは進歩しています。呼吸を助ける方法が普及し、心臓への影響も早い段階から検査し、必要に応じて薬で治療するようになりました。さらに病型によっては、遺伝子の変化に応じた治療薬も登場しています。
大切なのは、症状が出てから対処することだけではありません。呼吸や心臓など、自分では気づきにくい変化を定期的に確認し、必要なケアを早めに始めることも治療の一部です。
筋ジストロフィーにはさまざまな病型があります。代表的なものを見てみましょう。
このほかにも複数の病型があります。病型によって症状の現れ方や進み方だけでなく、必要な検査や治療も変わります。まず自分の病型を知ることが、これからの治療を考える出発点になります。
筋ジストロフィーの治療は、一人の医師だけで行うものではありません。脳神経内科や小児神経科の医師を中心に、体の状態や生活に合わせてさまざまな専門職が関わります。
最初からすべての専門職につながる必要はありません。今の自分にはどんな支援が必要なのか、主治医と相談しながら必要な人につながっていきましょう。
筋ジストロフィーといっても、治療やケアで特に大切になることは病型によって違います。まずは多くの病型に共通するケアを押さえ、そのうえで病型ごとのポイントを見ていきましょう。
筋ジストロフィーでは、病型や体の状態に合わせながら、主に次のようなケアを行います。
どのケアが必要になるか、いつから始めるか、どのくらいの間隔で検査するかは、病型や年齢、体の状態によって変わります。
DMDでは、幼いころから筋力の低下がみられ、成長とともに歩行や腕の動き、呼吸、心臓などにも影響が及びます。治療やケアでは、次のような点が大切になります。
DMDの病気の進行そのものにはたらきかける治療(疾患修飾治療)には、現在、大きく分けて①ステロイド、②エクソンスキッピング、③遺伝子治療があり、このほかにも新しい治療法の治験が進められています。
●筋力や運動機能をできるだけ長く保つためのステロイド治療
●遺伝子の変化によっては、そのタイプに応じた治療薬
●症状がなくても続ける呼吸と心臓の定期的な評価・管理
●背骨が曲がる「側弯」や関節がかたくなる「拘縮」への対策
症状の現れ方や進み方には個人差があります。同じDMDでも経過は一人ひとり違うため、年齢だけで判断せず、自分の体の状態に合わせて治療やケアを考えていきます。
BMDで特に注意したいのが心臓です。筋力低下が比較的軽くても、心臓の筋肉に変化が起こり、心筋症が進むことがあります。
日常生活に不便がないからといって、心臓にも問題がないとは限りません。自覚症状がなくても、心電図や心エコーなど必要な検査を定期的に受けることが大切です。検査の内容や間隔は、自分の状態に合わせて主治医と相談していきましょう。
筋強直性ジストロフィーは、握った手をすぐに開きにくい「筋強直」だけでなく、全身にさまざまな症状が現れる病気です。筋肉以外にも、次のような変化に注意します。
●不整脈や心臓の伝導障害
●日中の強い眠気や睡眠に関する問題
●呼吸機能の低下や睡眠時呼吸障害
●糖尿病などの代謝異常
●白内障
●便秘や下痢などの消化器症状
特に心臓の異常は自分では気づかないこともあるため、定期的な検査が大切です。また、手術や検査で麻酔を使うときには特別な注意が必要になることがあります。ほかの診療科を受診するときにも、筋強直性ジストロフィーであることを医療者に伝えておきましょう。
FSHDでは、顔や肩甲骨のまわり、腕などの筋力が低下しやすく、目をしっかり閉じにくい、腕を上げにくいといった症状がみられます。
よく使う物を手の届きやすい位置に置くなど、腕を高く上げなくても生活できる環境に変えるだけで、負担を減らせることがあります。症状は脚に及ぶこともあり、一部の方では呼吸機能にも影響するため、自分の状態に合わせて必要な検査を受けていきます。
LGMDでは、腰や肩まわりの筋力が低下し、床から立ち上がりにくい、階段を上りにくいといった症状がみられます。
LGMDには、原因となる遺伝子が異なる多くのタイプがあります。タイプによって症状や進み方も異なり、心臓への影響に注意したいものもあれば、呼吸機能を特に見守る必要があるものもあります。
そのため、「LGMD」という診断だけでなく、どのタイプなのかを確認することが大切です。自分のタイプと体の状態に合わせて、必要な検査やケアを主治医と一緒に考えていきます。
筋ジストロフィーで使う薬は、病型や症状によって異なります。たとえばDMDではステロイドが治療の柱の一つです。また、心臓への影響が起こりやすい病型では、自覚症状がないうちから心臓を守る治療を始めることもあります。
DMDでは、ステロイドが筋力や運動機能をできるだけ長く保つために使われます。歩行できる期間を延ばすだけでなく、呼吸機能や心臓、側弯などにもよい影響が期待されています。
一方、ステロイドを標準的に使うかどうかは病型によって異なります。薬の種類や量、始める時期などは、期待できる効果と副作用を確認しながら主治医と相談して決めていきます。
ステロイドを長く使う場合は、効果だけでなく副作用も定期的に確認します。特に注意したいのは、次のような変化です。
●体重が増えやすくなる
●身長が伸びにくくなる
●骨が弱くなり、骨折しやすくなる
●白内障など目の症状が現れる
●血糖値や血圧が上がる
●感染症にかかりやすくなる
副作用は、早く気づいて対処することが大切です。また、ステロイドは急に中止すると体に大きな負担がかかることがあります。気になる症状があっても自分の判断で減らしたり中止したりせず、まず主治医に相談してください。
筋ジストロフィーでは、息切れや動悸などを感じる前から心臓に変化が始まっていることがあります。そのため、心臓への影響が起こりやすい病型では、定期的に検査を行い、病型や年齢、検査結果に応じて早い段階から薬を使うことがあります。
特にDMDやBMDでは、心臓の状態を継続して確認することが重要です。LGMDなどでも、タイプによって心臓への影響が異なります。どの薬をいつ始めるかは一律ではなく、自分の病型と検査結果に合わせて判断します。
筋ジストロフィーでは、病気そのものへの治療だけでなく、体に起こるさまざまな問題に合わせた治療も大切です。たとえば、次のようなものがあります。
●骨が弱くなったときに、骨を守るための治療
●便秘があるときに、排便を助ける薬
●胃食道逆流があるときに、胃酸を抑える薬
●感染症のリスクを減らすための予防接種
必要な治療は、病型や年齢、体の状態によって変わります。「病気とは関係ないかも」と思うような小さな変化でも、診察のときに伝えておくと必要な治療やケアにつながることが少なくありません。
筋ジストロフィーでは、遺伝子の変化に合わせた治療も登場しています。使える治療は病型や遺伝子の変化によって異なるため、まず自分の遺伝子の状態を知ることが大切です。日本では2026年にDMDに対する遺伝子治療薬の臨床使用が始まりましたが、対象となる患者さんは限られており、引き続き有効性や安全性について検証が行われています。
エクソンスキッピングとは、遺伝子の特定の部分をあえて読み飛ばすことで、短くても機能するたんぱく質をつくらせる治療法です。DMDでは、筋肉を守る「ジストロフィン」というたんぱく質が十分につくられません。そこでエクソンスキッピングによって、機能を保ったジストロフィンをつくらせ、病気の進行を抑えることを目指します。
エクソンスキッピングを利用した核酸医薬は、日本でも承認されています。ただし、対象となるのは特定の遺伝子変化がある方に限られます。治療が使えるかどうかは、遺伝学的検査の結果をもとに判断します。
DMDでは、遺伝子を体内に届け、筋肉でジストロフィンの一部の働きを担う「マイクロジストロフィン」をつくらせる遺伝子治療も登場しています。日本でも条件・期限付きで承認された治療があります。
新しい治療のため、長期的な効果や安全性など、まだわかっていないこともたくさんあります。期待できる効果とリスクの両方を確認して検討することが大切です。
遺伝子に応じた治療を検討するには、どのような遺伝子変化があるのかを調べる必要があります。ただし、検査をしても原因を特定できない場合があります。結果の意味も含め、主治医や遺伝医療の専門家と相談しながら進めていきましょう。
DMDだけでなく、筋強直性ジストロフィーやFSHD、LGMDなどでも新しい治療法の研究が進んでいます。治験や研究について知りたい場合は、病型によっては患者登録制度を利用したり、主治医や専門の医療機関に相談したりするとよいでしょう。
リハビリテーションは、多くの病型で大切なケアの一つです。筋肉を無理に鍛えるのではなく、関節の動きや姿勢を保ち、できるだけ動きやすい状態を続けることを目指します。
筋力が低下して関節を動かす機会が減ると、曲げ伸ばしがしにくくなる「拘縮」が起こることがあります。予防には、足首や膝、股関節、肘、指などをゆっくり伸ばすストレッチが役立ちます。
無理に伸ばしたり、勢いをつけたりする必要はありません。痛みが出ない範囲で、理学療法士などに正しい方法を教わり、コツコツと続けましょう。
適度に体を動かすことは大切ですが、限界まで力を出すような強い運動は避けた方が無難です。運動後の強い疲れや筋肉痛が長く残らない程度が一つの目安となります。
自分に合った運動の種類や量は病型や体の状態によって違うため、主治医や理学療法士と相談して決めていくとよいでしょう。
適度に体を動かすことは大切ですが、限界まで力を出すような強い運動は避けた方が無難です。運動後の強い疲れや筋肉痛が長く残らない程度が一つの目安となります。
自分に合った運動の種類や量は病型や体の状態によって違うため、主治医や理学療法士と相談して決めていくとよいでしょう。
装具や車いすは、「できなくなってから使うもの」とは限りません。体への負担を減らし、動きやすさや行動できる範囲を保つためにも役立ちます。
●装具:関節の動きを保ったり、立つ・歩く動作を支えたりする
●電動車いす:移動による疲れを減らし、行動できる範囲を広げる
●クッションなどの姿勢保持具:座りやすい姿勢を支え、体への負担を減らす
道具を上手に使って体力を温存することも、暮らしを守るための大切な工夫です。
筋力の低下などに伴って、背骨が左右に曲がる「側弯(そくわん)」が進むことがあります。座る姿勢や車いすの調整などについて、理学療法士や作業療法士に相談してみましょう。
また、病型や治療によっては骨が弱くなり、骨折しやすくなることがあります。骨の状態を確認するとともに、転倒しにくい環境を整えることも大切です。
筋ジストロフィーでは、息苦しさを感じる前から呼吸する力が低下することがあります。そのため、症状がなくても定期的に呼吸の状態を確認することが大切です。
検査では、息を吐ける量や咳の力などを調べます。必要に応じて、睡眠中の呼吸や酸素・二酸化炭素の状態も確認します。
次のような変化が続くときは、主治医に伝えましょう。
●朝起きたときの頭痛
●日中の強い眠気
●夜中に何度も目が覚める
●息切れや息苦しさ
呼吸する力が低下したときは、鼻や口につけたマスクから空気を送り込むNPPVで呼吸を助けます。睡眠中から使い始めることが多く、朝の頭痛や日中の眠気が改善することも少なくありません。使う時間や設定は、呼吸の状態に合わせて調整します。
咳の力が弱くなると、たんを出しにくくなり、肺炎につながることがあります。たんを出しやすくする方法としては、胸やおなかを押して咳を助ける方法や、「排痰補助装置(機械的咳介助装置。例:カフアシスト)」などの機器を使って、たんを出しやすくする方法などがあります。
咳の力が弱くなると、たんを出しにくくなり、肺炎につながることがあります。たんを出しやすくする方法としては、胸やおなかを押して咳を助ける方法や、「排痰補助装置(機械的咳介助装置。例:カフアシスト)」などの機器を使って、たんを出しやすくする方法などがあります。
筋ジストロフィーでは、症状がないうちから心臓に変化が起こることがあります。自分では気づきにくいため、病型に応じて定期的に検査を受けることが大切です。
筋ジストロフィーでは、心臓の筋肉が弱くなる「心筋症」や、脈の乱れが起こることがあります。心臓の状態は、主に次のような検査で確認します。
●心電図:脈の乱れや電気の伝わり方を調べる
●心エコー:心臓の動きや働きを超音波で調べる
●長時間心電図:日常生活で起こる不整脈などを調べる
●血液検査:心臓への負担などを確認する
必要な検査や受ける間隔は病型によって異なるため、主治医と確認しておきましょう。
心臓への影響が見つかった場合は、状態に応じて薬による治療を行います。不整脈の種類や程度によっては、ペースメーカーなどの機器やカテーテル治療が必要になることもあります。
特に筋強直性ジストロフィーでは、心臓の電気の伝わり方に異常が起こることがあるため、定期的な確認が重要です。
急な体重増加や足のむくみ、動悸などは、心臓の変化を知らせるサインになることがあります。気づいたら主治医に伝えましょう。
また、呼吸の状態が心臓に影響することも少なくありません。食事や呼吸のケアを含め、体全体を見ながら心臓を守っていくことが大切です。
食べることや飲み込むことは、栄養だけでなく体力や呼吸にも関わります。食べにくさや体重の変化に早めに気づき、自分に合った方法で支えていくことが、必要な栄養を保つために大切です。
飲み込む力が低下すると、次のような変化がみられることがあります。
● 食事や水分でむせる
● 食事に時間がかかる
● 食べる量が減り、体重が落ちる
● 原因のわからない発熱を繰り返す
気になる変化があれば主治医に伝えましょう。必要に応じて飲み込みの検査を行い、言語聴覚士などと対策を考えてくれます。
飲み込みにくさがある場合は、食べ物の硬さや飲み物のとろみ、一口の量、姿勢などを調整すると食べやすくなることがあります。
適した方法は一人ひとり違うため、自己流ではなく専門家に確認することが大切です。
また、口の中を清潔に保つことも、誤嚥性肺炎の予防につながります。
体重は、多すぎても少なすぎても体への負担になります。ステロイド治療などで体重が増えることもあれば、飲み込みにくさなどから十分な栄養をとれず、体重が減ることもあります。
必要な栄養量は年齢や活動量、体の状態によって異なります。体重の変化が気になったら、主治医や管理栄養士に相談しましょう。
口からの食事だけでは十分な栄養や水分をとることが難しくなったとき、胃ろうが選択肢になることがあります。おなかから胃に管を通し、栄養や水分、薬などを入れる方法です。
胃ろうをつくったからといって、必ず口からの食事をやめるわけではありません。飲み込みの状態によっては、安全に配慮しながら食事を楽しめる場合もあります。必要になる前から主治医と話しておくと、選択肢を落ち着いて考えやすくなります。
筋ジストロフィーでは、自覚症状がないうちに体の変化が進むことがあります。そのため、症状がなくても定期的に状態を確認することが大切です。必要な検査や間隔は、病型や年齢、体の状態によって異なります。
病型に応じて、主に次のような項目を確認します。
●運動機能:歩行や立ち上がりなど体の動き
●呼吸機能:息を吐ける量や咳をする力
●心臓:心電図や心エコーなど
●骨:骨の状態や骨密度
●血液検査:栄養状態や血糖など
どこを重点的に調べるかは病型によって違います。自分には何の検査が必要で、次はいつ受けるのかを主治医と確認しておきましょう。
筋ジストロフィーでは、病型や呼吸・心臓の状態によって、麻酔や鎮静に特別な注意が必要になることがあります。
手術だけでなく、歯科治療や内視鏡検査などで麻酔・鎮静を受けるときも、筋ジストロフィーであることや使っている薬を事前に医療者へ伝えましょう。必要に応じて呼吸や心臓の状態を確認し、安全な方法を検討します。
感染症をきっかけに体調が大きく崩れることがあります。必要な予防接種について主治医と相談し、計画的に受けておきましょう。
特にステロイドなど免疫に影響する薬を使っている場合は、ワクチンの種類や接種する時期に注意が必要です。日頃の手洗いや口腔ケアも感染予防につながります。
インターネットには、新しい治療法から体験談までさまざまな情報があります。まずは公的機関や専門学会、専門医療機関など、情報源が明確なものを確認しましょう。
特に注意したいのは、
●「必ず治る」「必ず効く」などと言い切っている
●高額な自由診療へ強く誘導している
●体験談だけで効果を説明している
●研究中の治療を、すでに確立した治療のように紹介している
といった情報です。
判断に迷ったら、見つけた情報をそのまま主治医に見せて相談するのも一つの方法です。
最後に、筋ジストロフィーの治療やケアについて、よくある質問にお答えします。
現在のところ、多くの筋ジストロフィーで根本的に治す方法は確立していません。ただ、進行を抑える治療や症状を軽くするケアは進歩しています。できることを長く保ち、生活を支えることも大切な治療です。
はい。病型によって、必要な検査や治療は異なります。リハビリや呼吸、心臓、栄養などのケアを状態に応じて行い、病型によってはステロイドや遺伝子の変化に応じた薬も使います。
いいえ。ステロイドは特にDMDで治療の柱となっていますが、すべての筋ジストロフィーに使うわけではありません。病型や体の状態に応じて判断します。
一律に決まっているわけではありません。効果と副作用を確認しながら、治療を続けるか、量などを調整するかを主治医と相談します。急に中止すると危険なことがあるため、自分の判断でやめないことが大切です。
適した運動の種類や量は、病型や筋力、体の状態によって異なります。無理に筋肉を鍛えるのではなく、疲れや痛みを残さない範囲で行うことが基本です。理学療法士などと相談して、自分に合った方法を決めましょう。
いいえ。遺伝子治療には、遺伝子変化の種類や年齢など、治療ごとに対象となる条件があります。まず遺伝学的検査を行い、対象になる可能性があるかを専門医と確認します。
呼吸する力が低下したときに、呼吸を助けるために使います。状態によっては、まず睡眠中にマスクを使うNPPVから始めます。使う時間や方法は、呼吸機能や症状に合わせて調整します。
むせや食べにくさ、体重の変化に注意しましょう。食べ物の硬さや飲み物のとろみ、姿勢などを調整すると食べやすくなることがあります。適した方法は一人ひとり違うため、言語聴覚士や管理栄養士などに相談すると安心です。
成人では脳神経内科、小児では小児神経科が中心です。できれば筋ジストロフィーの診療経験がある医療機関を選ぶと、呼吸や心臓、リハビリなど必要な専門科・専門職と連携した診療を受けやすくなります。
最後に、大切なことを3つにまとめます。
●治療とケアには共通する土台がある
リハビリ、呼吸、心臓、飲み込みと栄養、定期検査など、病型や体の状態に合わせて必要なケアを続けます。
●病型によって治療や注意点は変わる
DMDではステロイドや遺伝子の変化に応じた治療、BMDでは心臓の管理など、病型ごとに大切なポイントがあります。
●症状がなくても定期的に確認する
呼吸や心臓など、自分では気づきにくい変化もあります。早めに見つけ、必要な治療やケアにつなげることが大切です。
すべてを一度に覚える必要はありません。次の受診で「自分の病型では、今は何を確認しておけばよいですか」と聞くところから始めてみてください。
●難病情報センター. 筋ジストロフィー 指定難病113. 難病情報センター. 2026.
●日本神経学会監修. 筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020. 南江堂. 2020.
●厚生労働省 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議. 公知申請への該当性に係る報告書 プレドニゾロン デュシェンヌ型筋ジストロフィー. 厚生労働省. 2012.
●医薬品医療機器総合機構. 審議結果報告書 ビルテプソ点滴静注250mg. 医薬品医療機器総合機構. 2020.
●医薬品医療機器総合機構. ビルテプソ点滴静注250mg 添付文書. 医療用医薬品 情報検索.
●医薬品医療機器総合機構. 審議結果報告書 エレビジス点滴静注. 医薬品医療機器総合機構. 2025.
●厚生労働省. エレビジス点滴静注 適正使用ガイド. 厚生労働省.
●国立精神・神経医療研究センター. デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬 ビルトラルセン 国際共同第Ⅲ相試験 RACER53試験 の解析結果の速報について. 国立精神・神経医療研究センター.
●国立精神・神経医療研究センター. 神経・筋疾患患者登録サイト Remudy.
●厚生労働省精神・神経疾患研究開発費 筋ジストロフィーの集学的治療と均てん化に関する研究班. 筋ジストロフィーのリハビリテーションマニュアル.
●齊藤利雄, 野崎章仁. 神経疾患の緩和ケアガイドライン 筋ジストロフィー. 神経治療学. 41(4), p.596-599.
●齊藤利雄ほか. 本邦におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの診療実態 診療ガイドラインによって何が変わったか. 臨床神経学. 2019. 59(11), p.723-729.
●国立精神・神経医療研究センター. 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー FSHD. 神経筋疾患ポータルサイト.
●厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業. 筋ジストロフィーの病型診断を進めるための手引き 肢帯型 先天性 筋強直性ジストロフィーを念頭に. 日本神経学会.
●小児慢性特定疾病情報センター. 肢帯型筋ジストロフィー 概要. 小児慢性特定疾病情報センター.
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