空を飛ぶ挑戦と、「本当にできないんだっけ?」という問い
鳥越勝さん(とりちゃん)の素敵なお話を前中後編に分けて、お届けします。
【目次】
12. 空を飛びたい。パラグライダーからセスナ免許への挑戦へ
13. 「とりちゃんだからできる」ではなく、小さな一歩を見せたい
14. 🔏「本当にできないんだっけ?」と問い直す
15. 🔏障がいがある人の挑戦を社会に届けたい
16. 読者へのメッセージ
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現在、とりちゃんが大きな目標として掲げているのが、小型飛行機(セスナ)の免許取得です。
きっかけは、車椅子パラグライダーの体験でした。
「4年前くらいに車椅子パラグライダーをまた飛んだんですよ。やっぱり空飛ぶのいいなあと思って。でも、これって乗せてもらってるだけだなって。自分一人で飛びたいな、みたいに思って」
しかし、調べていく中で、現在は規制などの面から、車椅子パラグライダーの単独飛行は難しいとわかりました。
その先に浮かんだのが、以前から頭の中にあった飛行機の免許取得でした。
「本当はパラグライダーで一人で飛んでから、飛行機の免許を取ろうみたいなのが、頭の中に構想としてはあったんです。でも、パラグライダーは無理だしってなっている中で、背中を押してもらったこともあり、じゃあチャレンジするかって感じで
」
とりちゃんが目指しているのは、職業としてパイロットになることではありません。パラグライダーで感じた「空を飛ぶ楽しさ」を、今度は自分で操縦する形で実現してみたい。そんな挑戦です。
「別にパイロットになりたいわけじゃなくて、自分で飛びたいな、みたいな。自分の力で飛びたいなって感じです」
もちろん、実現までには多くのハードルがあります。体力面、費用面、英語の勉強、そしてメディカルチェック。そもそも受け入れてくれる学校があるのかも、最初はわかりませんでした。
日本国内では選択肢が限られていたため、とりちゃんはアメリカの飛行学校にも問い合わせを始めています。
「日本国内だとあんまりないんですよ。旅客機とかを運転しますみたいなので、2年かかって、1,000万かかりますみたいなのしかなくて。アメリカには、日本よりも短期間でライセンス取得を目指せる選択肢があると知りました。ただ、自分の場合はメディカルチェックや学校の受け入れ、体力面、英語など、確認しなければならないことがたくさんあります。」
問い合わせをしてみると、学校側の反応は、とりちゃんが想像していたものとは少し違っていました。
「普通に、メディカルチェックを通ったらいいよ、という雰囲気だったんです。学校側が嫌がるかなと思ったんですけど、全然そんな感じではなくて。アメリカすげえなと思いました」
もちろん、メディカルチェックを通過できるかどうかは、まだわかりません。それでも、「本当にできないのか」を確かめるために、ひとつずつ動き始めています。
次の一歩として、とりちゃんは体験飛行も視野に入れています。
「一旦、体験飛行をしてこようかなと思って。映像を撮ってこようかなと思っています」
とりちゃんにとって、この挑戦は、自分の夢を追う姿を発信することでもあります。
「僕が夢を叶える姿を見せることによって、何か変わる人がいるんじゃないか、みたいな気持ちでやってるんです」
誰かのインタビューを通じて背中を押すこともできる。自分自身が挑戦する姿を見せることで、誰かの背中を押すこともできる。
その思いは、YouTubeで発信を始めたころから変わっていません。
「誰かの一歩につながってほしいっていうのは、YouTubeで発信してた頃と変わってなくて。今は誰かのインタビューを通じて、その一歩を踏み出してもらうのか、僕が挑戦することを通じて、その一歩を踏み出してもらうのかって話なので」
空を飛ぶという大きな夢も、最初は「できるかもしれない」と思って調べるところから始まりました。
できるかどうかは、まだわからない。
それでも、とりちゃんは一歩ずつ前に進んでいます。
大きな挑戦を発信していると、ときに「とりちゃんだからできるんでしょう」と見られてしまうこともあるといいます。
とりちゃん自身も、その難しさを感じています。
「夢とか目標が大きすぎて、他の人が自分には関係ない話だと思っちゃうんじゃないか、みたいな課題はあります」
空を飛ぶこと、セスナ機の免許を取ること、発信を続けること。そうした挑戦は、見る人によっては遠い世界の話に感じられるかもしれません。
でも、とりちゃんが伝えたいのは、「特別な人だからできる」ということではありません。大きく見える挑戦も、最初から大きかったわけではなく、小さな行動の積み重ねで少しずつ形になっていくものです。
だからこそ最近は、大きな挑戦だけではなく、その手前にある小さな一歩を見せることも意識しているといいます。
「大きなチャレンジって、小さな一歩の積み重ねなんです」
たとえば、障害を負ってから、初めて電車に乗ること。初めて一人で新幹線に乗ること。ずっと実家で暮らしていた人が、一人暮らしを始めること。家族に一言、自分のやりたいことや目標を話してみること。
周りから見ると小さく見えることでも、本人にとっては大きな勇気がいることがあります。そこには、その人だけの迷いや不安、覚悟があります。
「大きいチャレンジをしている人もそうなんですけど、障がいを負ってから初めて一人で電車に乗りました、初めて一人で新幹線に乗りました、でもいいかもしれないですし。そういうときの心の動きを届けられるといいなと思っています」
とりちゃんにとっての挑戦は、空を飛ぶことだけではありません。恋愛や結婚についても、自分自身が一歩を踏み出す姿を見せることで、同じように悩む人の背中を押せたらと考えています。
「空を飛ぶことだけでなく、恋愛や結婚など、障がいを理由に諦められがちなテーマにも、自分自身が一歩踏み出す姿を見せていきたいと考えています。障がい者の恋愛って結構難しいと言われているので。自分が成果を出して、できたことを共有していくみたいな感じですね」
空を飛ぶことも、恋愛や結婚も、誰かにとっては遠い夢に見えるかもしれません。けれど、とりちゃんにとってはどちらも、「自分もやってみよう」と思える人を増やすための挑戦のひとつです。
とりちゃんが大切にしているのは、結果だけではありません。できたことだけを見せるのではなく、そこに至るまでの迷いや、うまくいかない時間も含めて見せることです。
「1個1個は本当、小さなチャレンジなんだよって知ってもらいたいなと思って。あと、僕も結構苦労している部分があるんだよ、というのも見てもらうようには最近しています」
「とりちゃんだからできる」のではなく、挑戦の手前にある迷いや小さな一歩も見せていく。とりちゃんは、その過程ごと発信しようとしています。
最後に、この記事を読む方へ、とりちゃんからメッセージをいただきました。
空を飛ぶことや、セスナ機の免許取得を目指すこと。そう聞くと、「自分とは違う特別な人の話」と感じる人もいるかもしれません。
でも、その挑戦も小さな一歩の積み重ねから始まっていると、とりちゃんは話します。
「大きなチャレンジの話をしましたけど、やっぱり大きなチャレンジって、小さい一歩の積み重ねなんで。ぜひ皆さんも、小さな一歩を大事にしてほしいなあと思います」
その一歩は、決して大きなものでなくていいといいます。
「本当に、親とか、家にいる家族にポロッと一言、言うだけでもよくて。多分それがきっかけで、いろんなものが動き出すと思うので」
とりちゃん自身も、今まさに夢を追いかけている途中です。だからこそ、自分とは違う遠い人の話としてではなく、「自分にもできる小さな一歩があるかもしれない」と感じてもらえたらと話します。
「小さな一歩を大事にして、その結果、多分大きな夢を追いかけられると思うんで。僕も今、追いかけている段階なんで。一歩一歩、一緒に頑張りましょうっていうのを伝えたいですね」
そして、とりちゃんは、無理をしすぎなくていいとも話します。
「無理な時は頑張らなくていいけど、調子いいときに頑張りましょうっていう感じです。僕も調子悪い時があります」
いつも前向きでい続けることは簡単ではありません。だからこそ、調子のいい日に、できることを少しだけやってみる。
その小さな一歩が、次の一歩につながっていくのかもしれません。

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