大阪母子医療センター 内科系診療局長/腎・代謝科 主任部長 窪田 拓生 先生 監修コラム②

学校・園・職場に伝えておきたいこと

― 軟骨無形成症のある人が安心して過ごすために ―


幼稚園や保育園、小学校、中学校、高校、大学、そして職場。

生活する場所が変わるたびに、「どんなことを伝えたらいいのだろう」と悩むことがあるかもしれません。


軟骨無形成症では、身長や手足の長さなど身体的な特徴から、一般的な環境では使いにくい設備や道具があることがあります。

そのため、本人の身体に合わせた環境調整を考えることが大切です。



目次

例えば、教室の机や椅子が高い、トイレの設備が使いにくい、高い場所に手が届かない、
といったことがあります。

このような場合、

「できない」

と考えるのではなく、

「どんな工夫があればできるだろう?」

と考えてみましょう。


机や椅子の高さを調整する、踏み台を用意する、物を置く場所を変えるなど、
ちょっとした環境の工夫が役立つことがあります。


2.体育や運動は、一人ひとりの状態に合わせて

学校生活では、体育や休み時間など、身体を動かす場面もあります。

軟骨無形成症では、身体の特徴や合併症などによって、
適した運動や注意が必要な運動が異なる場合があります。


そのため、「軟骨無形成症だから体育はできない」と一律に考えるのではなく、
本人の身体の状態を確認しながら、できる方法を考えることが大切です。

学校と家庭、そして必要に応じて医療者が相談しながら、参加方法を検討していきましょう。


3.「どこまで手伝えばいい?」も大切なポイント

周囲が心配するあまり、本人が自分でできることまで手伝ってしまうことがあります。

もちろん、安全のために手助けが必要な場面もあります。


一方で、本人が自分でできることについては、見守ることも大切です。

「手伝ったほうがいい?」と聞いてもらうだけでも、
本人にとっては自分で選択する機会になります。

必要なときに必要なサポートをする。

この考え方が大切です。



4.周囲への説明は、本人と一緒に考える

「軟骨無形成症について、周りの人にどこまで説明したらいいの?」

と悩むこともあるでしょう。

病気についてどのように伝えるかは、年齢や本人の気持ちによっても変わります。


例えば、

  • 「背が低いので、高いところに手が届きにくいです」
  • 「この高さの机だと使いやすいです」
  • 「この運動については、主治医に相談しています」

など、必要な情報を具体的に伝える方法があります。


病気についてすべて説明する必要があるとは限りません。

「自分が安心して過ごすために、何を知ってもらう必要があるか」

という視点で考えてみましょう。

5.新しい環境に移るときは、早めの相談を

進級や進学、就職など、環境が変わるタイミングでは、
新しい場所でどのような工夫が必要になるかを事前に確認しておくと安心です。


例えば、

  • 机や椅子の高さ
  • トイレや洗面所
  • 通路や階段
  • 通学・通勤方法
  • 体育や仕事での身体的な負担
  • 長時間同じ姿勢をとる必要があるか

などを確認しておくとよいでしょう。


「実際にその場所に行ってみたら、使いにくいところが分かった」ということもあります。

可能であれば、本人と家族、学校や職場の担当者などで、
実際の環境を確認しながら相談してみましょう。

6.「特別扱い」ではなく、「自分らしく過ごすための工夫」

環境を調整することは、特別扱いをすることではありません。

その人が持っている力を十分に発揮し、安心して生活するために必要な工夫です。


大切なのは、周囲が一方的に決めるのではなく、本人の希望や困っていることを聞きながら、一緒に方法を考えること。


「何か困っていることはある?」

「どうしたら使いやすくなる?」

「どんな方法なら自分でできそう?」


そんな声かけから始めてみるのもよいでしょう。

生活する場所が変わっても、その人らしく過ごせるように。


本人と周囲が一緒に環境をつくっていくことが、安心した学校生活や社会生活につながります。


監修 大阪母子医療センター 内科系診療局長/腎・代謝科 主任部長 窪田 拓生 先生


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